日曜絵かきの散歩道 “doucement,doucement”

日曜絵かきは楽しくて孤独 青空に誘われてつい散歩に
“ドゥスモン、ドゥスモン(ゆっくり、ゆっくり)”

ノーチラス号を降りる(海底二万里 読了)

2017年08月03日 | 
ついに今日
私はノーチラス号を降りた

つまり今日
私は『海底二万里』を読み終えた

2万里=8万kmに及ぶ
海底の旅が終わった



『海底二万里』は
博物学者のアロナクス教授が
語るかたちで書かれている
だからいつの間にか
自分がアロナクス教授になって
ノーチラス号に乗り込んでる気分になる



そして
はじめてネモ船長が登場した時
アロナクス教授と一緒に
ネモ船長に一目惚れする



念のため言っておくと
アロナクス教授は男性だ
いわゆる恋愛の要素は
ゼロなのにもかかわらず
アロナクス教授とネモ船長の間の
奇妙な友情のようなものは
恋愛よりもおもしろいと言ってもいい



アロナクス教授と
どこまでも忠実な使用人コンセイユとの
信頼関係や
偶然同行することになった
銛打ちの名手ネッド・ランドを交えた
3人の友情

冷静沈着なネモ船長が垣間見せる
深い哀しみと愛情

壮大な海のドラマに目を見張りつつ
少ない登場人物の人間模様にも
心を動かされ
飽きることがなかった



ノーチラス号で出される
究極のシーフード料理も
興味深い



ネモ船長は
とてつもなくつらい過去を持つ人物で
本来の名前を捨て
誰でもないという意味の
"ネモ"と名乗り生きている

魅力的でありながら影があり
屈折しているようにさえ感じる
でもそうなる前は
明朗な好人物だったのではないかと
想像できる

そんなふうにして
人が変わってしまった登場人物を
最近観たなと思った



この映画の主人公リーは
以前は快活で人懐こい性格だったようなのに
あることをきっかけに
人を寄せ付けない人物に変わってしまう



『門』の宗助も
以前は弟の小六と同様に
屈託のない性格だったのに
世間から咎められるような恋愛をして
実際の年齢よりも老けたような
覇気のない男になる



それでも人生は続き
生き続けてゆく



『海底二万里』では
ネモ船長の過去に何が起きたのか
具体的には語られない

次の物語で
明かされるだろうか



このあと
ディズニーが1954年に製作した
映画も観たいと思う



ミュージカル『レ・ミゼラブル』
を観た時も
文庫本で5冊ぐらいになる完訳版を読んで
えらく感動したけど

『CAPTAIN NEMO』をきっかけに
『海底二万里』を読むことができてよかった

こんなにおもしろい物語を
読まないなんて
もったいない



それはそうと
『CAPTAIN NEMO』は
『海底二万里』をベースにした
また別の物語と考えるのがいいのかなと思った



谷正純が
どんな世界を描くのか
彩風咲奈が
どんなネモ船長を演じるのか
楽しみだ