日曜絵かきの散歩道 “doucement,doucement”

日曜絵かきは楽しくて孤独 青空に誘われてつい散歩に
“ドゥスモン、ドゥスモン(ゆっくり、ゆっくり)”

CAPTAIN NEMO 〜ネモ船長と神秘の島〜

2017年09月04日 | Memories of ZUKA
小説を読み映画を見て
迎えたこの日

18きっぷ最後の1回を使って
東京へ



スマホの天気予報は
くもりとなっていたのに
東京駅に着くと雨

折りたたみ傘を鞄に入れかけて
やめたことを後悔しつつ
信濃町駅でビニール傘を買った



新しくなったばかりらしい
日本青年館ホールは
緞帳の富士山が目を引いた



2階で自分の席を見つけると
クッションが敷かれてて
席の前に小さな貼り紙
"舞台の一部が見にくい場合がございます"
なるほど
目の前の手すりが
もう少し低かったらという高さで
舞台前方を隠してた

1階席に
生徒さんの誰かが来ていたらしくて
開演前の2階席が総立ちになった
私の席からは
どう頑張っても見えないので
あきらめて座っていると
月組生が何人も来てるって声が聞こえた



朝美絢の組替え後
ようやく迎えた雪組公演だもんね



初めて聞く
彩風咲奈の開演アナウンス
堂々としたいい声だった

あの優しい顔立ちと
あの細い体のどこから
あんなに力強い声が出るんだろうと
いつも思う



ネモ船長といえば
ポスターのあの青い衣装と思っていたら
プロローグは真っ白の衣装で登場して
赤い衣装のダンサーたちと一緒に
美しく踊った

物語が始まり
青い衣装のネモ船長が
静かな威厳を湛えて登場

何度か衣装替えもあって
ネモ船長のさりげないファッションショーを
楽しめた
髪型も長い髪を下ろしてる時と
くくってる時があった



物語は原作とは全然違っていたけど
原作の要素があちこちに散りばめられてた

原作では
ネモ船長は陸地を嫌い
ノーチラス号と海
そして乗組員が彼のすべて

宝塚版では
ノーチラス号が島に置きかえられて
描かれていた
その中にノーチラス号も登場して
ノーチラスinノーチラスといったところ



原作では
博物学者 アロナクス教授
その使用人 コンセーユ
銛打ち名人 ネッド・ランドの3人が
軟禁状態でノーチラス号に暮らす

宝塚版は
海洋生物学者 ジョイス博士
イギリス海軍 ラヴロック少佐
新聞記者 シリル
海洋気象学者 レティシアの4人が
同様にしてマトカ島で暮らしはじめる

ジョイス博士+ラヴロック少佐
=アロナクス教授といったところかな
何かと引っかき回す勢いのシリルが
ネッド・ランド



彩風咲奈のネモ船長は
はまり役だった



朝美絢のラブロック少佐の頑なさもよかったし
華形ひかるのジョイス博士も
信頼できる感じが出ていてよかった
永遠輝せあのシリルも軽薄さ丸出しでよかった
レティシアの彩みちるは
こんなにいい声してるんだって感心した

舞咲りんのフローレンスは
『幕末太陽傳』のやり手おくまと同じ人が
演じてるとはとても思えず
さすが歌姫と思った
汝鳥伶のモリエ博士もよかったし
久城あす他のノーチラス号乗組員もよかった

舞台に浮かび上がる"N"も
かっこよかった



それぞれすごくよかったし
ネモ船長が島民を家族と思って
何よりも大事にしているのもわかったんだけど
物語には今ひとつ入り込めなかった気がする

最初に歌われたボンゴの歌に
ちょっと出鼻を
くじかれた感じがしたせいかもしれないし
原作にない島マトカの名前が連呼されることに
違和感を覚えたのかもしれない
島民が歌うように口にした
モールス信号の意味を
拾いそこねてしまったせいかもしれない



プログラムで
脚本・演出の谷正純の言葉を読んで
そうだったのか!と納得したことがある



小説『神秘の島』で明かされる
ネモ船長の正体に触れるので
これから原作を読む方はご注意を…



小説『海底二万里』のネモ船長は
その登場の場面で
血色がいいというよりは青白い肌は
血のめぐりが穏やかな証拠だった
と表現され
ネモ船長の肌は白いとインプットして
読み進めることになる

それが『神秘の島』のクライマックスで
船長の正体が明かされ
イギリスに迫害された
インドの国の王子だとわかる
そこで思い浮かべるのはやはり肌の黒い人で
あれ?となる

1954年製作のディズニー映画のネモ船長は
肌が白いが
1916年製作の無声映画には
肌の黒いネモ船長が登場する





だから
ジュール・ヴェルヌは当初
ネモ船長をポーランド貴族として
描こうとしていた
と谷正純が書いているのを読んで
ストンと腑に落ちた

そしてそちらの設定をもとに
彩風咲奈のネモ船長は描かれている

インドの王子だったという設定のほうも
別のかたちで生かされているわけだけど
それを知らない人には
なんでインド?って感じになるかもしれない



時代を超えたヒーロー
ネモ船長

彩風咲奈演じる新たなヒーロー
CAPTAIN NEMO



原作のネモ船長も
彩風咲奈のCAPTAIN NEMOも
オルガンを弾く

CAPTAIN NEMOに
「別れの曲」を弾かせたのは
脚本上の必然か
早霧せいなへのオマージュか

・ 。..・ 。..。・・.。...。。・ ・。...

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