中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

「穹頂之下」と云う映像消える

2015年03月12日 | 中国事情

2月28日に中国の画像サイトにアップされて以来、大きな反響を呼んでいた「穹頂之下」と云うドキュメンタリー映画が、最近完全に削除されて、閲覧出来なくなっている様です。元中国中央テレビで、アナウンサー兼キャスターとして働いて居た柴静と云う著名な女性が自費制作したドキュメンタリー映画と云う事もあり、この番組が画像サイトにアップされてから、「優酷網」「愛奇芸高清」等の中国の画像サイトでは、それぞれのサイトでの視聴回数があっと言う間に2000万回を超えた様です。このドキュメンタリー番組は、最初は「騰尋視频」 で流された様ですが、その後「鳳凰網」「土豆網」「優酷網」「愛奇芸高清」「楽視網」等でも放映され合計の視聴回数が、3月1日時点では一億回を超えたとも云われていました。

ところが、このドキュメンタリー映画が、3月6日から中国の映像サイトでは完全に閲覧出来なくなった様です。「百度」等で検索をかけても検索にかかる事もありません。検索をかけても「この映像は削除されたました」「ありません」としか表示されませんで、中国では観る事が出来なくなりました。また、この紫静のドキュメンタリー番組を論評したウェブ上の記事も、最近続々と削除され閲覧出来なくなりつつあります。一部は未だ閲覧できますが、内容によっては、矢張り削除され閲覧出来なくなっています。また、全く関係のないサイトに飛んでしまい、閲覧出来なくなっています。

私は「優酷網」で、この話題のドキュメンタリー映画は観たのですが、確かに番組としても大変に良く出来た番組で大いに感動しました。この番組は、「いま中国で話題となってるPM2.5とはそもそも何なのか」「そのPM2.5は何が原因で発生するのか」「私達はこの問題の解決にどう行動すべきか」と云う様な構成からなり、様々な問題の提起をしています。また、このドキュメンタリー番組を作るきっかけとなったのは、紫静が妊娠した際に、胎児に腫瘍がある事が分かり、子供を産んでから直ぐに手術した事がその動機だとの事です。手術をする際には、全身麻酔をかけるので死亡する危険もあるとも医者から通告を受けたそうですが、幸いにも手術が無事に成功し彼女は、「子供が健康であれば、それだけで良い」と思い、何故子供に腫瘍が出来たのかと考えその原因は、もしかして大気汚染と関係があるかとも疑い、この映画を制作したとの事です。

また、この映画の中で彼女は「私達は長い間所謂「霾雾」を、「霧」だと思い込んでいた、そう思い込まされて来た」とも述べています。

この映画を作成中に、多くの友人からは資金の援助等の申し出もあったそうですが、その様な資金援助も断り、完全な自費制作を貫いたそうです。その番組の費用は「看見」と云う本の印税を充てたそうですが、約一年かけて100分程のこの映画を自主作製したとの事です。今中国の北京では云う処の「両会」が開かれていますが、その「両会」の開会に合わせて公開された、この大気汚染の元凶であるPM2.5の問題に焦点をあてた映画は、現在中国では完全に閲覧できなくなりました。

この映画の最後の方に、日本の水俣病の写真や石原慎太郎が都知事の時代にディーゼルエンジン車の排気ガスを問題にした事がありましたが、その時の記者会見の際の写真等も出てきます。また、アメリカのカリフォルニアで、今までにない厳しい排ガス規制を義務付けられた際に、アメリカの自動車メーカーはこぞって反対したが、日本の本田が真っ先にそれをクリアした事を取り上げた居ますが、この映画の中では、ある外資メーカーとのみ報道しています。

「穹頂之下」と云うドキュメンタリー映画は、「YouTube」では閲覧出来ますが、中国からは特別な方法を使わないとこの「YouTube」にはアクセス出来ません。で一般の中国人は、ここ中国で紫静のこの作品を観る事はかなり難しい様です。

因みに、私は、削除されるかもと思い「優酷網」でこの映画を観た際、ダウンロードをしておきましたので何時でも観る事が出来ます。大変良い映画なので知り合いの中国人に勧めようと思ってダウンロードしたのですが、削除されたとなると、それも躊躇してしまいます。

 

紫静著「看見」云う本。実は、私はこの本を読んだ事はありませんですが、以前よく通っていた喫茶店等でこの本は良く見かけたので売れているんだと思った次第です。また、本屋でも平積みでこの本が置いてある様子を良く見かけました。最近は暇なので中国中央TVを見る事も多いのですが、貴州省に居る頃は全くTVを見なかったので、この紫静と云う女性がキャスターを勤めていた番組は残念ながら見た事がありません。中国ではこの本はベストセラーになったそうですが彼女は、この本の印税100万元で、この映画を自費制作したとの事。

 

 

 

 

 

 



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