中国語で「泥鰍」とは、日本語のドジョウの事です。新漢語辞典で「鰍」を引くと「どじょう」とあります。ドジョウに「鰌」と云う漢字をあてる場合もある様です。「鑚」とは「食い入る」「潜り込む」等と云う意味がある様です。
従って中国語で「泥鰍鑚豆腐」とは、日本では鰌豆腐と呼ばれる料理の事の様です。紅河県民族文化叢書と云うシリーズの中に「民族飲食」と云う一冊の叢書があります。紅河県に住む少数民族の主に飲食文化について書いてあるのですが、その本の中で「泥鰍鑚豆腐」と云う料理が紹介されています。
それに拠れば、獲って来たドジョウをきれいに洗い、その後盆の中にどじょうを入れて泥を吐かせる。先ず、鍋に豆腐と水を入れ、その鍋を火にかけ、或る程度熱くなって来たらどじょうを入れる。そうするとドジョウはだんだん熱くなってくるので堪え切れず必死になって冷たい豆腐の中に潜り込む。鰌が豆腐に潜り込み鰌の姿が見えなくなったらスープを加えると、美味しい鰌豆腐が出来上がるとの記述があります。この様に「泥鰍鑚豆腐」が、紅河県の特色ある料理の一品として作り方と共に紹介してあります。残念ながら写真は載っていません。
「泥鰍鑚豆腐」とは、日本で俗に鰌豆腐と呼ばれる料理と全く同じ料理の様ですが、遠く離れた雲南省の紅河州の紅河県にも、日本にもあると云われる鰌豆腐があるとは不思議な気がするともに、ある種の感慨を覚えます。
ただ、Googleで「どじょう豆腐」を検索するとドジョウが熱さに堪え切れず豆腐の中に潜り込むと云う事はそうない様で、豆腐に潜り込む事なく死んでしまう様です。youtube等には、ドジョウ豆腐と云う料理に挑戦した映像も載っていますが、余り上手くいかない様です。豆腐に穴を空けると、そこに何匹かは潜り込むようですが、全てのドジョウが豆腐の中に潜ると云う訳ではない様です。
中国語検索エンジン「百度」で「泥鰍鑚豆腐」を検索すると中国でも「泥鰍鑚豆腐」作りに挑戦した映像も載っています。矢張り日本と同様に上手くは行かない様です。面白い事には、ある地域では「泥鰍鑚豆腐」を作る際に、先ずドジョウを冷凍してカチカチにして、その凍らせたドジョウを豆腐に差し込み、その後鍋を火にかけ調理した物を「泥鰍鑚豆腐」としてお客に出すと云うとの事です。
私は何度か紅河県には行っているのですが、その様な料理があるのを聞いた事も無かったので、未だ一度も「泥鰍鑚豆腐」を食べた事はありません。機会があれば是非ともこの料理は食べて見たいと思います。
大理州では、食材としてドジョウは極々ありふれた物で、農貿市場では一年を通して鰌が売られています。また、料理店にも鰌が食材として並んでいます。大理古城内の農貿市場で見かけた鰌。
大理市下関の農貿市場で見かけた鰌。兎に角、大理市ではドジョウは良く見かけます。