露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

木賊垣(とくさがき)

2014-10-20 22:31:36 | 竹垣
すっかり日が暮れてしまいましたが、青竹の木賊垣完成しました!




木賊垣とは竹を立て並べていく竹垣で境界や塀、袖垣などに使います。


竹を固定する際は押し縁を用いずに縄止めや釘止めします。

縄掛けの木賊垣も美しいですが、今回は両面から鑑賞することと年数をかけて竹が枯れていくさまも楽しんでいただけるよう両面張りの釘止めにしました。

半割竹は経年で傷んだところだけ付け替えることができ、枯れた中に青竹が混ざるのもまた趣きがあります。




大量にあった半割竹ですが、O先生がほとんど洗ってくださいました

しかも親方が洗うより断然きれいな仕上がり・・


O先生ありがとうございました!!



それでは釘止めの木賊垣の制作手順を簡単に説明します。

まずコンクリートの基礎を据え付け、柱を建て込みます。

柱は土決めの場合もありますが、この地域の風の強さや竹垣の高さ、距離などを考慮して基礎に専用の金具で柱を止めつけました。

柱の材はアコヤを使用。

アコヤは地上での耐久年数50年という強い材です。



柱をバーナーで焼いて据え付け、桟木、無目板を取り付けます。




半割竹を一本ずつ取り付けていきます。
このとき無目板に直に乗せず上下2ミリほどの隙間を作ります。


竹は竹やさんに半割を作ってもらった上質の国産竹です。

肉厚でまっすぐのものが多いのですが、天然ものなのでどうしても曲りがあります。


竹の節の位置が揃わないようにずらして取り付けていきますが、隙間をなくすため少しずつ削ったり切込みを入れて曲りを調整します。



この作業に時間がかかりますが仕上がりに差が出るため根気よく調整します。



天板を取り付けて完成!!






空気が引き締まって凛とした空間になりました。







剪定とイベントでしばらく伺えず申し訳ありませんでした

剪定が終わり次第庭工事再開します






大津垣の袖垣

2014-07-17 00:21:26 | 竹垣
大津垣の袖垣完成しました!





袖垣は奥をさりげなく隠して空間を仕切るための竹垣です。

様々な種類や作り方がありますが、その美意識と心遣いには日本人ならではの繊細さを感じます。




今回は風通しの良さと数寄屋建築の繊細さを考慮し、大津垣で作りました。

大津垣とは立て子に割り竹や女竹を使い、編み込んで作った竹垣です。





それでは大津垣の作り方をご紹介しますね。



まず柱とむめ板を寸法に合わせてカットし、柱にはホゾを切ります。



ホゾ穴は胴縁の間隔に合わせて切ります。
このとき一番上の笠竹部分を差し引いて割付します。



バーナーで焼いて焼き丸太を作ります。





表面の炭を藁や布で乾拭きして磨きます。




柱を立て込み胴縁とむめ板を差込みます。



胴縁は割り竹で作るほうがもちが良いですが、風通しと繊細さを優先して女竹を使用しました。



立て子は油抜きした晒し竹を使用。

より繊細に見せるため、建仁寺を二つ割り・・・これが大変危険な作業。



竹やのMさんありがとうございました!






上下の間隔が均等になるよう調節しながら、端から交互に編み込んでいきます。






押縁は元口節止めとし、押縁と笠竹に使う半割り竹は節を軽く叩いて抜いておきます。


柱に合わせて斜め切りにした押縁を前後から取り付けて仮止めし、笠竹をのせてシュロ縄で結びます。







大津垣完成!


竹しごと・・・他に変わるもの無し!  やっぱり良い!!





金閣寺垣

2010-05-24 11:28:47 | 竹垣
お久しぶりです♪
お元気ですか?
ここ数日、雨が続いていましたが、ついさっきから太陽が顔を出しました


今日は、先日施工しました金閣寺垣をご紹介します。



「金閣寺垣」とは、臨済禅宗の名刹鹿苑寺(通称金閣寺)の境内にある竹垣で、
足下垣の名作として知られる竹垣です。


大きな特色は、胴縁(どうぶち)を用いずに、柱間に低い立て子を一列に配して、
上に特に太い半割竹の玉縁(たまぶち)を掛けることです。


聞きなれない言葉が多いですよね
写真をまじえてなるべく解りやすく説明したいと思います


それでは、手順の説明です。

今回も竹は藁で洗います。水が冷たくないのでありがたい
  
手拭は紫陽花です。



まず、はじめに親柱(おやばしら)という両端にくる柱を立て込み、
その間に間柱(まばしら)をたてます。



水糸を張り、立て子をかきつけていきます。
今回は2本と1本を交互にたてています。





立て子の上に半割竹を両側から掛けて、曲がりを調節していきます。
さらに笠竹用の割竹をかぶせてドリルでもみ、釘を打ちます。





この半割竹、長さが9メートル弱あります。
途中で接がない一本ものの半割です。

この竹を綺麗にまっぷたつに割るのが難しいそうです。



お師匠が一発で割っていたので、簡単そうに見えましたが、
短いものでもなかなか上手くいきません

なんかね、割り箸を割るときに似てる
のかな。
左右から同じ力で一気に引かないと、偏ってしまうよね。

 


押縁(おしぶち)用の太割竹を表と裏から立て子に水平に掛けます。


押縁と立て子をシュロ縄で結びます。




                             完成!

足下はシダとリュウノヒゲと伊勢砂利のみでスッキリ仕上げました。




作業中や完成後にも施主様や通りを通るたくさんの方に温かい言葉をかけて頂きました。
ありがとうございました




四ツ目垣と袖垣

2010-02-15 22:40:34 | 竹垣
突然ですが、

「竹垣」...大大大好き!! なんです。


最近は個人邸ではあまり見かけることはなくなりましたが、あの凛とした姿は庭の空気を変えます。
「竹垣」って一口に言っても、いろんな手法があって、オリジナルや創作竹垣も合わせると無限に夢が広がります。

でもやっぱり四ツ目垣は素敵!
シンプルだけど、一番好きだな...。
青竹の清々しさも他に例えようがない気持ちよさです。




今日は古くなった四ツ目垣と袖垣の修復作業です。






気合を入れる今日の手ぬぐいは、かまわぬの「しだれ梅」
冷たい朝の空気に地下足袋と手ぬぐいで気持ちが引き締まります。

早起きでちょっと眠いけどがんばります




お師匠が寸法をとっている間に竹の準備。
切った竹から洗っていきます。



竹は藁でこんなして洗います。


この作業、竹好きの私でもさすがに冬はツライ...
丁寧に洗うと結構時間がかかります。
手が冷たくなりすぎて感覚がなくなるよ~。
でも無心でできるので、心の中はかなりクリアな状態です。






それでは、四ツ目垣の手順をご紹介しま~す


まず、枝折戸の幅を計算して、柱を埋め込みます。

次に柱に胴縁を留め付けます。




胴縁に立子をかきつけて、シュロ縄で結束します。






私の大好きな繊細な袖垣
胴縁はナンテン、立子は青竹の先端を使用しています。






枝折戸を取り付けて、
四ツ目垣と袖垣完成ーー!






換気口の蓋と柄杓置き(?)もお師匠が作りました。
柄杓置きは竹をバーナーであぶって油を出させるんだって..!
初めて知りました。
なるほど~!磨いたらつやつやです









長くなったので、ここで一旦終わりますね。
続きはまた明日書きま~す