露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

京都町家と庭園巡り

2014-01-13 07:55:45 | 旅行
お正月休みを利用して京都へ行って参りました。
その一部をご紹介します




目に飛び込んできた町家の木賊垣。


枯竹がなんとも上品です。


町家の料理やさん。





旧川崎家 「紫織庵」







大正時代、和と西洋文化の合わさった理想の住宅。
こんな家に住みたい。







最高に美しい。
今回こちらに来れて良かった!!





庭師用通路。

















橋本関雪記念館 「白沙村荘」




うわーー




残念ながら建物の中からは撮影禁止でしたが、建具の繊細さを通して見る庭園が見事でした。







建仁寺











銀閣寺の赤松。




松も雑木も素晴らしく美しい剪定でした。
勉強になりました。


生垣も見事な透かしです。





鹿苑寺。
お天気は良かったけど剪定が頂けなかった。
あちこちにお賽銭を投げる場所を設けてあり、外国人観光客がゲームのように
投げていたのが残念。




今回の旅行ではいろんな発見がありました。


「温故知新」


故きを温ねて新しきを知る。



古いものが全てではありませんが、長い年月をかけて現代まで生き残っているものはそれなりの理由があります。

伝えていきたいのは先人が何故そうしたのかという理由、つまりそこに込められた思いやりと心配りです。

建築や生活様式が変わっても日本人の心は伝えていきたいですね

庭を和風、洋風という括りで分けてしまうのではなく、なんとなく格好良いからそうするのでもなく、

全てに生活する人、訪れる人への心配りをするという理由があって初めて良い庭と呼べるのではないかと思います。


そうして家族が大切に手入れをしていきたくなる庭になり、長い年月記憶を刻んでいけるんだろうと思います。



まだまだ未熟ですが、今年もブレずにこのスタンスで精進して参ります。

















2014年  明けましておめでとうございます!

2014-01-13 00:26:28 | 日記
ご挨拶が遅くなりましたが、新しい年の幕開けですね!
本年もみなさまのご健康とご多幸をお祈り致します




昨年は露花にとって大きな改革の一年となりました。

日本庭園もつるばらの庭もそうですが、庭が美しいということの裏付けを模索し、
先人の技術や境地、約束事、自然界の法則を探り続けた一年でした。


イベントでもたくさんのご縁に恵まれました。


そして、新しい命の誕生!
この報告を心待ちにしていました!
途中、Yさん、ご主人の頑張りに涙涙の日々でした
Nちゃんおめでとう!!
あなたに会える日を楽しみにしています






一年を振り返ると、1月の京都に始まり、5月は東京国際バラとガーデニングショウやパソナを見学。



パソナの壁面緑化。




室内で作られる野菜たち。


白ナス。






2013国際バラとガーデニングショウの記事はコチラ




9月は大阪、11月には足立美術館、京都の石材や、12月には植木を探して九州を周りました。


「雨の足立美術館」の記事はコチラ


中でも長崎の松の先生、熊本の井上さん、植徳親方からはいろいろなお話が聞けました。


長崎の松。
あまりの美しさに言葉を失いました。


繊細な枝先。
こんなになるまでに何十年かかったことでしょう。






今では貴重な島松。






工事の最中にも関わらず抜けることを快く承知して下さった施主様にも感謝致します。


ありがとうございました!!

実際にその土地に足を運び、目で見て観察し、話をすることでしか解らない
貴重な体験をさせて頂きました。

「樹に和風も洋風もなかと!」

井上さんの言葉はいろんなものを引っぺがすほど情熱に満ちていて、
ずっと心に残っています。


井上さんが30年かけて作ってこられたダイスギ。
台が出来て初めてダイスギです。



京都の老舗で石材探し。
川石のウブもの。



燈籠 北木島産 三月堂法華堂 
伝統工芸師の方の手彫りです。


手彫りの燈籠たち。


二重升の手水鉢。


縁先手水鉢。


月見(硯型)の手水鉢。





ここ数十年で建築様式が変わってきたため、庭もそれに合わせて変化してきました。
そんな中で安価で手に入り、枝先の繊細さが好まれて雑木の庭が主流になりました。

人気ではありますが、正直雑木ばかりを庭に植えて何十年と維持していくことは難しいのです。
雑木といってもいろいろですが、基本的に小さいうちはほとんどの樹が陰樹です。
自然の中では種から芽を出し、ある程度大きくなるまでは他の樹の影で育ちます。
大きくなって他の樹を越し、初めて陽樹になるのです。

最近の外構やシンボルツリーとしてよく使われるサイズは2メートルぐらいですが、
高木になる樹の2メートルは、まだ赤ちゃんで陰樹です。
南向きの暑い敷地に線の細い繊細な赤ちゃんを寄せ植えにしているのを頻繁に見かけますが、
五年後、十年後にはひどいことになります。
暑さに負けて枯れこんでくるか、幹吹を出してボーボーに葉をつけようとするか、
どちらにしても樹にとっては生き残りをかけての闘いの始まりです。

折角頑張って生き残ってみても、茂りすぎて最初の繊細さがなくなったという理由で
切られる樹は可哀想すぎます。

樹が伸びていく方位も気にせず、谷間のようにあっちゃこっちゃに向けてみても、
人間の思い通りの方向に伸びていくことは出来ないのです。

樹は太陽を追いかけて枝を伸ばします。

雑木を南向きの敷地の境界に植栽し、家に向かって北向きに伸ばそうと思っても無理なのです。


出来た時が最高で、年数が経つにつれて荒れていくような庭を作っていくことは、
庭というものの評価を下げていくことになりかねません。


実際、施主様のご身内は何年も前に庭を作られたそうですが、
境界に落葉樹があり、秋はお隣に毎日葉が落ちて顔を合わすたび謝らないといけないため
「庭なんか作らなきゃよかった」という話をされているとお聞きしました。
家族にとっても樹にとってもストレスになるような植栽は不幸の始まりです。


「庭」が全て一括りにされてしまうことは悲しいです。



庭師の思い入れは強くとも、好みや主張は出来るだけ表に出さず、
施主様のお人柄を反映した庭を作るための
観察力や洞察力、想像力に磨きをかけていきたいと思います。






本年もよろしくお願い致します