露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

小鳥の巣

2017-01-26 20:45:12 | 庭仕事
松の剪定中に見つけた小鳥の巣。


手のひらサイズでコロンと可愛い。

ヤシの繊維のようなもので中まで丁寧に作られ、一番外側には枯れ葉が留め付けてありました。

とても芸術的な仕上がり

「座り心地よさそー」とか、「職人気質だねぇ」とか、一人で妄想・・

無事に巣立ったに違いない。

サイズがわかりにくいので私の鋏と並べてみました。


仕事がら木に登るので、小鳥の巣によく出会います。

性格の違いか鳥種の違いか、巣も様々ですが、小さくても丁寧な巣を見つけた時はテンション上がるなー


今日は松の剪定でした。

沼隈は晴天!剪定日和。  なかなかお伺いできずご迷惑をおかけしました

元々らせん状に仕立てられた優雅な松です。


こちらは門掛け松。
枝が茂り過ぎて内枝に光が入らず、松にとっては過酷な状態でしたが、

小鳥と蝉にとっては絶好の隠れ場所になっていたようです。

こちらはあと一日続きます。

剪定でお待たせしているみなさま、ご迷惑をおかけしていますが順番にお伺いしますのでもうしばらくお待ちくださいませ





「アコヤの空中ゲートの庭」完成のご報告

2017-01-17 00:57:12 | お庭の施工例
車も入れる空中ゲートをアコヤ材とアイアンで作る!

大胆で世界に一つのパーゴラの庭の工事が完成しました.





アコヤは地上で50年腐らない高耐久天然木材です。

年数を追うごとに表面が風化して味わいの出る木材は美しいです。
ところが湿度の高い日本の雨ざらしの外部では木は数年で腐ってしまうのがネックでした。
せっかくパーゴラや板塀、デッキ等作っても数年で腐ってしまうのでは、木材を使わない方が良いという考えにたどり着いてしまいます。

そんな今までの常識を覆すアコヤは、木材の良さを発揮しつつ、外部で植物と合わせても強度が保てるというガーデナーにとって待ちわびた材料です。


「普段車を停めるわけではないけど、来客時や将来子供たちが成長したときには駐車場として使いたい」

そんな空間は是非庭にしましょう。

「駐車場」として考えると限られたことしかできませんが、植物の選定と植える位置を確保できれば、駐車スペースを兼ね備えた庭になります。

普段毎日使う駐車場の上につる植物が植えてあると、車が汚れてしまうのであまりおすすめできませんが、使用頻度の低い駐車場であれば庭として考えることが出来ます。

リビングに面していたり、南向きのスペースの場合、コンクリートを全面に打つと、照り返しで灼熱地獄になってしまいますが、上からも下からも緑に包まれるようデザインされた空間は、気温の上昇をやわらげ、植物の力で癒されます。


デザインの段階から思いが入り、連日図面や材料の拾い出しにかかりました。



こちら一帯はみなさんとても仲の良いご近所さん同士で、大げさな境界を作る必要はありませんが、リビングの正面にお隣のお風呂場の窓があるため、お互いに気を遣われる場面もあるかと思います。

そんな生活スペースの目隠しも兼ねたパーゴラと板塀・・さりげなく目隠ししつつ、奥のテラスにつながる導線の取り方次第で遠近感が生まれる方法を考えました。

3Dでぐるぐるシュミレーションして、回しながらどういう角度で取ったら奥行き感が出るかを試します。

そして日当たり、室内から見える風景、構造物との相性など踏まえ、どんな植物が育つと良いか想像して幸せな空想の世界へ・・。

二年後、三年後、十年後・・植物の生長と子供たちの成長を想像する時間が一番楽しい




工事スタート!
犬走のコンクリート打設工事。
家周りは水勾配を取って清潔に保ちます。



大工工事スタート!


日が落ちてちょっと暗い中の撮影になりました。






大工さんの職人技!


大工工事完成後、塗装工事。

塗装は下地にブラウン、上にホワイトを重ね、サンドペーパーでこすって木目を出します。

擦り仕上げは時間と根気との闘いです。

毎回腱鞘炎になりそうなこの作業、なんと、今回はご主人がご自分で擦り仕上げ!しかもプロ並み!

塗装後、オーダーメイドのアイアンのパネルをゲート部分と両サイドの目隠し部分に取り付け。
風通しとバラが咲いた時の部屋の中からの景色、誘引のしやすさ等考慮してデザイン。


リビングの掃き出し前にはみんなで座れるベンチを設置。
ここから子供たちが自由に出入りできるようになりました。



向かい側にも小さなベンチ。子供が多い地域なのでみんなで遊べるように。
お隣の窓も植物でやさしく目隠し




駐車場として車が入るときのため、わだち部分のみ御影石を据え付け。
ドアを開けて降りるときの踏み石も重要です。


耕運機で土壌改良



暑さに強いヒメイワダレソウ

芽が詰まっている生産者のもの。良い作りです。





初めてお会いしたときから、不思議な親しい感覚に包まれたHさまご家族。

どこかでお会いしたことがあるような・・・というか、もう長いことお付き合いしているような親近感(勝手に)

大切な方を通じてのご縁があったからですねご縁に感謝します!


そして何種類かバラをセレクトした中から奥さまがメインに選ばれたつるバラは「春霞」はるがすみ。



早咲きで透明感のあるひらひらと波打つ花弁がやさしい雰囲気のバラ。

一見バラには見えないかもしれないぐらい、自然な雰囲気のつるバラです。




6月の様子。
数年後にはきっと、絵のような風景が生まれますよ。


そして個人的におすすめした「アルバ・メイディランド」





やっぱり白バラは可愛い・・



毎年つるバラが花を咲かせ、夏には成長して日陰を作り、子供たちの成長とともに庭の風景が記憶に刻まれていく・・
そんな楽しいお庭になりますように


Hさま、先日はお久しぶりにお会いできて嬉しかったです

Nちゃん、ツチノコ見つかった?



なかなかお庭の記事をアップできず申し訳ありませんでした。

来月、バラの施肥に伺いますね  

その時も子供たちに会えます様に・・

二人の対照的な話を聞きながら、ちょっとずつ成長していく姿が頼もしく・・
でもやっぱり変わらない個性に「そうこなくっちゃ!」という安心感を覚えるのでした。

これからも子供たちと庭の成長を見守っていきますよ

年月をかけて、お力になりたいと思います。


いつもありがとうございます!











バラ苗SALEのお知らせ

2017-01-14 07:16:48 | 新着お知らせ!
本日1月14(土)~31(火)までバラ苗の10%OFFセールを開催します!

今朝のつるばらや

雪も心配なく、太陽が出ました

バラ苗をご予約下さっている方々には大変お待たせいたしました!
オースチン以外の苗は全て揃いましたので、根と株の状態の良いものからお取り置きにさせて頂いています。

当店では裸苗を活性液に数日~数週間(苗の状態により変わる)浸したものに菌根菌を付けて7号鉢に植え付けしています。


土は国産腐葉土、赤玉土、炭、ピートモス等をオリジナルブレンドしたものに、JR栗東のトレーニングセンターの名馬の藁糞で作られた完熟堆肥やバイオゴールド元肥を使用しています。


年間を通じて無農薬、減農薬で管理して販売していますが、瀬戸内地域では真夏の高温乾燥によるハダニが発生しやすいため、予防のために1月に石灰硫黄合剤を散布しています。
ダニは環境や薬に対して順応、変異が早く、殺ダニ剤は年々毒性が強いものに変わってきています。

一般家庭で夏に薬剤をなるべく使用しないためにも今の時期に石灰硫黄合剤は必要と考えています。

石灰硫黄合剤散布後の苗



2月からは毎月芽出し肥、天然活性液の散布が始まるので、1月中のセール期間のみお買い得です。
是非この機会にお買い求めくださいね。


駐車場と庭のリノベーション工事「つるアイスバーグの庭」

2017-01-09 02:29:04 | お庭の施工例

昨年春に完成した駐車場と庭のリノベーション工事のご報告です。


こちらは当初枕木などを使って、ご自分でお庭を作られていましたが、経年で劣化したことと駐輪場を新たに設置するため、ご依頼を頂きました。

お庭のご依頼やご相談で「狭いから庭を作れない」「植物を端っこにしか植えられない」というお悩みをお聞きしますが、本当は狭いところこそ構成次第でお洒落になります。

Tさま、ご依頼から何カ月もお待たせしてすみませんでした


施工前



家の敷地と接する道路は緩い坂道となっていて、敷地の左右で20センチ以上の勾配があります。
そのままべったりとバリアフリーにした場合、左右で見た目が傾いて見えるので違和感を感じます。

また、大雨の時には敷地の右から左へダラダラとうわ水が流れ、経年で土が削れてきます。
写真でも左の敷地から道路に土が流れ出ているのが見えます。

この勾配の問題を逆手に取ってアプローチに段差を作り、立体的で歩きやすい通路に仕上げていきます。

両サイドに駐車場を作る場合は全てをバリアフリーにせず、歩きやすい段差を上手に取り入れて水勾配を作ります。










2月解体、鋤取り工事スタート!


 鋤取り後、サイクルポート設置。

 型枠とコンクリート打設。


3月 駐車場の石貼り。



道路に勾配があるため、複雑な合わせになりましたが、綺麗な勾配が取れました。






3月 錆ごろた石のアプローチ。




踏み石で段差を取って奥行き感を出したことで、立体的なアプローチになりました。
道路勾配との違和感も解消できます。





アプローチ工事完成!



このあと飛び石工事と土壌改良、植栽も終了。





3月完成時





早春にはジューンベリーが満開。



ご実家から移植のギボウシも芽吹いてきました。




こちらのお宅に初めてお伺いした際、玄関ドアがとても素敵で印象的でした。
ドアの雰囲気とお家のデザインに合わせて玄関ポーチ前につるバラを一本植えることをお勧めしました。


今回10種類ほどセレクトした中から選ばれたバラは「つるアイスバーグ」


つるアイスバーグはステムが長いので、花の重みで枝が優雅にたわみます。

葉も光沢があるので病気に強く美しいです。つるバラは花以外の葉や樹形がとても重要ですが、つるアイスバーグは花がない時期でも美しいので景色になります。

他のバラにはない優雅さと華やかさを持つ大好きな白いバラ、お家の雰囲気にピッタリの上品な品種を選ばれました




数年後には通る人が思わず立ち止まるような景色が生まれると思います。



つるバラはボロ隠しのように考えず、樹形も考慮して品種を厳選しましょう。

雑誌の中のヨーロッパの建物ではなく、今ある家や外構との相性やバランスが大事ですよ。

バラで家を覆うのではなくて、つるアイスバーグが家の美しさを引き立てるのです。

家は本来美しいものですから、傷めつけてはもったいないというか、申しわけないという思いです。




ちなみにつるバラを植える際は、家の外壁から少し距離を取って植え付けます。

高温多湿の瀬戸内地域の環境で木造建築の場合、べったり壁面に植物を植えると壁は苔や藻で汚れ、家の基礎に水気が集まります。
他にもシロアリが来るなどして将来的には家を傷めます。

ヨーロッパで見られるような石造り、レンガ造りの家なら大丈夫かもしれませんが、夏暑く虫が大発生する日本(瀬戸内地域)においては、家の周りは清潔に保ち、軒内は犬走を打つなどして通路を確保しましょう。





7月中旬

玄関前と足元ををさり気なく隠す植栽。

どちらの駐車場からもスムーズに玄関に入れる導線。



ポーチから見た通路。


緑に包まれるあられこぼしと飛び石のステップ。




真ん中の植栽スペースの地盤を少し高くすることで、駐輪場側の水は道路に向かってすばやく自然排水できる。


コバノズイナ、ハギ、シモツケ、アジサイ等、集団で暑さから守り合うように植栽。
真夏に暑い場所は暑さに強い植物でカバーし、陰になるところには奥さまの好みに合わせて山野草など茶花も入りました。




駐車スペースしか取れないと思われる場合でも構成次第で緑溢れる庭が作れます。




Tさま、遅くなりましたがようやくアップできました

来月はつるアイスバーグに寒肥をあげましょうね

今年はどんな花姿が見れるか今からとても楽しみです


これからも一緒に植物の成長を見守っていきますね。

ありがとうございました!!











謹賀新年 2017

2017-01-06 02:14:42 | 日記
新年が皆様にとって幸せな年になりますように!

昨年はお店(丘の上のつるばらや)や庭工事を通じて沢山のご縁がありました。

お店にご来店下さったり、ホームページを見て庭工事をご依頼頂いた方々、ご縁があったみなさまに感謝します。

以前はブログだけでしたが、最近はFacebookやインスタグラム等のSNSを通じて、沢山の方々と同時に交流できるようになりました。

SNSでも「いいね」等、応援して頂きありがとうございます!

応援してくださる方々のお名前をお一人ずつ拝見しながらページを管理していますので、お知り合いの方はもちろん、お会いしたことない方や遠方の方もお名前を記憶しています。お店に来てくださったときにはどうぞお声をかけてくださいね。

いつも温かい応援、ありがとうございます!


思えば昔はブログで一つの記事を書くのに10時間以上費やしていました。

日中は現場なので、夜中にほぼ徹夜で書き上げ、朝から仕事にいく日々を繰り返していました。

それに比べてFBやインスタはなんと楽になったことか・・!

ただ、お庭の施工例や庭に対する考え方などはブログで詳しく書き残しておきたいという思いは変わっていません。

思いはあれど、昨年は自宅のパソコンが何度か故障し、書いた文章が片っ端から消えるという状況に撃沈・・

お陰さまで日中忙しかったため、夜中はあっさり諦めて眠りに落ちる毎日でした

パソコンはその後何度か修理に出したのですが、故障続きでほぼ使えない状態だったため、昨年一年間のお庭の施工例や考え方などを書き残すことが出来ず申し訳ありませんでした


特に昨秋はスタートから三年かかって親方の思いの丈を込めた庭が完成しました。




施主様には大変ご迷惑をおかけしましたが、親方のこだわりをご理解下さり、いつも温かく迎えて下さってありがとうございました!

三年間の思いが沢山あり、こだわりを一言ではお伝えできないので、徐々にアップしていきたいと思います。

日本庭園以外にも私達の価値観に共感してくださる施主様と出逢うことができ、思いの詰まった庭が沢山生まれました。

こちらも一件ずつ丁寧に書き残して、みなさんにお伝えしていきたいと思います。



新年ということで、改めてバラと庭についての思いを書かせて頂きますね。

バラの庭というとイングリッシュガーデンやフランス式庭園を想像される方も多いと思います。

庭師の中にはバラと聞いただけで派手でうんざりする・・という方もおられますが、

様式やスタイルに対するイメージだけでバラと庭を結びつけて考えるのは少し残念です。


私達はご要望に応じて様々な庭を作りますが、どんな庭であっても日本庭園の決まりごとや排水等を最優先事項として庭を構成し植栽を考えます。

日本庭園には繊細な気遣いや視覚錯覚を利用した遠近感、日本の環境や生活で生まれた知恵と技術、美的センス等が詰まっていて、決まり事が沢山あります。

たとえ洋風の庭であってもバラの庭であってもその決まり事を必ず解決したうえで庭の構成を考えます。




庭のリフォームを検討する場合でも、家や外構全体を無視した構成になるようでは将来的に必ず問題点が出てきます。

とりあえず一部分だけ中途半端に仕上がるくらいなら、急いでやらない方が良いかもしれません。

その土地や環境で生活していくための理由や理想があって、その理に適うことが重要です。

そこに景の美が加わることも重要です。

そんな庭が時間をかけて残っていくもの、価値あるものになると考えています。





そんな考えからも、つるバラを庭の一部に取り入れるご提案をしています。

「庭」は、植物が主体となって構成されたものであれば、その土地の気候風土に大きく左右されます。

この辺りの瀬戸内地域であれば、真砂土や赤ネバ、白ネバの土質が多く、ほとんどの場合で土壌改良が必要です。

土壌改良をすることで、多くの植物が育ちやすい環境を作ることが出来ますが、中でもつるバラは病気に強く成長が旺盛なものが多く育てやすい。

限られたスペースの中でも剪定や誘引で日当たりを確保したり、成長スペースを決めて管理することも出来ます。



お隣と隣接した狭い庭の中でも、柔らかい目隠しとして生活スペースを穏やかに囲んでくれたり、日本の高温多湿の環境でも一本のつるバラが日陰を作ったりする光景は自然でとても癒されます。

その場合、庭を構成する植木や構造物の配置、耐久性も重要です。

バラにとって、日当たりは命ですが、瀬戸内地域では真夏の西日を避ける構成や風の通りを考慮した植栽や構造物が必要です。

ですから、個人の庭に広大なバラ園のようにバラばかりを植えることはお勧めしません。

誘引を頑張りすぎてもイバラ屋敷になりかねませんし、さりげない自然感がなくなってしまったら残念です。

びっちびちに誘引して、野菜を収穫するように出来るだけ花をたくさん咲かせましょうとも考えていません。

柔らかい枝のオールドローズなら、花数よりもあたかも自然に咲いたかのような美しい樹形の方が大事です。

「自然の理に適うように植物が配置されているかか」「庭に美しい景色が生まれているか」いうことを大切にしていますが、
バラは元々いろいろな楽しみ方がある植物なので、どれが正解でどれが間違いと決めることはできません。



ただ、つるバラは圧倒されるような風景を作り出す一方、一輪一輪はやさしく、繊細でさり気ない自然のままの植物だと感じています。

そんな感じ方や庭の魅力を日本の庭師目線でお伝えしていきたいと考えています。


最近ではヨーロッパの公園等でも多くの農薬が禁止される時代になりました。

日本でも無農薬もしくは減農薬で管理し、時代が変わってもバラが次の世代に受け入れられ続けるよう尽力していきたいと思います。


長々とお付き合いくださってありがとうございました

今年も庭や植物を通じて良いご縁がありますように!