露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

駐車場と庭のリノベーション工事「つるアイスバーグの庭」

2017-01-09 02:29:04 | お庭の施工例

昨年春に完成した駐車場と庭のリノベーション工事のご報告です。


こちらは当初枕木などを使って、ご自分でお庭を作られていましたが、経年で劣化したことと駐輪場を新たに設置するため、ご依頼を頂きました。

お庭のご依頼やご相談で「狭いから庭を作れない」「植物を端っこにしか植えられない」というお悩みをお聞きしますが、本当は狭いところこそ構成次第でお洒落になります。

Tさま、ご依頼から何カ月もお待たせしてすみませんでした


施工前



家の敷地と接する道路は緩い坂道となっていて、敷地の左右で20センチ以上の勾配があります。
そのままべったりとバリアフリーにした場合、左右で見た目が傾いて見えるので違和感を感じます。

また、大雨の時には敷地の右から左へダラダラとうわ水が流れ、経年で土が削れてきます。
写真でも左の敷地から道路に土が流れ出ているのが見えます。

この勾配の問題を逆手に取ってアプローチに段差を作り、立体的で歩きやすい通路に仕上げていきます。

両サイドに駐車場を作る場合は全てをバリアフリーにせず、歩きやすい段差を上手に取り入れて水勾配を作ります。










2月解体、鋤取り工事スタート!


 鋤取り後、サイクルポート設置。

 型枠とコンクリート打設。


3月 駐車場の石貼り。



道路に勾配があるため、複雑な合わせになりましたが、綺麗な勾配が取れました。






3月 錆ごろた石のアプローチ。




踏み石で段差を取って奥行き感を出したことで、立体的なアプローチになりました。
道路勾配との違和感も解消できます。





アプローチ工事完成!



このあと飛び石工事と土壌改良、植栽も終了。





3月完成時





早春にはジューンベリーが満開。



ご実家から移植のギボウシも芽吹いてきました。




こちらのお宅に初めてお伺いした際、玄関ドアがとても素敵で印象的でした。
ドアの雰囲気とお家のデザインに合わせて玄関ポーチ前につるバラを一本植えることをお勧めしました。


今回10種類ほどセレクトした中から選ばれたバラは「つるアイスバーグ」


つるアイスバーグはステムが長いので、花の重みで枝が優雅にたわみます。

葉も光沢があるので病気に強く美しいです。つるバラは花以外の葉や樹形がとても重要ですが、つるアイスバーグは花がない時期でも美しいので景色になります。

他のバラにはない優雅さと華やかさを持つ大好きな白いバラ、お家の雰囲気にピッタリの上品な品種を選ばれました




数年後には通る人が思わず立ち止まるような景色が生まれると思います。



つるバラはボロ隠しのように考えず、樹形も考慮して品種を厳選しましょう。

雑誌の中のヨーロッパの建物ではなく、今ある家や外構との相性やバランスが大事ですよ。

バラで家を覆うのではなくて、つるアイスバーグが家の美しさを引き立てるのです。

家は本来美しいものですから、傷めつけてはもったいないというか、申しわけないという思いです。




ちなみにつるバラを植える際は、家の外壁から少し距離を取って植え付けます。

高温多湿の瀬戸内地域の環境で木造建築の場合、べったり壁面に植物を植えると壁は苔や藻で汚れ、家の基礎に水気が集まります。
他にもシロアリが来るなどして将来的には家を傷めます。

ヨーロッパで見られるような石造り、レンガ造りの家なら大丈夫かもしれませんが、夏暑く虫が大発生する日本(瀬戸内地域)においては、家の周りは清潔に保ち、軒内は犬走を打つなどして通路を確保しましょう。





7月中旬

玄関前と足元ををさり気なく隠す植栽。

どちらの駐車場からもスムーズに玄関に入れる導線。



ポーチから見た通路。


緑に包まれるあられこぼしと飛び石のステップ。




真ん中の植栽スペースの地盤を少し高くすることで、駐輪場側の水は道路に向かってすばやく自然排水できる。


コバノズイナ、ハギ、シモツケ、アジサイ等、集団で暑さから守り合うように植栽。
真夏に暑い場所は暑さに強い植物でカバーし、陰になるところには奥さまの好みに合わせて山野草など茶花も入りました。




駐車スペースしか取れないと思われる場合でも構成次第で緑溢れる庭が作れます。




Tさま、遅くなりましたがようやくアップできました

来月はつるアイスバーグに寒肥をあげましょうね

今年はどんな花姿が見れるか今からとても楽しみです


これからも一緒に植物の成長を見守っていきますね。

ありがとうございました!!











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