露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

アンティークレンガのテラス

2014-05-26 22:28:44 | 庭仕事
備前で買い付けたアンティークレンガ。

ほんもののアンティーク(解体されたレンガ)なので、同じレンガでもパレットごとに全く違ううえ、

レンガ一個一個も色と形、厚みがバラバラです。





最近雑貨や家具などあちこちでアンティーク人気ですが、手に入るものの多くは本物のアンティークではなく、

わざと古く見せかけた「アンティーク風」なものばかりです。

私は若い時に雑貨のバイヤーをしていたのですが、その当時はそうした「アンティーク風」なものが可愛いとかオシャレだという価値観でした。

若い自分には本物のアンティークは手が届かない値段だったこともありますが、重厚すぎて重い、気がこもってて怖い、

などと毛嫌いしていたような記憶があります。

当時は「気がこもってて怖い」と考えていたくらいですから、自分がまだ若く未熟で、

それらのものが発する気を受け止めるうつわがなかったんだと思います。





自分が年を取ってみると、安い素材をわざと古びた感じに塗装したり、安易に錆びさせたりしても何の感動もないうすっぺらい印象を受けます。


良質の素材を丁寧に塗装したものが大切に使われ続け、年数かかってはじめてアンティークになるんです。




全てはものが生まれた時にアンティークになれるかどうかが決まります。


良質の素材でなければ年数かけて生き残ることができないし、丁寧に作られたものでなければ大切に使われない。

大切に使われ続けるためには、家族や生活の中に愛情が必要です。

それらをクリアして生き残ってきたもの、伝えられてきたものに感動します



たった一つのレンガにも生まれたときからの記憶があって、それが集まって重厚なのにやさしい空間になるんです




ランダムになりすぎるとだらしない感じになるため、いくつかの決まりごとを作って並べていきます。

重厚感と温もりのある本物のレンガ。







味のあるレンガですが、目地詰めとかき落としに恐ろしく時間がかかります




土砂降りでも作業できるとこまで続けます












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