さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

京都祇園祭の染織美術

2010年07月05日 | 本♪
動く美術館ともいわれる祇園祭の山鉾。

その懸装品について、各山鉾の見どころや歴史的価値を紹介している
ポケットサイズの京都書院アーツコレクション「京都祇園祭の染織美術」。

たしか永徳展だったか?その時京博で頂いたもので
しばらくその存在を忘れてしまっていたが、先日、京都本が詰まったダンボール箱から
ひょっこり顔を出しているところをみつけ、
「時は今!」ということであらためて読むことになった(笑)

懸装品といえば、欧州綴織壁掛の「リベカ」や「イーリアス」がお馴染であるが、
吉田孝次郎氏の「山・鉾の装飾-渡来染織品を中心として」を拝読すると、

室町絵画に見る懸装品には、中国・朝鮮からの輸入品であろう
虎・豹の毛皮の多用や、山洞に袈裟を原形のまま使用したりしているそうで、
これにはビックリ!
早速、出光美術館でもそれを探してみたが見つけることはできなかった(笑)

初めのころは、高価な物や珍しいものなどがそのままで飾られていたのだろうが、
それが様々な渡来品を日本独自の美意識で、加工し祭り全体としての統一感がある
素晴らしい山鉾にしてきた下京町衆のセンスと経済力に驚くばかりである。

また「蝦夷錦」と呼ばれる清朝貴人の官服を仕立てなおしたものなども
江戸中期より多用されているらしい。

今年は、この「蝦夷錦」に注目してみたい。