あのう、まことに唐突ですが、中村 中さんってご存知ですか。
一昔前、日本のある方からお教えいただき、存じ上げるところとなりました。
若い日本の歌手です。今、どうしておられますか。
ピアノを弾きながら、自作と思われる歌をしみじみと歌われます。
女性ですが、戸籍上は男性。この頃よく耳にする「性同一性障害症」をお持ちの方です。英語で、Gender Identity Disorder (GID)。
一見する限り、どう見ても女性。歌も、まあまあお上手です。NHKの紅白歌合戦にも出られましたが、紅組の一員としてでしたね。
私、こういう方に、ロンドンで、3人お会いしたことがあります。全て日本人。MからFがお二人。その逆がお一人。
要するに、例えば、この中村さんの場合は、自分は男性として生まれて来られたけれども、心情、また感覚は、完全に女性のそれである。したがって女性のように振る舞う。そういうことではないでしょうか。
少し調べてみましたが、どこにも、彼女、性転換手術を受けたとは書いてありません。あくまで、性同一性障害症。したがって、戸籍上は男性というわけです、彼女。
彼女に関して、私の興味をことに惹いたのは、そのお名前です。
しかも、これ、ご本名なんですって、吃驚しました。
本名というのはいいんですが、もしこれが、幼児期にご両親から頂かれたお名前だとすると、それは、もう出来過ぎ。だって、まさしく「中性的」なんですもの。
彼女が、成人後、自分で変えられたお名前ではないでしょうか。
私、名前というものに興味があるんですが、この「中村 中」なんて、非常にセンスのいい、しゃれた名前です。
それに比べ、昨今、日本の若いご夫婦が、自分の子供につけられる「キラキラ名」というんですか、あれなど、恥ずかしい名前が多すぎる。
普通、姓と名のバランスが取れていないし、第一、それらの「キラキラ」、読めやしない。
ところで、「中村 中」は、「なかむら あたる」とお読みします。「なかむら なか」ではありません。
「中る」と書いて「あたる」。
「予想が中る」というふうに、「的中する」という意味での「あたる」にこの字を宛てます。
最後に、。
中村さん、ご自分の姓名を漢字で書くとき、姓と名との間に、必ず「半角」の空間を入れることと、注意書きをつけられます。
「中村中」でも、「中村 中」でもない「中村 中」。
こういう、彼女の、実に繊細な「神経の配り様」は、よく理解できます、私。