私、永らく英国住まい。
どんなものでも、スポーツを観るのは好きです。まあTVで、ということですが。
TVで放映される位ですから、余りに下手なのはお目にかかりません。
ただ、私の観るのは、大抵、やはり男性のしておられるものですね。球技なんかは、ことにそうです。迫力が違う、。
しかし、その日ばかりは例外的に女性の球技でした。これは、どうしても観たかった。
全米オープンテニスの女子決勝。NYから。
プロテニスに「世界四大大会 」ってありますよね。全豪、全仏、全英、全米の4大会です。
この中で、一番歴史があり、最も有名なのは、やはり全英(ウインブルドン)です。唯一、芝コートでのテニス。
ですから、ここ英国、お膝元の全英大会は、国を挙げて大々的にTV放映しますが、あとの3大会の試合は、辛うじて、全仏のを少しだけという塩梅です。
他の2大会(全豪、全米)の戦績は、どうぞご自分でお調べください、と言わんばかり。
しかし、昨日の試合は、何百万という英国民が観たと思います。私も、その一人です。
例年なら、たとえ決勝といえども、この2大会の試合が、英国でTV放映されることはないのですが、昨日ばかりは、例外でした。
私、全米オープンの試合を、TVにしろ、まともに観たのは、これが初めてです。そして、結果も上々で、非常にいい試合でした。
決勝に残ったのは、英国Emma Raducanu ( エマ ラデュカヌ)18歳と、カナダの Leylah Fernandez(レイラー フェルナンデス)19歳。
急遽放映を決めたのは民放の4チャンネルでした。しかも初めから最後まで、コマーシャルなし。これは実に嬉しかったですね。
この試合が、これほど、英国民の注目を集めたのは、ラデュカヌの特殊性です。
だって、彼女、英国でも、知る人が余りないほどでしたもの。世界ランキングが180位くらいだと思います。今年のウインブルドンにも出ましたが、ベスト16で、呼吸困難に陥り、途中欠場。
ですから、この全米でも、最初から本戦に選ばれたのではなく、その前に3試合の予選。全てストレートで勝ち、本戦に臨みました。
でも、それからが、まさに瞠目もの。あれよあれよと勝ち進み、ついに決勝までたどり着いたのです。
しかも、それらの試合、全て2セットのストレートで勝っています、タイブレークなどというのもありません。
この18歳のエマちゃん、つい最近まで高校生でした。また、彼女のお住まいが、ロンドンの郊外で、私の家からそんなに遠くないところにあります。
彼女の話を聞いていると、実に明朗で快活、気持ちのいい女性です。彼女の育った家庭が、よほど良かったのでしょうね。
彼女の決勝戦の相手、フェルナンデスは、細身ですが、シードされていたのではありませんか。一方、ラデュカヌは、体格も良く、何だかスポーツ万能みたいに見えます、とにかく運動神経が抜群ですね。観ていて、非常に気持ちがよろしい。
フェルナンデスは、2回戦で、大坂ナオミ、それにその後、アンジェリカカーバー(ドイツ人、ウインブルドン優勝経験あり)も下しています。ですから、エマちゃん、彼女の老獪さに、翻弄されてしまうかもしれないと思っていたのです、実は。
しかし、やはり、ラデュカヌに、一日の長があり、ストレート勝ち。ちなみに、4大大会で、予選を戦わねばならない人(qualifier)が、優勝するなんて、男女を通じ、前代未聞。冗談でしょ? という次第です。しかも、全てストレートで完璧。
6:4、6:3でしたが、実際はもっと緊迫した試合であったように感じました。ハラハラする、ラリーの応酬と、ラデュカヌの精神力。
久しぶりに、いい「女性のテニス」を観せていただきました。セリーナウイリアムズみたいに、「力でねじ伏せる」というところもありませんし、上品ですし、。
女子テニスのレベルも、ずいぶん上ったものですね。エマちゃんのこれからが楽しみですが、17歳でウインブルドンを取った、マリアシャラポバみたいにはなって欲しくない、。
エマちゃん、英国人ですが、カナダ生まれ。幼児期に両親とともに英国に渡って来られたのですね。
苗字はルーマニア人のそれ。お母さんは中国人。したがって、エマちゃん中国語も話されます。二重国籍でバイリンガル。
一等賞金3億円ももらったんだし、上手く育って欲しい。
エマちゃん、本当におめでとう。
おじさん、嬉しいわ、。