プロスポーツマンで人格者といえば、私の頭に浮ぶのは、阪急ブレーブス(現オリックスバッファローズ)の梶本隆夫投手。
岐阜の多治見工業で、高校時代、すでに勇名を馳せていました。
卒業時、プロ3球団が「是非、うちに来て」と言ってきましたが、提示契約金の一番低かった(50万円)阪急に入ったんだとか(他は、巨人200万、中日100万)。
これは、彼のお母さんの助言。高い契約金をもらって、活躍できなかったら、会わす顔がないから、との理由からですって。
彼の家は、多治見の「梶本ミシン商会」とかいう、ミシン屋さん。可なり裕福だったのではないでしょうか。
でも新人で20勝を挙げているんですよ。ただ、新人王は取れず、南海の宅和本司に持って行かれました。
生涯阪急一筋。
私、根っからのパリーグファンで、それも西鉄ライオンズ。これは、単に、10歳上の姉が面食いで、男前の大下弘に入れあげていたから、というだけの理由です。
でも、今思えば、阪急ブレーブスこそ私に向いていた球団でしたね。地味だけれど、いいチーム。
梶本隆夫が立派な人間であることを示す、有名な話。
彼は、現役最後の頃、通算勝利数が254。しかし、敗戦数が一つ上回り、255。
そこで、その時の監督が、「勝てる試合の後半にリリーフで出て、せめて、負け数が勝ち数と同じにしたらどうだ?」と持ちかけました。
しかし、「そんな、他の人の勝利を、自分のために奪うようなことはしたくありません」と言って、梶本はきっぱり断ったとか。
西鉄は、稲尾和久に、ある年、42勝もさせたけれど、それは、当然酷使。稲尾は、それで終わりになってしまいました。
そんな球団嫌じゃ。