平成27年1月11日、12日の2日間、名古屋ユマニテク歯科製菓
専門学校で行った「第3回食べる力を育てる研修会」の報告で
す。
今回はお正月気分がぬけきらぬ中での研修でしたが、65名
の参加者があり内訳は,42名が特殊教育教員、施設関係12名、
歯科関係4名、保護者4名、その他3名でした。地域別では、
長野8名、埼玉2名、奈良5名、京都1名、静岡6名、三重1名、
岐阜4名など県外が約43%を占めました。とくに長野の方々は
片道3時間以上をかけての参加で、寒い中を本当にご苦労様で
した。1日目は、野村春文先生(埼玉県立熊谷特別支援学校教頭)
から、とくに息のとおる「のど」と、息をする「おなか、せな
か、むね」について解説いただきました。昼食時には、2人の
重症児のお子さんにご協力を頂き、実際の食事介助を通じ、姿
勢、口唇介助、下顎への手の添え方などの介助ポイントについ
て指導がありました。寒い中ご本人はもとよりご家族のご協力
に感謝いたします。
野村先生 写真はクリックすると拡大します
玄景華先生(朝日大学歯学部付属病院障害者歯科診療科長)
からは、「口腔の構造と衛生 障害児の口腔の特徴」のお話が
ありました。今回は歯科衛生士の太田さんに「歯磨きと口腔ケ
ア」のお話と、楽しく実技指導をしていただきました。
玄先生

提供された事例について、当事者の立場で問題点や対応策を出し
合い、それらの共通項目を整理し、その対応などを討議し、各グ
ループの代表者が発表を行い、食介助の問題点の見方や考え方を
学びました。



とくに舌の機能を発達的な視点から動画や画像で解説いただき
ました。とくに、舌の動きをコントロールする舌骨上筋群と
下筋群の働きについて、詳細な説明がありました。
石黒先生


食介助を実践しながら、具体的な方法を学びました。
午後は、野村先生より経管栄養、胃ろう、気管切開、人工呼
吸器装着の様な重い障害のお子さんに対する場合の注意点な
どの話があり、最後に、橋本広季先生(愛知県コロニー中央病
院歯科医長)から、摂食時における救急時の対応に関する話が
ありました。
今回も盛りだくさんの内容でしたが、参加者の熱心に学ぶ姿
勢が印象的でした。

・実技がわかりやすい。モデルのお子さんも協力いただきわかり
易かった。
・呼吸障害の見分け方と対応の仕方が、自分の中でつなかってい
なかったが、今回ようやくわかりました。努力呼吸の様子の映像
を見ることができ理解しやすかった。
・歯科医や歯科衛生士さんから歯科治療や口腔アの話が聞けて、
教育と医療の連携の必要性がわかり、学校側から働きかけたいと
思った。
・日頃接している子供たちにすぐに使える内容が多かった。
・インシデントプロセス法は初めてで、勉強不足の自分自身でし
たが自分なりに子供の様子を捉えたり、周りの方からたくさんの
見方を教えて頂け、とても有意義でした。
・食べる力を支えるための口、舌の動き、鼻呼吸などお話が伺え
てよかった。
・静的弛緩の考え方は、わからない部分が多い世界でしたが、
今回お話を聞く中で実際に有効である事がとても良くわかり、
すぐにでも指導に生かしたいと思いました。
・解剖学的にどうしてかという説明かあり、勉強になりました。
・摂食は幅広い知識が必要であり、その広いところを全て勉強
できた思いです。
・石黒先生の「舌が主役」ということで発達段階と舌の働きを
関連づけ話して頂き、舌に着目する大切さに気付かされました。
・現場で困っていること(嘔吐させない)について日々の支援
の検証ができ、行うべき支援を 学ぶことができました。
・気切しているが分離していない子の、のどの動き広がりを再
び学習していけるとわかり、とてもうれしかった。
・たくさんある摂食研修の中で、本研修のように教育的な視点
を重視したものは少ないので大変参考になりました。

(一部抜粋)
・とても具体的な研修でよかったですが日程が詰まっていて苦
しかったです。内容の一つか二つ減らしてゆったり研修できる
と良いと思ったりもしました。
・集中力が持たなくなることがありました。実技もっとやりた
かったです。
・インシデントプロセス初めてだったのでもう少し説明や時間
があればよかった。体のひろげかた、実践しても一度ではなか
なか実感できなかった。ひとつひとつもう少し時間を長くして
ほしいです。
・講義の時間が延びることが多いのでより、時間をとった日程
を計画しても良いのではないでしょうか。研修を受ける側とし
てはどれもじっくり聴きたい内容だったので。
・一日目が10時スタートであわてることがなくよかった。たく
さんの内容があり時間が伸びてまうこともあったので、もう少
し、内容を精選してもよいのでは。
多くのご感想や改善点などのご指摘、大変ありがとうござ
いました。スタッフ一同、今後の研修の方法や運営に参考
にさせていただきます。
次回の研修予定は、4月になりましたら本ホームページ等
でご案内いたします。