195第13話ダリバウへ
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第13話
ダリバウへ
あらすじ
ファウンデーション暦493年、ミーター、イルミナ(?)、ペイリーはターミナスに着いた。ジスカルド・ハニスとは地球への音信以来連絡が途絶え、ターミナス全土を探したが、見つけられなかった。
アルカディア農園は無事だった。ハニスとコンパーが上手に政府の力から手練手管で守っていたからである。
代理人としてジム・ヘンダーという50代の男が農園を維持していた。
ミーターは、ジムの履歴正体をつまびらかにする。
後日、二人はターミナスのアルカディア記念博物館に隣接しているサルヴァー・ハーディン博物館にムン・リー・コンパーを変装して訪ねた。ヘルダーを通して申し合わせしていたからである。
3人(?)は、コンパーからハニスの消息を聞かされる。スミルノに近いダリバウという過疎化が進む弱小惑星にいるらしい。
彼らは一旦、アルカディア邸に戻って、ダリバウの旅程をヘンダーと打ち合わせる。
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ミーター ヘンダーさん、ダリバウにハニスさんは潜伏しているらしいことはわかった。ダリバウについて何かご存じですか?ハニスさんを探し出す方策について何かいいアイデアがありますか?
ヘンダー ダリバウは、スミルノ星系にあって極めて弱小惑星です。とくに目立った産物もありません。言えるとしたら、二つあります。ひとつ目は、海の綺麗さですね。それでスミルノやターミナス、旧アナクレオン区域のなかで最近にわかに別荘地域として人気が出て来てます。
もうひとつは、謎めいた伝説があります。首都のケリアにある古ケリア神殿遺跡の地下に「涙の黒い太陽」の像が埋蔵されていた、というのです。
ミーター それは今でもみられるのですか?
ヘンダー いいえ、ある報告がずっと昔にあっただけです。今はそれは消えてしまったという噂です。
ミーター 「涙の黒い太陽」って、あのベリスが目撃した、彷徨えるシンナックス人たちの伝説のですね。
ヘンダーさん、その「涙の黒い太陽」というのは、いつ頃の話ですか?
ヘンダー 確か、1000年前にスミルノ及びターミナスが最初に発見された前後というだけはわかっていますが。
ミーター ということはターミナス建設の500年前か。とすると、ベリスに現れた「涙の黒い太陽」はターミナス入植以前500年前ということになる。
ペイリー ミーターさん、私の感なんですけど、シンナックス人のガール・ドーニックはここターミナスに来る前、トランターでハリ・セルダンに会ってますよね。
ミーター もちろんだとも、ベイタ・ダレルの本の通りだとするとね。
ペイリー そしてターミナスでベリスに会いますよね。そして彼らは結婚して、一人娘のドースが生まれる。
それって、もしかして、「シンナックス・コインシデンス」というんですね。
ミーター そう言うんですか?
俺は知らなかった。
ペイリーさん、それについてあなたは前からご存じでしたか?
ペイリー パパから教わりました。
そしてこの前のシンナックスで、シンナックス中央図書館で、あのガール・ドーニックが隠されてあった神殿の所在を調べてから、現地に行って見ました。
ミーター えっ!ずっと浜辺にいたのかと思っていました。図書館へ?
ペイリー その神殿は、すでに朽ち果ていましたが、グレディアさんらの遺体の埋葬あともおおよそ探り当てられました。
それから、そこダリバウも不思議なところです。シンナックス人のおおよそは地球のニフ人ですが、もともとは地球の海洋民族だと学びました。
ですから、ターミナスはもとより、カルガン、セーシェル、シンナックスも、そしてダリバウも海の綺麗なところから、何か共通項があるみたいですね。
ミーター そうなんですね!海で共通!
1000年前にこの銀河の海のある星々を旅して回った。
ペイリーさんは案外隅に置けないな!あなたはシンナックスの浜辺でただリラックスしていただけだと思っていました。
ペイリー それにです。私の育った月は、とても寂しいところでした。
私の一番近くにいて、育ててくれたのは、ロボットのオーロラ・ルナセントですが、その他には遊び相手は、数台のロボットとチクタクしかいませんでした。言うなれば、孤独でした。
ミーター その孤独が何かダリバウと関係があるのですね。
ペイリー そうですね。孤独な星。見捨てられた遺跡。それから、ご自身の星から見捨てられたジスカルド・ハニスさん。
とても他人ごととは思えませんよね!
ミーター そうだったんですね!
ペイリーさんに比べたら、俺なんて、いい仲間に囲まれていたんですね。
アルカディアや彼女の知り合い。オリンサスさん。トランターの農園の方々。そしてイルミナ。
ペイリー ダリバウの首都の名前をご存じですか?「ケリア」っていうんですよ。その銀河聖語の意味は「ヤマブキ」って言うんですよ。