218第36話Di Antara Galaksi (ディ・アンターラ・ガラクシ)
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第36話
Di Antara Galaksi
ディ・アンターラ・ガラクシ
おおまかな銀河史
本編を繙(ひもと)く前にこの物語に至る歴史の概要をお示しすることは読者には有益になるでしょう。
前史
地球暦12500年=銀河暦元年
トランター帝国、銀河帝国となる。
銀河暦500年ごろ
身代わりの天使出現。
銀河暦900年ごろ
最後の地球残留人(ニフ人)、地球を去ってアルファ星に移住。
銀河暦2000年ごろ
ダニール・オリヴォー、イオス星にロボット修理・製造工場を建設。
偉大なるルエリス、穏和な統治システムを提唱。
銀河暦8789年
惑星リゲインの「文芸復興」、8年で破綻。
銀河暦11865年
女性型ロボットドース・ヴェナビリ、イオスで製造。
銀河暦11988年
ダニール・オリヴォー、デマーゼルと名乗って、銀河帝国の宰相となる。
クレオン一世、ハリ・セルダンの誕生。
銀河暦12028年
ダニール・オリヴォー、首相を辞任。後継にハリ・セルダンを指名。
銀河暦12066年
ダニール・オリヴォー、地球探索。
ダニール・オリヴォー、ガイアを計画。
銀河暦12067年=ファウンデーション暦元年
ガール・ドーニックら百科辞典財団、ターミナスへの計画決定。
ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委 員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。ガール・ドーニック、ファウンデーションの51番目の委員になり、第1ファウンデーション全般を仕切る。ボー・アルーリン、ガールを補佐し、第2ファウンデーションとの繋がりを助ける。
銀河暦12038年
ハリ・セルダン、宰相を辞任。
銀河暦12040年
ウォンダ・セルダン生まれる。
銀河暦12048年
ドース・ヴェナビリ、死去。ベリス・セルダン生まれる。
ハリ・セルダンの盟友ユーゴ・アマリル没。
銀河暦12067年
ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。ガール・ドーニックファウンデーションの51番目の委員になり、第1ファウンデーション全般を仕切る。
ボー・アルーリン、ガールを補佐し、第2ファウンデーションとの繋がりを助ける。
(ほぼデイヴィッド・ブリンの銀河史の概略に従っております。)
あらすじ
ミーターたちはハニスとの再会を期待してイフニアに向かうべく、ファー・スター2世号のあるダリバウのイケアに戻った。
その時、イルミナからハニスの拘束の事実を知らされる。
あとから駆けつけて来たアンセルム・ロドリックとともにイフニアに行くこととなり、アンセルムから意外な展望を聞かされる。
ダリバウからイフニアに行く途中、ファー・スター2世号の前に、12000年に一回というダリバウの太陽とダリバウの衛星ルエリスとの皆既日食が現れる。この現象は、ミーター一行に何の暗示になるだろうか?
アンセルムは、アルカディア・ダレルの小説を読んでいるペイリー・リャンにペイリーの父ダニールの歴史を、厳かに、そして優しく語る。ルエリスの名前の由来を。
漂泊のシンナックス人は今や地球から見た場合の星座レチクル座付近の奥の大マゼラン銀河にさらなる次のターゲットを決めて、このダリバウやイフニアから出て行ったことをペイリーとアンセルムは同時に了解した。
ミーターたちは、ハニスが投獄されているはずだったイフニアについた。
ハニスは無事だった。その時点までにアンセルムが、イフニア政府をコントロールして、政府トップと内務省にまで浸透工作に成功させていたからであった。
ただターミナス政府は、その偽装イフニア政府の実態にはまだ気がついていなかった。
ファウンデーション連合では、既にサイレント革命(ペイリー・リャンがヤマブキ色のハンカチをミーターに捧げたのをきっかけとして、『ヤマブキ革命』と言われる)が徐々に進んでいった。
それでも一つの危機的状況は依然として残った。改造帝国辞典編纂図書館が破壊されるとイルミナの機能が停止してしまうのだ。
それを阻止するには二重のパスワードによるアンロックをされてしまうまでに時間霊廟のコントローラーと改造帝国辞典編纂図書館のコントローラーを同時にファー・スター2世号のコンピューターに移行させなければならない。
それにはある移行措置が必要だとアンセルムは言う。
しかも、その移行措置に必要な操作はミーターと関係があると言うのだ。
そしてペイリーの流した涙にも。
アンセルムは、おもむろにウォンダの3つのシリンダー・ペンダントについて語り出す。
そして、彼の半生を語りはじめた。
アンセルムは、いよいよ4人に分担して行動するように促す。
ハニスとペイリーはターミナスのモーヴに向かう。
そしてターミナスの帝国辞書編纂図書館の役割は、完全に終了した。暫定的に帝国辞書編纂図書館(イルミナ)の機能はファー・スター2世号のコンピューター内で機能し、新たなリーディング場所に近いうちに再設置される。
方や、ミーターとアンセルムは、イオス星のドース・ヴェナビリとレオナルド・セノビアレッラに面会していた。
ハニスとペイリーはアルカディア農園への帰途、紅く紅葉したコキアの丘 (Red Wall )に火を点け迫り来る政府軍を無防備にさせる。
それはすでにペイリーの策謀でアルカディアそっくりの2万体のチクタクをターミナス全土に繰り出させ、市民を反政府運動へと仕向けたからであって、政府軍のアルカディア農園殲滅を事前に防いだばかりでなく、市民と燃え盛る紅い壁に挟まれて、政府軍は一目散に丘から海岸めがけて武器を放棄して退散したからであった。
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(イオス星のロボット製造・修理工場の一室 続き)
ドース あなた様は、かねてからのご計画通りに、この銀河から離れようとされるのでしょう。
アンセルム なんと、そ、その通りです。
ドース もうすでにご用意しております。
そしてミーターさん、あなたは、もう一度、ラヴェンダーの温泉に入られて、あとから駆け付ける、ハニスさんとペイリーさんと一緒に、その後の地球環境の整備のために再出発されるのです。
ミーター なんですって、明日からまた温泉三昧ですか?
ドース そうです。すでに地球に向かったシンナックとヘリコンの人たちも、まだ十分でない地球の放射能の減化に適応するためにわたしは、ポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスを届けさせております。
あとからこられます、ハニスさんとペイリーさんにもぬるま湯に浸かってもらいます。
ミーター そりゃ不公平だ。8年前は熱湯だったですから。それも4年間も!
ドース アンセルムさん、すでにあなた様のご用意してくださったクロミニウムを銀河の希望ポニェッツ号のエンジン燃料として装填し終わっております。
アンセルム なんとまあ!!
ドース それから、あなたは、大マジェラン銀河渡航団の団長として銀河の希望ポニェッツ号を旗艦として20艘を率いていってもらいます。
アンセルム そこまで!
ドース もちろん、ガイアとシンナックからえり抜き人選して、その20艘に分乗してもらいます。もうその方々は、ここイオスでその出発の日を心待ちにしています。
途中、銀河壁を通り抜けるのに衝撃の数ヶ月を要しますので、心身の強健さを維持する必要がありますので、ヴァナジウム、ラヴェンダー・エキスをはじめ、余りあるほどの食糧を積んで参ります。もちろんその船には食糧再生産システムが完備されております。
アンセルム なんで、わたくしがその統率者になりえましょうか?
ドース 我が盟主ダニールの意向です。彼は、あなた様の人間力に期待しています。
アンセルム 人間力とな?
ドース そうです。「共鳴力」と言い換えてもいいかと。
アンセルム 「共鳴力」ですか?
それで、人員は何人になりますか?
ドース 家族も含めて、9万8千5百72人になります。
ミーター それって、まさか!
アンセルム ターミナス初期移民団の人数!
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