真野教室から川合です。12時間特訓では、台湾や韓国の数学の問題にも取り組みます。どちらもOECDの学力調査(PISAと呼ばれるテストですね)で数学的な活用力では、日本よりも上位にランクしています。そんな彼らが、どんな問題にあたっているのか知っておいても損は無いでしょう。
そんなわけで冒頭の写真は台湾の数学の問題集です。「数学征服者」というタイトルといい、キックボクサーのような絵といい、破壊力を感じます。笑いも誘いますが…。台湾は正式な漢字を使っている唯一の地域ですが、中身も数式や記号以外は、フルに漢字ですので、漢文を読む知識があれば、大体の意味は分かります。例えば、
現代日本の漢字に直せば、若三個連続的正奇数之平方和為1091,試求此三個正奇数。
数学の得意な生徒たちは、「続」や「数」など漢字さえ指摘してやれば解きにかかりますが、誰もが困っていたのは「若」の1文字です。「若い?」「小さいっていう意味やろか?」「3個のうちの一番小さいやつか?」とあれこれ悩んでくれましたが、漢文と日々取り組んでいる高校生ならすぐに気づくはずです。副詞の「もし」ですね。日本語の数学でも「もし、……とすれば」といった問題文に出会うでしょう?
さて、意味が分かればあとは簡単な問題のはずですが、このあと計算の段階で、苦手な人は振り落とされます。私立高校の入試問題の大問1にありそうで、良い感じです。
お次は、おなじみマッチ棒を並べた等差数列の問題ですが、よく見るとマッチ棒ではなく綿棒ですね。綿棒ではなく「棉花棒」と書いてありますが。「排」の字には排除、排水、排他的といった「おしのける」という意味以外に「ならべる」という意味もあります。綿棒をならべて正方形を作るわけですね。漫画で有名になりましたが、バレーボールを「排球」と書くのは、相手コートの方へ「おしのける」ということなのでしょう。
続いては韓国のテキストから。平行線の錯角と方程式を組み合わせたもので、ハングルは読めませんが、これは生徒たちも解きやすかったようです。
最後の、円と直角三角形の問題が、何を言っているのか分かりません。普通はこのような図であれば内接円の半径を求めさせるはずなので、そのように指示をしました。(ハングルが読める方、もし内容が違っていたら、教えてください。)
解き方としては、三角形の面積を使う方法もありますが、接線と一次方程式なら、もっと楽に解けますね。
手頃で、有意義な問題をピックアップして生徒たちに取り組ませましたが、全体としてみると、台湾も韓国も、日本よりレベルがやや上だなと感じます。台湾の問題集の方では、前書きとして、学力低下を嘆いているらしいことが漢字ばかりで綴られており、なかなか興味深かったです。
PISAは3年に1回行われ、今年はその調査年ですが、今回の結果はまだ発表されていません。さて、日本のランキングは上がるでしょうか?
前回の数学的リテラシー・ランキングは、台湾4位、韓国5位、日本は7位でした。ちなみにトップ3は、上海、シンガポール、香港です。
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