
フィリパ・ピアス/著 猪熊葉子/訳
『真夜中のパーティー』
岩波少年文庫 2000年
子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.
『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.
<岩波少年文庫>
=例会レポート=
フィリッパ・ピアスは遠い昔、『トムは真夜中の庭で』が課題本になっています。
この本がとても感動的だったこと、でもこれが課題本になったのは20年ぐらい前なので、そのあとで刊行された『真夜中のパーティー』を推薦しました。
出席者の中には(課題本とは関係なく)『トム』を読んだことにある人がけっこういて、中には「すごく好きで、何度も読みました」という人も。
『真夜中のパーティー』は概ね好評でしたが、『トム』を読んでいる人は『トム』に比べると今一つ、との感想が多かったようです(私も含めて)。
短編だから物足りないのか、また『トム・ソーヤ』のようなカタルシスがない、という意見もあり。
児童文学とはなっているけれど、「大人だからわかるというところもある、子供が読んだらどうだろう」という意見も出ました。
今、大人の目で冷静に読んでの感想は
・変な大人がおもしろい
・子供は成長しているのに大人は変わらない
・出てくる子供が子供社会の端っこいる子たちだからわかる
・子供が目の前のことに全力で当たっているのがよかった など
菊地講師からは
・児童文学は、身辺雑事の中の小さな冒険にわくわくドキドキするのが魅力で、最近そういう本が少ないが、この本はそういう描写がうまい
・人間、特に老人の観察・描写がうまい
・齢をとったら児童文学が面白い。佐藤さとるなどいいよ
・(『トム』に関しては)名作、イギリスの文化の力を感じさせる。子供にとっての「夜」、「夜」に向き合う姿が描かれている
収録作の中では『ふたりのジム』が人気でした。パトカーが車いすを引っ張るのが面白い、でもこれは法律的にはまずいのでは、という指摘も
次点は『川のおくりもの』でしょうか。
推薦者が好きなのは『よごれディック』『川のおくりもの』『キイチゴつみ』『カッコウ鳥が鳴いた』あたり。
『よごれディック』は目の見えない老犬が、犬好きの感情のツボをグサッと押さえます。
他は、なぜそうしたのか本人にも説明できないであろうビミョーな子供の心が、でもわかるわかる、という感じです。
『トムは真夜中の庭で』未読の方は、一読をお勧めします。
なお、今回の例会は課題本推薦者なのに遅刻して、すみませんでした。
故に、私が行く前に発言した方の発言内容は反映されていません。
「子供が読んでわかるのかな~」という意見も。
「描写力がすごい」「人に対する愛情を感じる」「子供のころを思い出す」「小さい男の子が頑張るお話っていいよね」とか
好意的な意見が多かったように思います。
現代の子供は室内でゲームなどで遊ぶばっかりで、この本に描かれているような自然に共感できるのは、昔を知ってる大人の私たちなんでしょうかね。この本を読んだ子供の感想を聞いてみたいですね。