推薦・菊池先生 出席者 男2名 女4名
「破滅の王」「上海灯蛾」と共に戦時上海三部作の二作目で、3冊とも読んだという人も何人か。
課題本についての感想、意見としては
・結末は歴史的事実としてわかっているが、虚々実々混ぜ、架空の人物も嘘っぽくなく書いていて、うまい
・戦争になっていく状況、今と重なる
・和平工作のことなど、勉強になった
・読みやすかった
辛口コメントもいろいろ
・裏方の仕事を描いているので、活劇調だったりSF色が強かったり、フィクションが多い他の2作より地味
・ヒロインのスミが立派すぎ。何をしたいのか、気持ちがわからない
・ヒロインに魅力がない
・山場がなくてなかなか読み進められなかった
その他、本の内容ではなく、描かれた歴史的事実について
・日本軍が馬鹿というのが一番の感想、ひいては男たちって馬鹿ですねー
これは今も同じ、反省していない
講師から
・日中戦争、その和平工作について知るための教養番組として推薦しました
・多くの資料を読み込んで、整理している。歴史小説は資料をどう整理して使いこなすか、どこにフィクションを入れるか。で、この小説は桐工作という歴史的事実の中にヘーゼルというフィクションを入れていて、うまい。ただフィクション部分が抑え気味で、そこが物足りないと感じる人もいるのだろう
・ヒロインが通訳というのは日中を繋ぐということ
・時代小説は作品を通して過去と未来を繋ぐもの。現代と合わせ鏡になっている。日中戦争は現代への示唆である
・時代小説は大きな可能性がある。時代小説に親しんでほしい。このところ、女性作家の浮世絵師の話など、話題になる時代小説も多いし
・満州を扱った作品として、檀一雄「夕日と拳銃」船戸与一「満州国演義」をお勧めします
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