読書会で推薦した本が褒められると、ちょっとうれしい。私の場合、読んだことのある本ではなくて、読んだことのなかった作家の作品を推薦することが多いので、貶されてショックという心配はない。
せっかくなら、読書の幅を広げたいなと思って、読んだことのない作家を推薦しています。
今回は、以前の課題本に挟まっていたチラシを参考に推薦しました。
面白かったと思った本を推薦したわけではないので、褒められると思いもかけずちょっと得した気分。
今回は、ちょっと得した気分どころか、自分でも読んでよかったと思える体験ができました。
ほとんどの出席者から読んでよかったという意見をいただきました。
・読むとずっしり、息苦しさも感じた。認知症でも自分の世界がちゃんとある。
自分の行く末を見るよう
・重い内容の割には読みやすい。嫁とのやり取りも志村けんのコントみたいでユーモアもある。
孤独死が悪いことのように世間ではいうけど、そんなことはないのでは?花をもって逝けるのなら
読めて良かった。
・随所で身につまされる。米山さんや広瀬のばーさんも良いキャラクター。なんでも味噌を塗るって
なつかしい。ラストの山場がいい。おじいさん版も読みたい。
・ユーモアのオブラートに包んで、かなしい話も読めてしまう。
「きょろりん」といったような表現のかわいさ。
おもしろ本棚はデイサービスのようだと思った。米山のじいさんはいいキャラ
・良かった。同じ老人を扱った作品に『おらおらでひとりいぐも』があるが、あちらの方が
孤独な感じがした。カケイさんはいろんな人に囲まれ、孤独を感じていない。いい人生だったね。
ヘルパーさんが薬を断ってくれるところいい。おばあちゃんの言葉遣いなつかしい。
・良かった。うまい作家。読み始めは面白いか面白くないのかわかりにくい。
ケアマネの経験が生きているのか登場人物がしっかり描かれている。
「あい」という言葉好き。
あっさり死んじゃうところは『吾輩は猫である』みたい。
・最初は何が起こっているのかわからなかったが、すごく面白くていい本。
悲惨な感じはしない。出てくる男性はみんなクズだが、女の人は頼りになる。
最後のページに最後の一言がぽつりと書かれている文字のレイアウトもすばらしい。
・入り口ではひいてしまうような、壮絶で汚い世界だが、読んでいると、途中でじーんとくる。
特に「おかあしゃん」と言っていたみっちゃんが死んでしまったところじわじわくる。
お涙頂戴ではなく、構成がしっかりした傑作。
老人文学というのでしょうか、平均年齢の上がっているおもしろ本棚ではわが身にひいて読んだ人が多いのでは?忘れられない本。
講師からは
一人称の小説はいろいろあるが、この作品は一人称でも「認知症のカケイさん」と「それを見ている神の視点のカケイさん」の二重構造になっている。
それがこの作者の最大の工夫。これを書くのはすごく大変。とても難しく力がいる。
ヘルパーをしているときに見た人をよく見てうまく取り込んでいる。
最後の場面もとてもきれいで、もっていき方がとてもうまい。文字のレイアウトも良い。
これからは、老人にスポットがあたるはず。先駆的な作品と言える。
自分ではきっと選ばないであろうと思う作品を読めるのが、読書会。
カケイさんが語る物語は内容としては壮絶で辛く悲しいものなのかもしれない。けれど、そんな
感じがせず、重苦しく感じないで読めるのは、カケイさんが人を恨んだり憎んだり羨んだりしない人
からかな?とも思いました。みっちゃんを亡くした自分の行動は責めているけれど、彼女の周りの人に悪人がいない(こちらから見れば相当ひどい人もいるけど)ようにも見えるのは彼女がいい人だからなのかも。「あい」とか「よかったでしゅ」とかとてもかわいいおばあちゃん。
孤独死だとか、不幸せだとかは人が決めるものではない。自分だけのものだ。
私にも手にお花が咲いて、リヤカのお迎えがくるといいなと思いました。
この読書会が終わってしばらくして、母が亡くなったという知らせが来たので、忘れられない本になってしまいました。
私や弟や妹も誰だかわからなくなっていた母ですが、きっと彼女の手にもお花が咲いて、
うちの猫(リヤカはきっと引かないから乗ってる)や父(車の運転好きだったからリヤカじゃなくて自動車かも)にお迎えされていると思えました。
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