堀江敏幸は『いつか王子駅で』以来の課題本です。
* モノクロームの写真を見ているような印象。
* 気持ちよく読めて静かに読み終わる。
* タイトルに魅かれる。
* 古い機械や道具に対する丁寧な思いを感じた。
* 年齢を重ねてこそわかる味わいがある。
* どこにでも居そうな人の生き方を掬い上げ
独特の世界を表現している。
* ~さん、という呼称により読者も参加して
その話題を聴いているよう。
* 小説は上手いが上手すぎて逆に心に刺さらない。
* 波乱がない分集中して読まないといけない。
* 各短編のラストに不穏なものも多く
それまで感じていた心地よさが裏切られた。
出席者からは以上のような感想が挙げられました。
菊池講師からは、
〈もの〉が持っている〈物心〉に思いを馳せるという作者の『もののはずみ』というエッセイの紹介とともに、
この短編集は〈もの〉との関係が非常によく描けている。
特に最初の「スタンス・ドット」においては、
ボウリングのスタンス・ドットという言葉と
〈彼〉の生き方とが呼応しており、
作者は意図的にこの短編を最初に置いた。
それによって
作品集全体に緩やかな起承転結を作り上げたのだ。
そして〈雪沼〉そのものが登場しないのは
なぜなのか、
小説の土地性を考えるとともに
雪沼とは何か、裏読みしてみるのも面白い。
という講評がありました。
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