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2019/4 わたしは英国王に給仕した ボフミル・フラバル

2019-04-26 14:06:27 | ・例会レポ

4月の例会 4月18日
課題本 『わたしは英国王に給仕した』 
ボフミル・フラバル 著 阿部賢一 訳 河出文庫ほか


もともと河出書房新社の池澤夏樹=個人編集 世界文学全集に収録された作品です。
今年の3月に河出文庫で発行されると聞き、課題本にするチャンス到来!と思いました。

地味だし、字が詰まってるし、なんらかの「読まなくちゃ圧力」がないと読めないだろうと思っていたので、
皆さんが課題本に選んでくださって、読み終えることができて、すごく幸せな気持ちです。
眼福ならぬ、読み福を噛みしめる一冊になりました。

出席は11人と見学の方1人。
ざっくりまとめると肯定的な感想が多い中、
「なんの批判力も持たずに周囲に適応して生きている主人公に魅力が感じられず、
作者の批判精神が書かれていない」という意見もありました。

肯定的な意見としては、
・ 明るいエンタメ、「わらしべ長者」の話と思っていたのに、
全然違ったけれど最後まで読んだらすごく面白かった。


・ 価値観がくるくる変わるあの時代のチェコの歴史に翻弄される主人公が、
ラストは本当の幸せにたどり着けてほっとした。


・ 抗えない流れの中で人は生きていくものであり、すとんと落ちるものがあった。
この年齢で読めてよかった。


・ この作品を映画にしたメンツェル監督は有名な人。
1971年に書かれたけれど、国内で広く読めるようになったのは1990年代なんだよね。


・ エチオピア皇帝に給仕したことが一つの誇りになって、それゆえに強くなれたんだと思う。


・ 戦争は何もかも変えてしまって何も残らないことなど、体験しないと書けないと思った。


・ 語り口が心地よくて読み進めるうちに、主人公の強靭な魂を感じられた。


・ エピソードをモザイクのように重ねていく物語の作り方が面白かった。


・ 読めてよかった。訳してくれた阿部賢一さんに感謝!

講師からは
「語り口の文学。作者に自信がないと書けない作品。
戦争・戦後を描いて、その後の時代の中で評価が変わっていく文学の典型かもしれない。
チェコの占領、統一、抑圧、抵抗、分離などの歴史を知ると、
主人公が最後に「道をつくる」仕事に就くことに象徴的な意味が感じられる。


この作者、作品は社会主義の元では冷遇されたが、
その間の作者の成熟と、時代の合わせ鏡としてしての作風など、高く評価できると思う。
最後に、こういう本は自分で買って読もうね」というお話がありました。

 

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