goo blog サービス終了のお知らせ 

〈読書会〉おもしろ☆本棚

毎月都内で読書会を開いています。
お問い合わせは omohon.renraku@gmail.com まで

4月の課題本『サウス・バウンド』

2009-05-07 21:41:20 | ・例会レポ

奥田英朗(著)  刊行日:2007/08/31 
・角川文庫 上巻580円/下巻540円

父は元過激派だ。
――型破りな父に翻弄される家庭を、少年の視点から描いた、長編大傑作。
21世紀を代表する新たなるビルドゥングス・ロマン! webKADOKAWA

色々な意見が聞けそうな作品かと思い、初めて課題本を推薦させて頂きました。
賛美も批判もそれ以外も、それぞれ思わせることがあり、推薦者とはこういう気分になるものか、というのを面白く感じました。

<参加者より>
◆父親が非現実的で受け入れ難く、最後まで読めなかった
◆奥田英郎の作品は、男性はメチャクチャだが憎めない人格として描かれるのに対して、女性はステレオタイプであることが多いように思う
◆児童文学のようでもある
◆父親が政治的な思想を超えて個人主義になっている気持ちはわかるが、その心情はあまり描かれておらず、筆者はエンターテイメントとして本作を書いたのではないかと思う
◆奥田英郎の作品は、初期の頃の方が好き
◆面白いが、あまり心に残らない
◆男性の気持ちの表現が上手
◆この終わり方で良いのか疑問
◆主人公はリアリティのない小学生だが、父親のキャラクターが強いので読めた
◆父親は何も生み出さない生活をしているが、現実ではあり得ないような信念の揺るがない、突き抜けた強さを持っており、爽快感のある魅力を感じる
◆本作は父親をどう受け入れるかによって、評価が分かれるのではないか
◆自分が本来このような父親でありたかったので、実生活では決してできない、フィクションならではの胸のすくような言動が嬉しかった
◆父親を見て子供が育っていく、成長小説のようでもある
◆最後に、夢を見続けることを貫き通す両親と、子供達が別れて新しい現実生活を始めるのは、終わり方として良い
◆泣けば許されたことや、近所の不良のこと等、主人公に共感できて前半が楽しかった
◆将来、自分の子供に思想教育をすることの難しさを考えて、本作を入門書にしてみる想像をした
◆小学生の主人公が、小学生の身を嘆くところが面白かった
◆妹は四谷に行ってから、姉や母は島に来てから変わっていくように、女性の変化する強さが良く表現されている
◆最後は、ここから新しい話がまた始まるように感じられて良かったと思う
◆子供の視点で物語を進める手法は、大人の複雑な話を表現や説明することをサボっているように思えて嫌い
◆現実味がないので、おとぎ話として捉えると読めるかもしれない
◆上手く面白く書けているが、物足りない
◆筆者は、自分でももう諦めたところがあり、エンターテイメント作品として書いているのではないか
◆父親は、面白いが、実際には関わりたくない人物
◆予定調和だが、丁寧に書かれている
◆体制に歯向かい続けることが、父親のアイデンティティではないか
◆アカハチの話をもっと掘り下げて欲しかった
◆奥田英郎の、あり得ない方向に物語が進む手法が好きだったが、本作はそうでもない
◆大人がわかり易いような、子供の視点の書き方だと思う
◆父親の年齢設定が時代とアンマッチ
◆成長小説や文学等ではなく、単なる娯楽小説か大衆小説のように思える
◆上下巻のそれぞれが別の作品のようで、繋がりが弱い
◆本作は、子供の目線で父親が描かれていることが鍵で、行動だけを追うと父親は鬱陶しい存在でしかなくなるから、映画化すると面白くなくなるのではないか
◆奥田英郎の作品は、普通に暮らしていると思っていたら障害が発生してしまうパターンが多いように思う
◆家族や歴史や差別、マスコミ等、テーマが色々入っている
◆皆が何かしら大事にしている姿に好感を持った
◆映画の父親役は、実際は豊川悦司だが、他の候補として、原田芳雄または菅原文太または椎名誠が良いかもしれない

<講師より>
◆エンターテイメントとして作られた形の作品
◆筆者の技量をもってして、東京は中野と沖縄の2つの舞台を設け、予定調和の物語を仕上げた嫌味な要素がある
◆筆者の世界観が確立して表れている作品ではない
◆面白いが、読んだら忘れてしまう
◆本作における妹のような、物語の端に居る人物の描き方が上手であるのは、筆者の実力を感じる
◆少年が出てくる物語は、リアルに描かれるか大人の視線の中での表現に留まるかに二分されるが、本作は後者である

                                (文責:dot_path

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 古本市 『第1回 鬼子母神... | トップ | 5月の課題本『弁護側の証人 』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

・例会レポ」カテゴリの最新記事