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不起訴事件記録の開示について
1 被害者等の方々に対する不起訴記録の開示に関する従来の運用について
不起訴記録については,これを開示すると,関係者の名誉・プライバシー等を侵害するおそれや捜査・公判に支障を生ずるおそれがあるため,刑事訴訟法第47条により,原則として,これを公にしてはならないとされています。
しかし,法務省においては,平成12年2月4日付けで被害者等の方々に対する不起訴記録の開示について,平成16年5月31日付けで民事裁判所から不起訴記録に関する文書送付嘱託がなされた場合の対応について,それぞれ全国の検察庁に指針を示しており,検察庁においては,刑事訴訟法第47条の趣旨を踏まえつつ,被害者等の保護等の観点と開示により関係者のプライバシー等を侵害するおそれや捜査・公判に支障を生ずるおそれの有無等を個別具体的に勘案し,相当と認められる範囲で,弾力的な運用を行ってきたところです。
2 新たな方針について
近時,被害者等の方々からは,被害を受けた事件の内容を知りたいとの強い要望がなされているところであり,このような要望にこたえ,被害者等の方々の保護をより十全なものとするため,従来の指針に加え,刑事訴訟法第316条の33以下に規定された被害者参加の対象事件(以下「被害者参加対象事件」という。)の不起訴記録については,被害者等の方々が,「事件の内容を知ること」などを目的とする場合であっても,客観的証拠については原則として閲覧を認めるという,より弾力的な運用を図るのが相当であると考え,平成20年12月1日から実施することとして,同年11月19日付けで,全国の検察庁に通達を発出しました。
従来の指針が適用される部分も含めた不起訴記録の開示に関する全体的な方針の概要は,下記のとおりです。
記
第1 不起訴記録の開示について
1 被害者参加対象事件について閲覧請求がなされた場合
(1) 閲覧請求の主体
被害者参加対象事件,すなわち
ア 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
イ 刑法第176条から第178条まで,第211条,第220条又は第224条から第227条までの罪
ウ イに掲げる罪のほか,その犯罪行為にこれらの罪の犯罪行為を含む罪(アに掲げる罪を除く。)
エ アからウに掲げる罪の未遂罪
に係る事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はそれらの代理人たる弁護士については,後記(2)以下の基準に従って閲覧を認めることとする。
また,被害者が死亡した場合又はその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹の方々についても,後記(2)以下の基準に従って閲覧を認める。
(2) 閲覧目的
従来は,不起訴記録について被害者等の方々に閲覧等を認めるのは,民事訴訟等において被害回復のための損害賠償請求権その他の権利を行使する目的である場合に限っていたが,今後は,前記(1)の被害者参加対象事件の被害者等の方々については,このような場合に限らず,「事件の内容を知ること」等を目的とする場合であっても,原則として閲覧を認める。
(3) 関係者の名誉に対する配慮等
ア関係者の名誉・プライバシー等にかかわる証拠の場合,イ関連事件の捜査・公判に具体的な影響を及ぼす場合,ウ将来における刑事事件の捜査・公判の運営に支障を生ずるおそれがある場合などは,閲覧を認めず,又は当該部分にマスキングの措置を講ずる。
(4) 閲覧の対象となる不起訴記録
実況見分調書や写真撮影報告書等の客観的証拠について,原則として,代替性の有無にかかわらず,相当でないと認められる場合を除き,閲覧を認める。
2 被害者参加対象事件以外の事件について閲覧・謄写請求がなされた場合
(1) 閲覧・謄写請求の主体
ア 被害者参加対象事件以外の事件の被害者等の方々若しくは当該被害者の法定代理人又はそれらの代理人たる弁護士について,後記(2)以下の基準に従って閲覧・謄写を認めることとする。
閲覧・謄写を認めることとする被害者の親族の方々の範囲については,前記1(1)と同様である。
イ 被害者等以外の者から,閲覧・謄写請求がなされた場合でも,例えば,過失相殺事由の有無等を把握するため,加害者側が記録の閲覧・謄写を求めるような場合には,正当に被害回復が行われることに資する場合も少なくないので,相当と認められるときには,閲覧・謄写に応じる。
さらに,損害保険料率算出機構,財団法人交通事故紛争処理センター,全国共済農業協同組合連合会及び財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構からの照会については,後記第2の民事裁判所からなされた不起訴記録の文書送付嘱託に関し,客観的証拠の送付に応じる場合と同様に取り扱う。
これらの被害者等以外の者から閲覧・謄写請求がなされた場合の取扱いについては,前記1(1)記載の被害者参加対象事件の場合も同様である。
(2) 閲覧目的
民事訴訟等において被害回復のための損害賠償請求権その他の権利を行使する目的である場合に閲覧を認める。
(3) 関係者の名誉に対する配慮等
前記1(3)と同様である。
(4) 閲覧の対象となる不起訴記録
客観的証拠であって,当該証拠が代替性に乏しく,その証拠なくしては,立証が困難であるという事情が認められるものについて,閲覧・謄写の対象とし,代替性がないとまではいえない客観的証拠についても,必要性が認められ,かつ,弊害が少ないときは,閲覧・謄写を認める。
※前記の内容については,パンフレット「犯罪被害者の方々へ」21ページ等にも掲載されています。
第2 民事裁判所から不起訴記録の文書送付嘱託等がなされた場合
1 不起訴記録中の客観的証拠の開示について
前記第1,2,(4)にいう必要性が認められる場合,客観的証拠の送付に応じる。
2 不起訴記録中の供述調書の開示について
次に掲げる要件をすべて満たす場合には,供述調書を開示する。
(1) 民事裁判所から,不起訴記録中の特定の者の供述調書について文書送付嘱託がなされた場合であること。
(2) 当該供述調書の内容が,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって,かつ,その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことができない場合であること。
(3) 供述者が死亡,所在不明,心身の故障若しくは深刻な記憶喪失等により,民事訴訟においてその供述を顕出することができない場合であること,又は当該供述調書の内容が供述者の民事裁判所における証言内容と実質的に相反する場合であること。
(4) 当該供述調書を開示することによって,捜査・公判への具体的な支障又は関係者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく,かつ,関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるとは認められない場合であること。
3 目撃者の特定のための情報の提供について
次に掲げる要件をすべて満たす場合には,当該刑事事件の目撃者の特定に関する情報のうち,氏名及び連絡先を民事裁判所に回答する。
(1) 民事裁判所から,目撃者の特定のための情報について調査の嘱託がなされた場合であること。
(2) 目撃者の証言が,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって,かつ,その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことができない場合であること。
(3) 目撃者の特定のための情報が,民事裁判所及び当事者に知られていないこと。
(4) 目撃者の特定のための情報を開示することによって,捜査・公判への具体的な支障又は目撃者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく,かつ,関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがないと認められる場合であること。
パンフレット「犯罪被害者の方々へ」[PDF:21503KB]
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不起訴事件記録の開示について
1 被害者等の方々に対する不起訴記録の開示に関する従来の運用について
不起訴記録については,これを開示すると,関係者の名誉・プライバシー等を侵害するおそれや捜査・公判に支障を生ずるおそれがあるため,刑事訴訟法第47条により,原則として,これを公にしてはならないとされています。
しかし,法務省においては,平成12年2月4日付けで被害者等の方々に対する不起訴記録の開示について,平成16年5月31日付けで民事裁判所から不起訴記録に関する文書送付嘱託がなされた場合の対応について,それぞれ全国の検察庁に指針を示しており,検察庁においては,刑事訴訟法第47条の趣旨を踏まえつつ,被害者等の保護等の観点と開示により関係者のプライバシー等を侵害するおそれや捜査・公判に支障を生ずるおそれの有無等を個別具体的に勘案し,相当と認められる範囲で,弾力的な運用を行ってきたところです。
2 新たな方針について
近時,被害者等の方々からは,被害を受けた事件の内容を知りたいとの強い要望がなされているところであり,このような要望にこたえ,被害者等の方々の保護をより十全なものとするため,従来の指針に加え,刑事訴訟法第316条の33以下に規定された被害者参加の対象事件(以下「被害者参加対象事件」という。)の不起訴記録については,被害者等の方々が,「事件の内容を知ること」などを目的とする場合であっても,客観的証拠については原則として閲覧を認めるという,より弾力的な運用を図るのが相当であると考え,平成20年12月1日から実施することとして,同年11月19日付けで,全国の検察庁に通達を発出しました。
従来の指針が適用される部分も含めた不起訴記録の開示に関する全体的な方針の概要は,下記のとおりです。
記
第1 不起訴記録の開示について
1 被害者参加対象事件について閲覧請求がなされた場合
(1) 閲覧請求の主体
被害者参加対象事件,すなわち
ア 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
イ 刑法第176条から第178条まで,第211条,第220条又は第224条から第227条までの罪
ウ イに掲げる罪のほか,その犯罪行為にこれらの罪の犯罪行為を含む罪(アに掲げる罪を除く。)
エ アからウに掲げる罪の未遂罪
に係る事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はそれらの代理人たる弁護士については,後記(2)以下の基準に従って閲覧を認めることとする。
また,被害者が死亡した場合又はその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹の方々についても,後記(2)以下の基準に従って閲覧を認める。
(2) 閲覧目的
従来は,不起訴記録について被害者等の方々に閲覧等を認めるのは,民事訴訟等において被害回復のための損害賠償請求権その他の権利を行使する目的である場合に限っていたが,今後は,前記(1)の被害者参加対象事件の被害者等の方々については,このような場合に限らず,「事件の内容を知ること」等を目的とする場合であっても,原則として閲覧を認める。
(3) 関係者の名誉に対する配慮等
ア関係者の名誉・プライバシー等にかかわる証拠の場合,イ関連事件の捜査・公判に具体的な影響を及ぼす場合,ウ将来における刑事事件の捜査・公判の運営に支障を生ずるおそれがある場合などは,閲覧を認めず,又は当該部分にマスキングの措置を講ずる。
(4) 閲覧の対象となる不起訴記録
実況見分調書や写真撮影報告書等の客観的証拠について,原則として,代替性の有無にかかわらず,相当でないと認められる場合を除き,閲覧を認める。
2 被害者参加対象事件以外の事件について閲覧・謄写請求がなされた場合
(1) 閲覧・謄写請求の主体
ア 被害者参加対象事件以外の事件の被害者等の方々若しくは当該被害者の法定代理人又はそれらの代理人たる弁護士について,後記(2)以下の基準に従って閲覧・謄写を認めることとする。
閲覧・謄写を認めることとする被害者の親族の方々の範囲については,前記1(1)と同様である。
イ 被害者等以外の者から,閲覧・謄写請求がなされた場合でも,例えば,過失相殺事由の有無等を把握するため,加害者側が記録の閲覧・謄写を求めるような場合には,正当に被害回復が行われることに資する場合も少なくないので,相当と認められるときには,閲覧・謄写に応じる。
さらに,損害保険料率算出機構,財団法人交通事故紛争処理センター,全国共済農業協同組合連合会及び財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構からの照会については,後記第2の民事裁判所からなされた不起訴記録の文書送付嘱託に関し,客観的証拠の送付に応じる場合と同様に取り扱う。
これらの被害者等以外の者から閲覧・謄写請求がなされた場合の取扱いについては,前記1(1)記載の被害者参加対象事件の場合も同様である。
(2) 閲覧目的
民事訴訟等において被害回復のための損害賠償請求権その他の権利を行使する目的である場合に閲覧を認める。
(3) 関係者の名誉に対する配慮等
前記1(3)と同様である。
(4) 閲覧の対象となる不起訴記録
客観的証拠であって,当該証拠が代替性に乏しく,その証拠なくしては,立証が困難であるという事情が認められるものについて,閲覧・謄写の対象とし,代替性がないとまではいえない客観的証拠についても,必要性が認められ,かつ,弊害が少ないときは,閲覧・謄写を認める。
※前記の内容については,パンフレット「犯罪被害者の方々へ」21ページ等にも掲載されています。
第2 民事裁判所から不起訴記録の文書送付嘱託等がなされた場合
1 不起訴記録中の客観的証拠の開示について
前記第1,2,(4)にいう必要性が認められる場合,客観的証拠の送付に応じる。
2 不起訴記録中の供述調書の開示について
次に掲げる要件をすべて満たす場合には,供述調書を開示する。
(1) 民事裁判所から,不起訴記録中の特定の者の供述調書について文書送付嘱託がなされた場合であること。
(2) 当該供述調書の内容が,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって,かつ,その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことができない場合であること。
(3) 供述者が死亡,所在不明,心身の故障若しくは深刻な記憶喪失等により,民事訴訟においてその供述を顕出することができない場合であること,又は当該供述調書の内容が供述者の民事裁判所における証言内容と実質的に相反する場合であること。
(4) 当該供述調書を開示することによって,捜査・公判への具体的な支障又は関係者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく,かつ,関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるとは認められない場合であること。
3 目撃者の特定のための情報の提供について
次に掲げる要件をすべて満たす場合には,当該刑事事件の目撃者の特定に関する情報のうち,氏名及び連絡先を民事裁判所に回答する。
(1) 民事裁判所から,目撃者の特定のための情報について調査の嘱託がなされた場合であること。
(2) 目撃者の証言が,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって,かつ,その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことができない場合であること。
(3) 目撃者の特定のための情報が,民事裁判所及び当事者に知られていないこと。
(4) 目撃者の特定のための情報を開示することによって,捜査・公判への具体的な支障又は目撃者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく,かつ,関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがないと認められる場合であること。
パンフレット「犯罪被害者の方々へ」[PDF:21503KB]