表千家一期一会

正午茶事11

後炭で
釜の火をあらためられた後

ご亭主が運び出されたのは
先程の濃茶の時とは別の水指でした


その水指には
見覚えがありました


以前
大寄せのお茶会で使われ

今日は
是非ともこの水指を見てかえって下さい

とおっしゃっていた
あの水指です


再びこの水指を拝見できたうれしさと
私たちだけのために
その道具をお出しくださったことへの有難さで
感激一入でした


お茶碗は
濃茶の茶碗とは趣きの異なる黒楽と

次客には
若い方が来られるので と
永楽さんの赤いお茶碗を
お出しくださいました


お茶杓は
なんとご亭主の自作

この度のお茶事では
私たちには勿体ないような
とんでもなく格式の高いお道具の中に
ご亭主やご亭主のお祖母様手作りのお道具が
織りまぜられていて

ほっと心の和む場面を
絶妙に演出してくださっていました


因みに
外腰掛にあって薄茶の時にも持ち出されたお座布
炭道具の羽
そして薄茶のお茶杓は
ご亭主ご自作のお道具でした



お薄を二服いただきながら
ご亭主の楽しいお話に
酔っているうちに

茶室にさしこむ光は
少しずつ傾きを変えてゆきました


まだ音をたてている釜と風炉を
名残惜しい気持ちで拝見し

ご亭主と無言の挨拶を交わして
寄付へと戻りました
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