音楽一期一会

大人のピアノ教室講師の日々を綴ります

「大人のピアノ」上手くなるための極意⑤

2020年05月06日 | 大人のピアノ


楽譜には所々に
指番号が書いてあります


新しい曲を譜読みする時は
必ず指番号を確かめながら弾くようにして下さい


しかし
楽譜に書かれた指番号が
自分の手癖と合わない場合も時にはあります


その場合は
鉛筆で指番号を書き換えても構いません

弾きづらい箇所は
弾きやすい指使いを考えて
楽譜に書き込みましょう

その際
同じような音型の箇所は
基本的に同じ指使いで弾くようにしましょう



ただし
譜読みの時にはこれでよいと思った指番号も
練習を重ねていくうちに
他の指使いの方が弾きやすいことに
気づくこともあります


その時には
前に書いた指番号は消して
書き直して下さい


指使いは弾きやすさのためだけでなく
音楽的に表現するためにも
とても大切なことですから
どの指使いが良いかわからない場合は
習っている先生におたずね下さい



【極意⑤】

演奏しやすくまた音楽性にあった指使いを決めて指番号を楽譜に書き込み
毎回同じ指使いで弾くこと




「大人のピアノ」上手くなるための極意④

2020年05月05日 | 大人のピアノ


ピアノの練習時間は
多いほどよいと
前回の記事に書きましたが

ただ時間が長ければよいというものでもありません


むしろ長さより練習の中味・方法が大切です



例えば
上手く弾けない箇所を5分間練習するとしましょう


Aさんは
5分間で10回その箇所を練習しました

そのうち8回までは失敗して
だんだんイライラしてきましたが
頑張って最後には2回なんとかミスせず弾けました


Bさんは
弾けない箇所を速さを半分に遅くして練習したので
もどかしい気持ちになりながら
5分間で結局5回しか弾けませんでした

しかしゆっくり慎重に弾いたので5回ともミスせずに弾きました



さて
どちらの練習方法がより上達すると思いますか?


Aさんは実は10回のうち8回は
「失敗」を「学習」したことになっています


本当の練習とは
「成功回数」を増やして身体に覚えさせることです


時間がかかるようでも
ゆっくり速度を落として弾き
1回でも多く「成功体験」をコツコツ学習したBさんの練習が
上達への近道なのです


「ウサギとカメ」のカメさんのイメージで!



【極意④】

弾けないところは
取り出して練習する

その方法は
自分が確実に弾けるゆっくりしたテンポに落とし
1回でも多く正確に弾くことを繰り返す









「大人のピアノ」上手くなるための極意③

2020年05月04日 | 大人のピアノ



さて、ピアノが上手くなるためには
どのくらい練習したら良いでしょうか?と
聞かれることがあります


その答えは・・・


「多ければ多いほど良いです

しかもできれば毎日」




そんなことできません・・・

という声が聞こえてきそうですね



でもやはり
毎回課題の曲をしっかり弾いてくる方にお聞きすると
「毎日弾きます」と答える方が多いのも事実です



そういう方は
一日の中で時間を決めて
ピアノに向かっていらっしゃるようです


例えば

出勤・前
朝食・後
昼食・後
夕食・後
入浴・前
就寝・前

といったように
毎日の決まった日課と組み合わせると
練習を習慣にすることができます


どんなに疲れていても
毎日ご飯を食べるように
ピアノを弾かないと
何か忘れ物をしたような気分になるくらいに
なったらしめたものです


仕事や家庭の都合で
毎日ピアノに向かうことが無理であれば

一週間のうちで
必ずピアノに向かう曜日を自分で設定するのもよいでしょう

レッスンに通っている方なら
レッスン日の前日と当日は
集中力が増します

特にレッスン直後の時間は
上手くなる練習のゴールデンタイムです!



【極意③】

ピアノを弾くことを毎日の日課に取り入れる

毎日弾くことが無理な場合は
一週間のうちに必ず練習する曜日を設定する

特にレッスン直後はベスト









「大人のピアノ」上手くなるための極意②

2020年05月03日 | 大人のピアノ


ピアノを初めて習う人も
これまで習った経験のある人も
大人の方にとって
上手くなるためには
「適切な選曲」をすることがとても重要です


ではどのような曲を選んだらよいのでしょうか


私はまずは「自分が弾きたい曲」であることが
ベストであると思っています


一昔前に比べると
最近では実に多種多様の「大人向け」のピアノ譜が
出版されるようになりました

しかし
「かんたん」「すぐ弾ける」というタイトルに惹かれて
買ってはみたものの
思ったより難しくて
そのままになっている楽譜が
ピアノの上に積んであるという話を
よく聞きます


これらの楽譜の中には
本当に大人の特性をふまえて
作られた楽譜ももちろんあるのですが
実際には使いづらい楽譜が多数あります


また
アレンジによっては
簡単にすることによって
あまりにも原曲のイメージから離れてしまい
弾いてもあまり楽しくない楽譜もよく見かけます

またクラシックを弾きたい方にとっては
原曲にこだわるのか
アレンジされたもので
雰囲気を楽しむのか。。。

原曲であっても
全てが難易度が高いということは無く
初級者レベルでも十分に
原曲の素晴らしさを味わうことの
できる曲もたくさんあります

いずれにしても
膨大な楽譜の中から
今の自分に合った楽譜を選び出すことは
上達していくために大変重要なことであり

初心者であればあるほど
慎重にならなければいけないことなのです


弾きたいと思う曲があっても
演奏レベルが自分の技術レベルからかけ離れていては
練習が苦痛になってストレスがたまるばかりで
楽しくないばかりか
結果的に上達からは遠ざかってしまいます


基本的には
自分のもっている演奏技術で楽に弾けるか
あるいはそれより少し上のレベルの曲を選ぶのが
よいでしょう


しかし中には
とてもストイックに練習することを好み
その出来映えにこだわらず
とにかく「この曲を弾いた!」という
達成感を求めるタイプの方も
いらっしゃいます


それはそれで
その人にはベストな選択でしょう


要するに
どの選曲が一番良いのかは
一人ひとりの持っている特性によって異なり
自分ではなかなかわかりにくいことですから

レッスンを受けている人は
習っている先生のアドヴァイスを受けることを
おすすめします


そのためには
日頃から先生との間で
お互いに風通しの良い関係を作っておくことも大切です



【極意②】

選曲は自分の弾きたい曲を選ぶのがベスト

ただし
その曲のレベルを先生とよく相談の上
自分に合ったものを選んで決定する




「大人のピアノ」上手くなるための極意①

2020年05月02日 | 大人のピアノ




私はこれまで四半世紀にわたり
大人の生徒さんだけを専門に
120余名の方にレッスンをして参りました


その経験をもとに
大人の生徒さんにとって
ピアノが上手くなるための極意について
探ってみたいと思います


ところで
このブログを読んでいる皆さんは
もちろん
「ピアノが上手く弾けるようになりたい」と思って
ピアノのレッスンに通ったり
練習をしたりされていると思いますが


具体的には
「どの程度」弾けることを
イメージしていらっしゃいますか?


もしテレビで見るような
「プロの演奏家」に憧れて
あんなふうに弾きたい・・・と思っているとしたら

正直に申しますと
それは残念ですが「ほぼ不可能」と言わざるを得ません


プロの演奏家は
ある程度才能を持って生まれた方が

小さい頃から多大な努力と時間をかけて
運にも恵まれて
あのような演奏活動ができるようになったのです


ですから
趣味としてピアノを弾こうという大人の方々が
今から何年頑張ったとしても

プロのピアニストが弾く
「ラ・カンパネラ」のような
あんな素晴らしい演奏ができるようになる可能性は
ほとんど無いといっていいでしょう・・・
(ゴメンナサイ・・私もあんな風には弾けません)
m(_ _)m



そして残念なことに
せっかくピアノを習い始めても
「こんなに練習してもちっとも上手くならないや」と
たった数年でやめてしまう人がいます


それはご自分が思い描いていた
「憧れのピアニスト」と自分とのギャップにばかり
目が向いていたために

せっかくそこまでがんばって
その人なりに上手くなっていたのに
それに気づかず心満たされないまま
あきらめてしまったのでしょう


ピアノを演奏するということは
楽譜に記載された実に多くの情報を脳に伝え
その情報を両手の10本の指とペダルを踏む足に伝えて
鳴っている音を聞きながら
同時に途切れることなく
感情を込めて音楽を紡ぎ出してゆくという

肉体的にとても複雑で
且つ大変内面的な作業でもあります


とにかく
ピアノを弾くということは
「とても難しいこと」なのです


しかし
その一方で。。。

ピアノは
たとえ初めて鍵盤を触った人でも
心を込めて弾けば
人を感動させる美しい音を出すことの
できる楽器でもあるのです

それは
弦楽器や管楽器などを弾いたことのある方なら
おわかりのことと思いますが
そういった楽器は
たった一つの美しい音を出すことが
限りなく難しいのです

その点
ピアノという楽器は
ただ鍵盤を抑えるだけで
楽器そのものが勝手に
とても美しく鳴ってくれる楽器でもあるのです


一つの音をポーンと鳴らした時の
小さな水滴が水面に落ちて自然に広がっていくような
あの美しさに気づいたことはありますか?



人差し指1本で
ポロン・・ポロン・・と弾くピアノの音にも
心をじーんと動かされることがあります



ピアノは
そんな誰にでも美しい音の出せる
とても優しい楽器でもあるのです




【極意①】

ピアノを弾くことはとても難しいことであると知ること

その一方で
誰にでも心をこめた美しい音を出すことができる
優しい楽器でもあると知ること