「年代&目的別」
これが上位10%に入る学び方だ
【~35歳】
2013年3月12日(火)11:20
(プレジデントオンライン)
PRESIDENT 2011年9月12日号 掲載
年齢や職場でのポジションが変われば、学び方も変わる。
自身でキャリアを切り拓いてきた3人に、行動につながる学習の秘訣を聞く。
■仕事の達人は勉強の達人
仕事で大きな成果を出せる人は例外なく、
「勉強の達人」である。
そういう人には2つの特徴がある。
1つは、知識を得る、
何かに詳しくなるという漠然とした学び方ではなく、
何のために勉強し、
いつまでにどんな成果を挙げるのかという
目的意識を持っていることである。
もう1つは、本や資料はもちろん、
セミナー、スクール、趣味、生身の人間、
自らの体験と、あらゆる手段を使って日々勉強し続けていることである。
逆にいえば、そういう人が成果を残せないはずがないのだ。
就職活動と若手の人材育成に詳しいコンサルタントの常見陽平氏、
「サイバーエージェントにこの人あり」といわれる同社取締役の曽山哲人氏、
ソニー、グーグルを経て現在は起業家として活躍する辻野晃一郎氏、
いずれ劣らぬ仕事と学びのプロに、
目的に応じた学び方を伝授してもらおう。
■目の前の仕事で成果を出す
【常見陽平】
2つのアドバイスをしたい。
1つは「その仕事に徹底的に詳しくなれ」である。
私はリクルートに入社して2年間は営業担当で、
3年目から販売促進担当になった。
当時、売り上げを伸ばそうと同業界だけでなく
他業界の営業担当がどんな工夫をしているか、
いつも気にかけていた。
本や資料に目を通すのはもちろん、
セミナーにも多数参加した。
そうやって得た知識をもとに、
顧客相手に無料のセミナーを実施した。
自らプレゼンテーター役を務めながら、
「どんな内容だったらお客が集まるか」
「どんなことに反応してくれるか」を実験していたのだ。
これを繰り返すと、
「こうやれば売れる。お客さんが評価してくれる」
という成功方程式が見えてくる。
さらにビジネス書を何冊も読んで自分でつくりあげた方程式と
既存の理論とを突き合わせ、ノートに書きためた。
そのやり方を部内で共有したら、
皆の売り上げがぐんと伸びたのである。
もう1つは「自分のサブ得意分野をつくりなさい」。
リクルートを辞めたあと入った玩具メーカーでは人事の採用担当だったが、
そのときに頼りになったのがロックとプロレスというまったくの趣味の世界だった。
会社説明会を企画する際、
他社のやり方はもちろん探ったが、
それを真似ても二番煎じになるだけだ。
そこで考えたのが就活生といっても1人の若者だということ。
若者が集まり楽しんでいる場所は何だろうと考えると、
たとえばライブである。
20代の頃、週に2回はライブハウスに足を運んでいたので、
一流ミュージシャンがいかに観客を乗せるかをよく知っている。
プロレスもしかりである。
それらを参考に、説明会から内定までのプロセスを設計したことで、
学生に好評で優秀な若者をたくさん採用することができた。
サブ得意分野は仕事と無関係のほうがいい。
自分がめちゃくちゃ詳しい分野と仕事をかけ合わせることで
思わぬ成果が生まれるのだ。
キャリアの不安感を消す
年間数億円も売っている敏腕営業マンでも、
自分の将来について本気で悩むという。
転職経験のない人ほどそれが顕著で、
成績がいいのも商品自体の魅力や会社の看板のおかげで
自身の能力はたいして高くないのでは、と疑心暗鬼になるらしい。
漠然とした不安をなくすには、
努力と根性で勝ち取る仕事の自信作をひたすら増やすしかない。
そのための勉強法としても、
前に述べた「仕事に詳しくなる」「サブ得意分野をつくる」の2つが有効だ。
さらに本気でグローバル対応をするなら、
語学に加えて日本の歴史と文化を学ぶこと。
これを実践すれば鬼に金棒である。
それでも不安感が拭えない人には
「What is your mission in your life?」という言葉を贈りたい。
キャリアうんぬんではなく、自らの使命に従って生きよ、ということである。
私の使命は「日本の若者の雇用を改善し、
おもしろい若者を増やす」ことだと思っている。
私はコンサルティング会社の1社員でありながら
大学の非常勤講師も週3コマやっているが、
その報酬はすべて会社に入れている。
忙しい間を縫い、事実上無報酬でよく講師などやるなあと思われるかもしれないが、
その発想が間違っている。
懐に入るお金がゼロでもいい、
教育の現場に身を置くことが
使命を達成するための貴重な勉強になっているから続けているのだ。
実は雇用問題を本格的に勉強したいと思い、
ある大学の昼間の大学院を受験するつもりだ。
合格すれば来年からは4足のわらじを履くことになるが、
十分できると思っている。
「日本の大学はいったん卒業すると戻りにくい」といわれている。
これを自分という実例を使って打破したい。
それも使命感のなせる業だ。
キャリアではなく使命感で
生きると人生はもっと楽になると思う。
※すべて雑誌掲載当時

常見陽平
人材コンサルタント
1974年、宮城県生まれ。
一橋大学商学部卒。
リクルート、玩具メーカー等を経て、
2009年株式会社クオリティ・オブ・ライフに参加。
実践女子大学等で非常勤講師を務める。
『キャリアアップのバカヤロー』など就活、
キャリアに関する著書多数。
お金でもない、名誉や名声でもない「いい仕事」をしたい。
これが上位10%に入る学び方だ
【~35歳】
2013年3月12日(火)11:20
(プレジデントオンライン)
PRESIDENT 2011年9月12日号 掲載
年齢や職場でのポジションが変われば、学び方も変わる。
自身でキャリアを切り拓いてきた3人に、行動につながる学習の秘訣を聞く。
■仕事の達人は勉強の達人
仕事で大きな成果を出せる人は例外なく、
「勉強の達人」である。
そういう人には2つの特徴がある。
1つは、知識を得る、
何かに詳しくなるという漠然とした学び方ではなく、
何のために勉強し、
いつまでにどんな成果を挙げるのかという
目的意識を持っていることである。
もう1つは、本や資料はもちろん、
セミナー、スクール、趣味、生身の人間、
自らの体験と、あらゆる手段を使って日々勉強し続けていることである。
逆にいえば、そういう人が成果を残せないはずがないのだ。
就職活動と若手の人材育成に詳しいコンサルタントの常見陽平氏、
「サイバーエージェントにこの人あり」といわれる同社取締役の曽山哲人氏、
ソニー、グーグルを経て現在は起業家として活躍する辻野晃一郎氏、
いずれ劣らぬ仕事と学びのプロに、
目的に応じた学び方を伝授してもらおう。
■目の前の仕事で成果を出す
【常見陽平】
2つのアドバイスをしたい。
1つは「その仕事に徹底的に詳しくなれ」である。
私はリクルートに入社して2年間は営業担当で、
3年目から販売促進担当になった。
当時、売り上げを伸ばそうと同業界だけでなく
他業界の営業担当がどんな工夫をしているか、
いつも気にかけていた。
本や資料に目を通すのはもちろん、
セミナーにも多数参加した。
そうやって得た知識をもとに、
顧客相手に無料のセミナーを実施した。
自らプレゼンテーター役を務めながら、
「どんな内容だったらお客が集まるか」
「どんなことに反応してくれるか」を実験していたのだ。
これを繰り返すと、
「こうやれば売れる。お客さんが評価してくれる」
という成功方程式が見えてくる。
さらにビジネス書を何冊も読んで自分でつくりあげた方程式と
既存の理論とを突き合わせ、ノートに書きためた。
そのやり方を部内で共有したら、
皆の売り上げがぐんと伸びたのである。
もう1つは「自分のサブ得意分野をつくりなさい」。
リクルートを辞めたあと入った玩具メーカーでは人事の採用担当だったが、
そのときに頼りになったのがロックとプロレスというまったくの趣味の世界だった。
会社説明会を企画する際、
他社のやり方はもちろん探ったが、
それを真似ても二番煎じになるだけだ。
そこで考えたのが就活生といっても1人の若者だということ。
若者が集まり楽しんでいる場所は何だろうと考えると、
たとえばライブである。
20代の頃、週に2回はライブハウスに足を運んでいたので、
一流ミュージシャンがいかに観客を乗せるかをよく知っている。
プロレスもしかりである。
それらを参考に、説明会から内定までのプロセスを設計したことで、
学生に好評で優秀な若者をたくさん採用することができた。
サブ得意分野は仕事と無関係のほうがいい。
自分がめちゃくちゃ詳しい分野と仕事をかけ合わせることで
思わぬ成果が生まれるのだ。
キャリアの不安感を消す
年間数億円も売っている敏腕営業マンでも、
自分の将来について本気で悩むという。
転職経験のない人ほどそれが顕著で、
成績がいいのも商品自体の魅力や会社の看板のおかげで
自身の能力はたいして高くないのでは、と疑心暗鬼になるらしい。
漠然とした不安をなくすには、
努力と根性で勝ち取る仕事の自信作をひたすら増やすしかない。
そのための勉強法としても、
前に述べた「仕事に詳しくなる」「サブ得意分野をつくる」の2つが有効だ。
さらに本気でグローバル対応をするなら、
語学に加えて日本の歴史と文化を学ぶこと。
これを実践すれば鬼に金棒である。
それでも不安感が拭えない人には
「What is your mission in your life?」という言葉を贈りたい。
キャリアうんぬんではなく、自らの使命に従って生きよ、ということである。
私の使命は「日本の若者の雇用を改善し、
おもしろい若者を増やす」ことだと思っている。
私はコンサルティング会社の1社員でありながら
大学の非常勤講師も週3コマやっているが、
その報酬はすべて会社に入れている。
忙しい間を縫い、事実上無報酬でよく講師などやるなあと思われるかもしれないが、
その発想が間違っている。
懐に入るお金がゼロでもいい、
教育の現場に身を置くことが
使命を達成するための貴重な勉強になっているから続けているのだ。
実は雇用問題を本格的に勉強したいと思い、
ある大学の昼間の大学院を受験するつもりだ。
合格すれば来年からは4足のわらじを履くことになるが、
十分できると思っている。
「日本の大学はいったん卒業すると戻りにくい」といわれている。
これを自分という実例を使って打破したい。
それも使命感のなせる業だ。
キャリアではなく使命感で
生きると人生はもっと楽になると思う。
※すべて雑誌掲載当時

常見陽平
人材コンサルタント
1974年、宮城県生まれ。
一橋大学商学部卒。
リクルート、玩具メーカー等を経て、
2009年株式会社クオリティ・オブ・ライフに参加。
実践女子大学等で非常勤講師を務める。
『キャリアアップのバカヤロー』など就活、
キャリアに関する著書多数。
お金でもない、名誉や名声でもない「いい仕事」をしたい。