【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第166回
『三学戒』(言志四録、佐藤一斎)
「少(しょう)にして学べば、則ち壮(そう)にして為すこと有り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽(く)ちず。」
江戸時代後期の儒学者、佐藤一斎の有名な言葉になります。
佐藤一斎は、美濃岩村藩の家老の子として生まれたのですが、
21歳のときに士藩を脱し、儒学をもって身をたてることを決意。
34歳で、江戸幕府の儒官として文教を司った林家の塾長となりました。
『言志四録』は、佐藤一斎の後半生の40年にわたって書かれた語録で、
『言志録』、『言志後録』、『言志晩録』、『言志耋録』の四篇をまとめて、
『言志四録』と呼んでいます。
参考:第103回『春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む』(言志四録、佐藤一斎)
まさに、学ぶとは何かということを本質から説いている言葉かと思います。
特筆すべきは、学問の目的は単なる収入や社会的地位の獲得ではなく、
自身の人格を磨き、知性を高めることにあるという点です。
そしてその学びを通じて培った知恵や力を、世のため人のために活かしていくという視点です。
生涯学び続けることで、私たちは社会に対してより深い貢献ができるようになり、
その影響は死後もなお色褪せることなく、後世に伝わっていくことを説いています。
佐藤一斎の言葉には、現代を生きる私たちにも深く響く普遍的な知恵が込められていますね。
日々学びを重ねるたびに、自分の未熟さや知識の不足に気付かされます。
しかし、それこそが学問の持つ奥深さであり、魅力なのだと実感しています。
これからも、東洋思想の探究を通じて、微力ながらも人材の育成に少しでも関りながら、
学びを深めていけたらと思っています。
参考図書
『佐藤一斎一日一言』 渡邉五郎三郎監修 致知出版社
『リーダーに大切な「自分の軸」をつくる言葉』田口佳史著 かんき出版
長谷寺