【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第178回
『和光同塵(わこうどうじん)』(老子)
老子の「無源第四」の中に出てくる言葉になります。
「其の光を和(やわ)らげ、其の塵(ちり)に同ず」
老子は、私たちが日頃「良いもの」とされている高い能力や優れた才能、
社会的な地位などが、必ずしも人生の幸せには直結しないと説いています。
むしろ、それらが時として競争心や争いの種となり、
心穏やかに過ごす妨げになることもあるよ、語りかけてくれているのです。
確かに、私たち誰もが持っている『認められたい』『褒められたい』という願望、
これ自体は自然な感情ですが、この思いが強くなりすぎると、
かえって心を乱す原因となってしまいます。
老子は、そんな人間の本質を深く理解した上で、
穏やかに諭してくれているように感じます。
なんだか、心に染み入りますね。。。
光を和らげ、塵のように目立たない存在となる。
しかしそれは決して自己否定ではなく、むしろ内なる豊かさと
静かな喜びを育む生き方なのかもしれません。
日々の暮らしの中で、控えめに、でも確かな満足感を持って生きていく。
そんな穏やかな生き方を、私も心掛けていきたいと思います。
参考文献
『老子道徳経講義』田口佳史著 致知出版社