人生をひらく東洋思想からの伝言

東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第151回『徳は身を潤す』(大学)

2024年08月12日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第151回

『徳は身を潤す』(大学)


これは、四書五経の「大学」からの一節で、

「富は家を潤し、徳は身を潤す」という
文章の一部になります。


昭和の碩学である安岡正篤氏は、

政財界の門弟によく下記のような
色紙を書いておられたようです。

「両潤 富潤家徳潤身」

安岡氏は、これを解釈して、下記のように説明していたようです。

「知識の学問と知恵の学問は、非常に違う。

知識の学問はわれわれ
理解力、記憶力、判断力、推理力など、

つまり悟性(ごせい)の働きによって、
誰でもひと通りできるものだ。

その意味で、機械的な能力である。


しかしそういうものではなく、もっと経験を積み、思索反省を重ねて、

われわれの性命(万物が天から受けたそれぞれの性質)や、

人間としての
体験の中からにじみ出てくるもっと直感的な、

人格的な学問を知恵の学問という。
だから、知識の学問より、

知恵の学問になるほど、生活的、精神的、人格的になってくる。


それを深めてゆくと、普通では容易に得られない、徳に根ざした、

徳のあらわれである
徳恵(とくけい)という学問になる。これが、聖賢の学である。

だから、学びは知識を増やすことから、知恵を学ぶところにいかなければいけない。

富は家を潤すが、徳は身を潤すようになる。

徳を積むことを心掛けると、同じ「大学」
に「心広体胖(はん)」とあるように、

心が広やかになり、体も胖(ゆた)かになっていくのだ。」


「大学」の本文は下記のようになります。


『富は屋を潤すも、徳は身を潤す。

心広くして体胖かなり、と。
故に君子は必ず其の意を誠にす。』


心にずしりと響く言葉ですね。

どうしても、つい忙しくなってしまうと大切な事を忘れてしまうこともあるので、

日々、徳を積み重ねることを意識して生活していきたいと思います



参考図書
『安岡正篤 珠玉の言葉』神渡良平著 講談社+アルファ新書
『大学に学ぶ人間学』田口佳史著 致知出版社

 


江島神社

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