人生をひらく東洋思想からの伝言

東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第179回『知りて知らずとするは上。知らずして知れりとするは病。』(老子)

2025年02月25日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第179回

『知りて知らずとするは上。知らずして知れりとするは病。』(老子)


この言葉は、老子の「知病第七十一」に記されています。

「知りて知らずとするは上(じょう)。知らずして知れりとするは病(へい)。」


続く文章には

「ただ病を病とす。これを以て病せず。聖人病せず。
その病を病とするを以てなり、是を以て病せず。」

とあります。

ここで老子が語る「知る」という行為は、単なる知識や情報の習得ではなく、

宇宙の真理や道理についての深い理解を指しています。

そして、その「道」というものは、どれほど学びを重ねても、

完全に理解することは難しい深遠なものなのです。

だからこそ老子は、本当に深い理解を持つ人は、

むしろ「知らない」という謙虚な姿勢を保つものだと教えています。

反対に、十分な理解もないのに「わかっている」と思い込むことこそが、

心の病であると諭しているのです。

この教えは一見厳しく感じられますが、

実は私たちの生き方に大切なヒントを与えてくれています。

真の智慧は、自分の無知を知ることから始まるのかもしれません。

そして、そのような謙虚な姿勢を持って「道」と向き合う人こそが、

心静かに穏やかに生きていけるのでしょう。

日々の暮らしの中で、少しでもこのような生き方に近づいていけたらと思います。

完全な理解は難しくとも、謙虚に学び続ける姿勢を大切にしていきたいものです。

 

参考文献
『老子道徳経講義』田口佳史著 致知出版社

 


目黒不動尊

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