松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★条例立案の基本(市町村アカデミー)

2012-08-28 | 2.講演会・研修会
 夏休み期間なので、うまく時間が合い、またまた市町村アカデミーに出講した(ここは3、4か月前に出講依頼が来るので、なかなか日程が合ない場合が多い)。
 「法令B」という講座で、1~2年の経験者が中心となるとのことで、やや突っ込んだ話になった(9時から14時10分までの3コマの講義で、立法事実までやる時間がないという理由もあった)。
 ひとつは、条例の順番である。条例の順番づけは、機械的にできるものではなく、自治経営をどのようにとらえるかによって違ってくる。地方分権や人口減少、日本社会の特徴に遡って考える必要があるという話をした。
 条例の一部改正についても話をした。この研修では一部改正がメインになるので、やや気が引けたが、地方分権から法務を考えると、法制執務も今のままのやり方でいいはずがないからである。地方分権は、市民が自治の当事者になり、役所の内部でも、それぞれの職員が責任を持って仕事を完結することになるが、そのためには、法務は法制担当という押しつけ、決めつけを改める必要があるからである。だから、だれでもができる法制執務を工夫していく必要があり、その一つとして、改め文を止めてみたらというのが提案である(法制担当がこんな技術的なことに時間を使うのはもったいないからである)。
 この日、70名ほどの参加であったが、手を挙げてもらったところ、改め文を止めたところが3町村あった。鳥取県の2町と北広島市だった(鳥取県は片山知事のリードで新旧対照表方式に変えている。その動機を読んだことがあるが、役所の課長さんみたいだとの印象だった。もっと、地方分権や自治経営から論じたほうがいいのではないかと思った次第である。失礼しました)。
 以前、論文を書いたとき、改め文を止めて新旧対照表方式に変えた自治体を調べたが、40市町村弱あったように思う。その時には、北広島市は入っていなかったので(すでに6年ほど前から止めているという)これは調査漏れである。現時点では、全国で、少なくとも50くらいの自治体は新旧対照表方式に転換しているのだろう。
 国の法律と違って条例の場合は、行政をコントロールするだけでなく、市民や職員を励ますものという話も少ししたが、こちらのほうは消化不良でうまく伝わらなかったようだ。
 地方分権の流れに、最後まで取り残されるのは、内閣法制局の頸木がきつい法制担当ではないかと思っているが(もうひとつの雄である財政は、急速に、市民化の流れを作っていった)、そうならないように、頑張ってもらいたいと思う。
 
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