松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治体結婚政策⑤パートナーシップ制度(1)

2020-12-31 | 1.研究活動
 もう一つの結婚についても、配慮が必要である。

1.LGBTに対する基本的考え方
(1)LGBTは、人口の5〜8%いて、これは少ない数ではない。見えにくいため、内向し、また相談しにくく、本人のメンタルがやられてしまう。日常生活でも社会生活でも、(本人の責任、自業自得ではなく)これだけ辛い目にあっている人がいる。市民を幸せにするのが仕事の自治体は、放っておくべきではない。

(2)LGBTへの内向化への未対策は、仕事や社会で、頑張ろうというモチベーションに、大きなマイナスとなっている。「一億総活躍で頑張らないと生き抜けない時代」にあって、大きな損失である。有用な資源を最大限に活かすという自治経営の理念からも放置しておけない。

2.LGBTの現状(認定NPO法人・虹色ダイバーシティのホームページより)
・LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)等の性的マイノリティとされる人々は、人口の5〜8%パーセント(電通総研、連合などの調査による)とされる。

・周囲の人に自分がそうであると表明すること(カミングアウト)ができる人は少なく、「見えにくい」「声を拾いにくい」という特性があります。

・就職・転職などの求職活動に際して、セクシュアリティ等に関して困難を感じたことがある人は、LGBで44%、Tで70%。LGBからは、面接で当事者であることを隠して結婚や子育ての話をするのが難しい、Tでは、エントリーシートの性別欄や男女に分かれたリクルートスーツがつらい等

・うつの経験があるのはLGBで25%、Tで35% (2015)。メンタルヘルス対策に関するハイリスク層になっている。しかし、医療従事者にもLGBTの知識がある人は少なく、ほとんどの当事者は医師や看護師にカミングアウトしない。

・復職支援の現場では、日常生活を記録させるようなプログラムがあり、当事者がどこまで書けばいいのか戸惑っている。

・当事者の勤続意欲、この職場で頑張ろうというモチベーションに、一番マイナスの影響を与えているのは、職場での差別的言動。LGBT施策に取り組む企業は増えている(対象企業の23.5%)のに、差別的言動は減っていない。2016年の調査で、差別的言動が職場で「頻繁にある」と回答している当事者は58%にもなる。

・差別的言動があっても、ほとんどの当事者は泣き寝入りしている。
 差別的言動があった際、「どこにも相談しない」が3割、「社外の友人等」が5割でした。会社内は、2割未満で、社内で相談しにくい。

・福利厚生で同性パートナーが家族向けの休暇や手当の対象にならない、自認する性別で勤務できない、仕事上のロールモデルを見つけにくく将来を考えにくい等、LGBTは職場で様々な困難を抱えている。

3.LGBTが直面する困難の例(LGBT法連合会「性的指向を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第2版))

(1)子ども・教育
・学校で「男のくせに」「気持ち悪い」「ホモ」「おかま」「レズ」などと 侮辱的な言葉を投げかけられ、自尊感情が深く傷つけられた。
・性的指向について、教員や同級生がおかしいものと話したり、「うちの学校にはいない」と言われ、何も言い返すことができなかった。

(2)就労
・就職活動の際、結婚などの話題から性的指向や性自認をカミングアウ トしたところ、面接を打ち切られた。
・職場での昇進・昇格に結婚要件があったため、同性パートナーがいたのにもかかわらず昇進・昇格ができなかった。

(3)医療
・認知症・意識不明状態のパートナーが入院したが、病院・医師から安否情報の提供や治療内容の説明を受けられず、面会もできなかった。
・医療機関の受付では戸籍上の名前で呼ばれるため、受診しづらくなった。

(4)公共サービス・社会保障
・高齢者向けの施設において、男女分けで施設が運営されているため、 性別違和を抱える当事者の意向を伝えても考慮されず、戸籍の性で分類され、精神的な負担が大きかった。
・同性パートナーと公営住宅への入居を申し込もうとしたが、同居親族に当たらないことを理由に拒否された。

 LGBTは、学生たちから教えてもらった。私は、多様な考え方、価値に比較的寛容であると思っていたが、どうしても自分の体験で考え、その外にあることは、思いを馳せられない事がある。その一例が、LGBTである。

 しかし、学生同士は、実に寛容で多様性が身についている。これは、私たち世代には、敵わないことである。若者がもっと言葉を発すれば、私たちも理解できるのは、どうせ言っても、大人たちは理解しようとしないだろうと、諦めているのだろう。諦めずに、言葉を発したら良いと上から目線で言う前に、そういう社会を作ってきた大人たちも、大いに反省する必要があるのだろう。

 パートナーシップ制度は、大いに自戒し、学び続ける必要性を痛感させられたテーマである。
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