協働研修があった。サブタイトルは、これまで参加してこなかった市民を巻き込むにはである。プラーニンクスツェレをメインに話をした。
住民票による無作為抽出は、ずいぶんと一般的になってきた。平成23年度に大阪のマッセの研究会のメンバーが研修で、ドイツにプラーヌンクスツェレの調査に行き、その時の調査結果を本にまとめた。『熟議の市民参加―ドイツの新たな試みから学ぶこと (市民力ライブラリー) 』萌書房である。現地に行ったものでなければわからない内容になっている。
ドイツでは、政策の決定方式としても採用されているが、日本では、新たな市民を掘り起こす方式として、有効であると考えて、あちこちで紹介し、相模原市南区では、2年に一度、実践している。南区の場合は市民提案のプラーヌンクスツェレというのが特徴である。
とくに、若者参加では効力を発揮し、フォーラムへの若者参加、若プロへ若者が参加するきっかけになっている。
プラーヌンクスツェレの実践、研究で最も進んでいるのは、茅ヶ崎市で、もう10回以上、有償から無償まで、さまざまなバージョンをやっている。
今後は、子育て世代の女性のみ、地区を限定した抽出など、政策テーマに合わせた実践を行う段階になっている。
今年度は、戸田市でも実施したが、参加率が極めて低かった。平均3%くらいの参加率があるはずで、戸田市でも同じような参加率が期待されるはずなのに、なぜ低かったのか。
おそらく、この制度の強みを生かせなかったのだと思う。この制度は、「みなさん参加してください」ではなくて、「あなた、参加してください」という制度がポイントであるが、
・あなたが当選しましたという「当たり感」が弱かった
・自分が参加すると、それが市の意見に反映されたり、何かが変わるが機会になるといった動機づけが弱かった
・返信用封筒をつけなかったので、行こうと思ったとしても、当日のひとおしが弱かった
などが、考えられるが、一度、きちんと分析する事が必要だろう。
質問では、この制度を決定の仕組みとしない理由を聞かれたが、
・短い時間で、内容の決定ができるまでの深度・熟度を確保できるか
・議会や行政が決定する仕組みとの整合性
・決定した市民は責任を取れないこと
などが、理由である。
最後の点は、住民投票でもいえて、決定する人は、その責任を取る必要があるが、それができないかぎり、参考意見にとどまることになる。参考意見だとしても、参考に値する熟度・深度があるかが、今度は問われることになる。
*写真は私ではありません。部長さんです。