松下啓一 自治・政策・まちづくり

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▽しまだ未来カフェに行く(島田市)

2019-10-07 | ゼミや大学のようすなど

 マチプロの4人で、しまだ未来カフェにでかけた。静岡まで新幹線、そのあとは東海道線で島田市金谷までいった。

 今年のテーマは、武田勝頼がつくった諏訪原城のハッシン(発信・発進)を考えるである。諏訪原城は、掛川の高天神城攻略のために建てられた山城で、近年、発掘が進み、その大規模な空堀や丸馬出が残る武田流築城術の典型がみえる城で、マニアにとっては垂涎のお城である。この日、実際に、見学したが、500年以上の時を経ても、いまだに大きな堀が残っていて、見事であった。

 この山城をまちの資源として、発信、発進するにはどうしたらよいかを考えるワールドカフェである。

 いつもと様子が違うのが、参加者で、圧倒的に中年のおじさんが多かった。無作為抽出で選んだ人たちであるが、あきらかに歴史好きの人が集まったようだった。テーマによって、集まってくる人が違うという当たり前のことであるが、新たな人を発掘するには、こうしたマニアックなテーマもいいということだろう。

 今回ヒットだったのは、地元の島田工業高校の高校生が多数参加したことである。これからは高校生だと言っているが、間違いない。ともかく場が盛り上がったし、若者らしい発想や知識で、おじさんたちも、若者の力をあらためて見直す機会となった。若者たちにとっても、いい機会になったと思う。

 今回のようなフォーラムで注意すべきは、これは歴史を考える会ではなく、城をきっかけとしたまちづくりを考える機会であることをどう理解してもらうかであったが、これは事務局やこれを運営するNPOのしましまが、うまく制御して、まちづくりのフォーラムになった。

 私の役割は、発表の進行とコメントであるが、テーマが難しいので、コメントは少し難しいと思って始めたが、実際にやって見ると、発表内容にからめて、まちづくりのポイントを散りばめながら、和気あいあいのコメントすることができた。

 学んだことはいくつかある。

(1)個人的な趣味で参加した人たちを公共性、社会性の世界に引き込むことの意義である。最初は、みな個人的な関心でスタートするが、それが個人だけの世界に留まらず、社会性、公共性を帯びた活動の色彩を強めるにはどうしたらよいかである。

・あまりにリードしすぎると、嫌になってしまうし、負担感もでてくる。そのバランスを取りながら、まちづくりの世界へ勧誘するコツのようなものである。

・ひとつは、今回の提案のなかで、一つ具体化できるものを選び、それを実現する機会に、参加してみないか声をかけるのも一つだろう。

(2)ワールドカフェの目標はなにかである

・今回のワールドカフェでも感じたが、きちんとやろうというのが、先に立っているように感じる。成功の基準が、つつがなく、まんべんなく、やることになっている。しかし、成功の目標が、一緒にできる仲間を見つけることになると、構成も違ってくる。ここが、今回学んだ一番のポイントだろう。「成功目標を今一度考えてみる」である。

・つつがなく、過不足なくとなると、どうしても内容が盛りだくさんで、そこに時間を取られる。仲間を見つめようということになると、もっと休憩時間をとって、参加者間の交流や役所の人と参加者が知り合う時間をとったらいいだろう。顔見知りになる機会づくりであるが、役所の人も、これはという人を目をつけて、一緒にお茶を飲みながら、知り合いになるのである。これは個人の趣味を公共性、社会性のある活動にリードするヒントの一つだろう。

(3)地方自治のトレンドは、各自治体だけのフルセット主義・たこつぼ型は、もはや限界で、近隣自治体との連携、補完に移っているである。

・諏訪原城が趣味の人は、島田市の近隣でも、藤枝、焼津、袋井、散らばっているだろう。こうした同好の士の連携である。

・暮らしは市域の中では収まらないが、地方自治制度は、市域内で完結させるというのが、無理がある。このギャップをどう埋めるか(つなぐか)が、今後の大きな論点である。

・たとえば、白岡市の励ます行政評価委員会でも議論になったが、コミュニティバスも、隣町の蓮田の病院まで言ってほしいというニーズが高かった。地方自治法には、自治体間の連携の仕組みもたくさんあるが、大仰で使い勝手が悪い、もっと実践的で使える仕組みというか実践があっていいように思う。

 今回は、まちプロからは、1年生が2名参加で、初体験であるが、あっという間になれて、みんなの人気ものになった。とても面白かったということで、これも良かったと思う。


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