松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆附属機関委員と議員の兼職(白岡市)

2020-12-23 | 1.研究活動
 白岡市の行政評価委員会があり、今回の補選で市会議員になった委員さんから、辞職の申し出があった。

 もともとは、大手の民間企業に努めていた人で、とてもいい議論をする委員さんだった。創成期からの委員で、一緒に、白岡パターンの行政評価委員会を作ってきた。

 挨拶の中でも、「たくさんの委員会を傍聴したが、この委員会はダントツの活発度」という話で、そういう委員会を一緒に作ってきたということである。

 私もたくさんのことを学んだが、、特に印象的だったのは、政策立案の熟度と乗り出すタイミングという話は、興味深かった。役所では、あれこれ、心配をして、結局、新たな政策に乗り出せないことがあるが、民間企業の体験では、ある程度、行けそうなら、やってみて、やりながら軌道修正するという話である。

 いくつかの政策決定論があるが、合理的決定論とごみ箱理論の両極端で、この走りがながら軌道修正していくという政策論は、実践的だし、私の好みである。研究者的には、無原則だと批判されるだろうが、実際、そんなもんだろう。

 さて、本題の付属機関委員と議員の兼職である。

 かつて、横浜市で仕事をしたときには、議員さんには、積極的に委員会に入ってもらった。主たる狙いは「人質」である。議会審議のときに、応援団になってもらうためである。

 そのうち、こうした手法が目に余るようになり、また議会の存在意義が問われ始めたのに呼応して、二元代表制なので、行政の委員になるのはおかしいという原則論(教条主義)に変わった。

 ただ、徹底しておらず、例えば、総合計画などに議員枠が残っている。なぜかと聞いたことがあるが、市の基本計画だからという回答である。これはおかしい。

 総合計画が行政計画ならば、議員が入るのはおかしいという筋になる。最近では、総合計画は、議決事項なので、議決のときに関与すれば良い。なんだかんだ言っても結局は、人質なのだと思う。他方、総合計画を公共計画に位置づければ、議員が入ってもおかしくない。その場合、総合計画の中に、議会の事柄を入れるのがスジとなる。

 附属機関と議員の関係について、私の立場は、テーマによっては、議員に入ってもらうのが良いと考えている。
(1)オール自治体で考えるとき。行政も、市民も、議員も入る。新城や焼津でやっている市民まちづくり集会もその例である。議会も主催者になる。議員は議員として参加する。戸田市の自治基本条例推進委員会もそうである。この場合、参加経費は、議会で持つのがスジになるが、そこまでスジを通すと硬すぎて、噛み切れないので、あまり考えすぎなくてもよいと思っている。

(2)議員個人の知見を聞きたいとき。この場合は、「議員という仕事をしている市民」という立場で入ってもらう。「銀行員という仕事をしている市民」と同じである。自治基本条例の検討ではいくつもあった。ちなみに、「議員という仕事をしている市民」というフレーズは、今井さんが最初の発案者だと思う。この場合、発言は、市民の視点である。ともかく小さな町に行くと、人材が限定され、議員という仕事をしていても、一緒に入ってもらわないと回らない。

 そもそも、二元代表制とは何かという問題である。議会のチェック機能もあるが、共同経営機能もある。教条的に、執行部と議会は、別などとは言ってはいられない事情もある。その切り分けは難しく、時には、道を外す事例も出てくる。だから、教条的に峻別するという議論はわかりやすいが、今の地方自治は、その難しさにチャレンジしないとやっていけないくらい、厳しいところに置かれているということである。

 いずれにして、引き続いて、議員さんとしての活躍を期待している。

 
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