自衛隊座間駐屯地から、毎年、モニターを頼まれている。この日、感謝の記念品をもって、ゼミ室に来てくれた。
かつてならば、自衛隊のモニターに学生を推薦することは難しかったろう。ところが、最近では、有力な就職先として自衛隊が見直され、あるいは災害救助の場面における自衛隊の活躍が広く知られるようになると、そういったアレルギーも少なくなってきた。
国際政治は、アナーキーとされ、最終的には、力による支配がまかり通るとされるが、ここにきて、さっさと島を占有して、ここは自分の国だと言って飛行場をつくるような、政治学の教科書に書いてあるような、まさかなことを実践する国が現れるようになって、私たちの国をどのように守るのかという話が現実的な問題となってきた。
日本国憲法の文面で見れば、自衛隊の存在は説明が難しいが、残念ながら、憲法は、日本国政府を律するものであって、外国政府には及ばない。外国政府にとってみれば、日本国憲法など知ったことではないなかで、私たちの平和をどのように守っていくかが問われている。
しかし、残念ながら、一方では集団的自衛権は憲法の範囲内であるという無理を言い、他方では国際政治の中で、ジャイアンみたいな無茶な国から、市民一人ひとりの暮らしをどのように守っていくのかについての、真剣な議論が行われていない。
どちらにしても、私たちにとっては、厳しい選択なので、それゆえきちんと議論して覚悟を決めないといけないときになっているが、すれちがいのまままで、時を過ごしているのは、本当にもったいないことをしていると思う。
さて、国際政治はともかく、いつも研究室にやってくる自衛隊の皆さんは、お茶目で、フレンドリーである。松下先生のところに行くと、無茶ぶりで、話をさせられるという申し伝えがあるようで、この日も、学生向けに話をしてくれた。
興味深い話も多く、今度、災害救援活動の話を中心に、もう少し、じっくり話してもらおう。