松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★政策法務研修(富山市)

2014-10-25 | 2.講演会・研修会

 富山市における政策法務研修の3日目。先週は、政策法務の基礎をやって、この日は、その応用編で条例づくりを行った。

 取り上げた条例は、まずは富山市自由通路条例である。3月に新幹線が来て、富山駅の大改装を行っている。駅が、南北の地域を分断しているので、それをつなぐ自由通路を開設するのに合わせて、ぞの条例を考えてみた。自由通路といっても、路面電車が通る24メートルの幅がある。

 一般に、自由通路条例は、管理中心の条例であるが、ここでは賑わいもキーワードに考えてみた。言うまでもなく、条例づくりでは、立法事実を積み上げることが大事で、何をやりたいのかという基本を一緒に考えることにした。最近では、自治体の仕事は細分化されて、かつ忙しくなっているから、自分の仕事以外のことについて、考える機会があまりないが、今回、この条例を考える中で、富山市全体のことを考える機会になったと思う。

 もう一つは、空き家条例である。空き家条例を素材とすることの良さは、この条例では政策手法のオンパレードになるからである。一般に空き家条例は、規制的手法の条例であるが、実際には、これではほとんど解決できず、誘導支援的手法を合わせ技で考える必要がある。研修生からは、そういった幅広の条例が提案されていた。

 富山市で研修を担当するKさんは、現役の弁護士さんである。3年間の任期付で、富山市に出向している。穏やかな人柄で話しやすく、また実務経験も豊かなので、私も何かと心強い。ただ、今年度で、任期満期になって、春にはもとの弁護士に戻るとのことであるが、せっかく学んだ地方自治側に来た人をみすみす逃すのはもったいない。知恵を絞るべきだろう。

 今回は、連れ合いと富山へ一緒にやってきた。1日だけの研修であるが、結局、富山に3泊したことになる。3日間とも晴天に恵まれた。去年は、立山へ行ったが、今年は、宇奈月温泉に泊まって、トロッコ電車に乗ることにした。トロッコ電車は、私は2回目で、連れ合いは3回目であるが、今回は、欅平をゆっくり歩くことにした。

 宇奈月温泉といえば、宇奈月温泉事件である。宇奈月温泉は、温泉場では温泉は湧出せず、黒部川の上流の黒薙温泉からの引湯している。その引湯管は、トロッコ電車からもよく見える。この引湯管が、他人の土地をほんのわずかに通るが、それを理由に法外な要求があった事件である。権利濫用は、民法1条3項なので、法学を学ぶ人は、最初に、この宇奈月温泉事件の大審院判決を学ぶことになる。宇奈月温泉が、私にとっても、妙に、親しみがある温泉に感じる理由なのだろう。

 法学初心者は、権利濫用では、もうひとつ信玄公笠懸松事件というのを学ぶが、これは今の中央本線を通る蒸気機関車のばい煙等によって、信玄公が笠をかけたという松が枯れた事件である。これは、山梨県のどのあたりなのかよく分からないが、今度機会があったら出かけてみよう。

 私と結婚して、すっかり街好きになった連れ合い(本人は強く否定するが)の希望で、城下町富山の外港である岩瀬を訪ねることにした。北前船の拠点であるが、神通川を利用した港の側に荷降ろし場があり、ウナギの寝床のような長い建物を通して、その反対側の街道沿いに店を連ねるつくりになっている。戦災を免れたので、今でも当時の海商たちの建物が残っている。ここはなかなかよいところだった。

 二人で岩瀬の街並みを見学していていたら、小柄で70歳くらいのおじさんがすーっと寄ってきて、「見学ですか」と聞いた。聞くと、ボランティアで、街案内をしているようだ。ただ、それらしい服装や腕章のような目印もなかったので、怪しいおじさんかと誤解する人もいるだろう。こうした人たちをNPOに結集して、もっと活動がしやすくすればよいと思う。なお、岩瀬へは、富山駅の北口からライトレールで行く。この日、たまたま若い可愛い車掌さんが乗っていて、とてもうれしい気持ちになったことを告白せざるをえない。

 さて、富山市における経済効果であるが、やはり富山は食の魅力で、のど黒などちょっと珍しいものを食べたので、ある程度の効果はあったと思う。 

 

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