第2回目に入った。今回は政治学を紹介しよう。
この日のテーマは、「日本人はなぜサッカー日本代表を応援するのか」である。当たり前のことのように思えるが、こうした観念は、歴史的には、まだ250年の歴史しかない新しい考え方である。要するにナショナリズムの問題であるが、新しいゆえに、私たちは、十分に御すことができず、それが差別や戦争にもつながっていくことになる。サガジョのような教養大学では、「市民を育てる」ことが使命であるので、政治学も、市民の素養として、こうした基本的なところから授業を始めている。
ナショナリズムは、封建時代から絶対王政と時代の変化を理解しないとよくわからないので、そこから話を始めるが、一つひとつが、興味深いテーマなので、どうしても話が長くなってしまう。ヨーロッパが舞台であるが、学生にとっては、あまりリアリティがないだろうと考えて、日本に引き戻して話をするので、余計、話が長くなってしまう。
授業の最後に、なんとかフランス革命にたどり着いた。ここでのポイントは、国民主権の正当性である。革命で「国民が主権者」になるが、なぜ国民が主権者なのか、それは正しいことなのか、その正当性の根拠が問われることになる。そんなの当り前のことではないかと考えて、この難問をスルーしてしまうと、国民の主権者性が脅かされる場面に出会ったときに、理論的弱さから、押し流されてしまうことになるだろう。
その答えは、次回になるが、「日本人はサッカー日本代表を応援する」ことが当たり前に思っている学生にとっては、ちょっとショックだったようだ。要するに、政治学では、揺るぎないと思われている理念や制度を改めて考え直すことになる。
その他、NPO論は、NPOの意義と課題を考えた。3回分くらいを1回で説明するので、分かりにくかったかもしれない。亀井勝一郎の青春論は、「邂逅」を巡って、論じることになりそうだ。これは次の機会に紹介しよう。