松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆シルバーデモクラシーを越えて(本郷台)

2013-07-29 | 1.研究活動
 神奈川県下の市町村職員の人たちと研究会を行っている。今年のテーマは、若者政策である。

 この研究は、次のような問題意識・仮説に基づいている。
 1.少ない若者参加
 地区別懇談会など、市民が参加する各種機会をみても、参加者の大半は、60代の高齢者で、20代、30代の若者の参加は数えるほどである。公共的な社会参加が少ないのが現状である。
 2.シルバーデモクラシーのゆがみ
 政治や政策の決定に若者が参加せず、高齢者を中心に行われているということは、さまざなま点で歪みが生まれてくる。どうしても、高齢者側に立った政策決定が行われがちで、それが、若者の不公平感、疎外感、閉塞感をうむことになる。若者と高齢者との対立という問題さえも生まれてくる(私たちの未来を担う若者が希望を持てないということである)。
 3.市町村には若者の社会参加政策がない。
 ①ところが、市町村における若者政策をみると、その対象は、主に中学生までである。その切り口は、もっぱら青少年の健全育成である。つまり自治体政策において、若者は保護の対象という位置づけである。
 ②他方、高校生以上になると、特段の政策対象ではなく、一般の大人に紛れてしまう。施策の内容も、もっぱら文化、スポーツそして、リーダーの育成である。
 要するに、若者の社会参加に関しては、自治体にはみるべき政策がないということである。
 4.いまこそ、若者の社会参加政策を
 ①人口が増加し、右肩上がりの経済成長の時代ならば、特段の若者の社会参加政策がなくても、成長の陰に隠れて、何とかなった。ところが、人口減少、少子高齢化の時代になると、そうはいかなくなる。若者が社会参加しないひずみが、「社会全体の問題」となって顕在化する。
 ②これまでならば、組織や地域が若者を大人に育ててきたが、少子化や厳しい経済環境を反映して、組織や地域が若者を育てる機能が弱くなってしまった。
 以上から、自治体が、若者の社会参加を正面からとらえて、政策の体系化をする必要がある。

 この研究会は昨年からであるが、自治体では、ほとんど手がつけれていない新しいテーマを取り上げて研究を行っている(私が担当すると、そういうことになる)。
 座長のYさんがポツンと、「こんなことを考えながら、青少年施策をやっている職員は、どれくらいいるだろうか」と言っていたが、日ごろ、日常業務に追われてしまう中では、なかなか考えることができないテーマを考えるのが役割である。

 私は、次のように言った。今回、私たちが若者の社会参加政策を提案しても、8,9割の人には、十分理解されず、スル―されてしまうだろう。要するに、提案が早すぎるからである。
 しかし、5,6年後には、この若者の社会参加政策は、喫緊の課題になってくる。その時、「そういうことだったのか」と、ようやく気づかれることになる。そして、流れができてブームになったときに、「あの時、私たちが提言した」と、小さな声で自慢しようではないか。
 がんばろう。
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