松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆空き家地区を歩く・横須賀④

2016-09-12 | 空き家問題

 実際に横須賀の空き家地区を歩いてみた。米が浜通りによった帰り、少し時間があるので、横須賀の代表的な谷戸地区を歩いてみた。

 まずは、横須賀市役所の空き家担当によって見た。正確には、都市部都市計画課住まい活用促進担当というセクションで、この名称からわかることは、単に空き家を排除するだけでなく、活用促進という観点から考えていこうというものだろう。突然の電話で訪問を依頼したが、「いつ頃来ますか?」という問いに、「これから松屋で朝ご飯を食べてから行くので30分くらいです」というお客さんは、相当怪しいと思ったのだろう。

 市役所では、谷戸地区の概要とおすすめルートを聞いた。突然の客に対して、親切に教えてくれた。文献では、最も空き家率が高いのが、汐入5丁目2区ということなので、ここを行くことにした。ルートは、汐入駅からと逸見駅からがあるが、お昼に連れ合いとJR横須賀駅で待ち合わせしているので、逸見から行くことにした。

 逸見駅から見ると、駅にすぐ先がトンネルで、その上に住宅が建っている。

 この坂を急登して乗っ越した先が汐入5丁目2区である。最初は緩やかだが、いきなりの急坂である。

逸見の谷戸を望む。リアス式海岸のように谷戸がいり込み、山に向かって家が建つ。

逸見から汐入へ。

空き家を使ったお店が開かれている。雑貨とお茶の店らしい。この日は定休日。

汐入側。プロパン屋さんも大汗をかいていた。自転車も入れない階段が200段続く。

JR横須賀駅

JR横須賀駅隣の軍港。ここへの通勤のため、谷戸に住宅が建てられた。

 実際に歩いて感じたことがある。それは空き家は本当に困ったこと、悪いことなのかという、そもそも論である。

 逸見から汐入5丁目は、接道条件を満たさないため、家の再築はできない。実際に歩く前は、さぞかし廃屋が連なっているのだろうと想像していたが、どこの家もそれぞれで補修した家がたくさんあったこと。山の緑を生かし、海からの風を楽しみながら、山の住宅で暮らしを楽しんでいる様子が伝わってきた。

 そういえば、市役所でも、高地の人たちはさぞ困っているだろうと考え、地区の人に人にヒアリングをしてみたそうであるが、答えは、「子供の時から住んでいるし、駅からも近いし、空気もいいし」ということで、役所側から考える問題意識とは、全然違っていたといっていた。実際、高所から平地への移転補助金を用意しているが、この制度の申請は一つもないとのことである。

 途中、買い物帰りのおばちゃんと立ち話になったが、坂があって、足腰が鍛えられ、健康にいいと笑い飛ばしていた。

 空き家対策の本道は、無理やり、空き家を除去したり、再生したり、あるいは無理な利活用をするのでなく、無理なく自然に使われ、あるいは人に迷惑をかけず、空き家が静かに朽ちてゆき、結局、自然に戻っていくことなのだろう。


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