松下啓一 自治・政策・まちづくり

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▽ボランティアと無償性(相模女子大学)

2016-05-18 | ゼミや大学のようすなど

 地方自治論の3回目の報告をさぼってしまった。3回目は国と地方の違い、4回目は、アメリカの地方自治との違いをやった。ボランティア論も含めて、まとめて書いておこう。

 ブログが書けなくなったのは、連休明けで、急に忙しくなったためである。一番の忙しさは、『まちづくりから見た空き家問題』の原稿を書き始めたこと。特に、出版の当てがあるわけではないが、市民から相談されることも多いので、何かの行動指針になるものを書いてみようと考えて、書き始めた。

 この日のボランティア論の授業があり、とても面白かった。8月にやる「こどものまち」にあわせて、わがゼミが全国サミットの担当をやるが、この日は、これを主宰する山家さんご夫婦、その実行委員長である松下ゼミ3年生の小林さんに、ボランティア論に出てもらって、話をしてもらった。

 山家さんの報告も、毎年、幅広くなってきて、こどものまちの事業の意義が、どんどん深化していることがよくわかった。

 この日は、ボランティア論の授業なので、この日の登壇者3人に、活動している立場から、ボランティアの原則を聞いてみた。ボタンティアの原則としては、①自主性、②無償性、③連帯性、④社会性、創造性等がある。一つひとつ、重要度を旗揚げアンケートで聞いてみた。

 まず、面白かったのは、無償性についてである。一般には、ボランティアは、無償であることが原則で、そこに価値があると考えられている。授業の最初の旗揚げアンケートでも、大半の学生は、無償が基本要件であるとしていた。

 ところが、この日の3人とも、無償性は重要な要素ではないとした。とりわけわがゼミの小林の発言は、説得的だった。

 地方から上京して一人暮らしをしていているが、日々の暮らしでお金もかかり、何とか目一杯の生活をしているが、そのなかで、さまざまなまちづくり活動をやっているなかで、やはり痛いのは交通費だそうである。

 大人から、気楽に、どこそこへ行ってと言われ、実際にも出かけるが、一つひとつは小さな金額でも、積もり積もると大きな金額になる。ましてや新たな勉強に出かけたいと思っても、交通費が大きなネックになるということである。そんなとき、支援があるととても助かるという話であった。

 要するに、無償性を強調すると、ボランティアができる人は、一部の人に限らてしまって、広がりを持てないということだと思う。実体験にもとづく意見なので、とても説得力があった。

 もう一つは、社会性・創造性であるが、これも大事であるが、何よりも大事なのは、自分が楽しいということが重要ということ。たしかに、自分自身が楽しめなかったら、苦しい時も乗り切れないし、持続しない。

 参加した学生たちにとっても、いい刺激になったようだ。理念や仕組みを頭の中で考えることも大事であるが、現場や体験を踏まえて考えていくことも重要であることを改めて、確認する機会となったと思う。

 ちなみに、この日、私が最もうれしかったのは、わがゼミ小林が、こんな大勢の前で、しっかりの自分の意見を語るようになったことである。1年生のとき、「私は後のほうにいるタイプですから」としり込みしていた娘が、今では、こどもまちづくりの実行委員長や相模原南区の若プロの委員長もやり、こうした自分の意見を堂々と開陳する。

 私の役割は、学生に転換や変化の機会をつくることであるが、私とすると、教育効果があったひそかに自負している。ともかく、気持ちの良い一日となった。

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