松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆戸田市自治基本条例を読む直す・とてもよくできている(戸田市)

2022-07-13 | 1.研究活動
 第4期の委員会が始まり、多くのメンバーが変わったので、あらためて「自治基本条例」を声を出して読むことにした。私は、ミニ解説をする役割となった。

 時間が限られた中で解説をしないといけないので、事前に勉強してみた。あらためて、優れた条例と感じた次第である。

 自治基本条例は、東日本大震災を境に、前期と後期に分けることができる。前期は、ニセコ町のまちづくり基本条例である。埼玉県では川口市の自治基本条例がこれに当たる。

 前期の自治基本条例は、信託論でできている。行政vs市民という関係で成り立っていて、行政を民主的に統制するのが自治基本条例の役割である。憲法は、権力を民主的に統制するためにつくられるが、それゆえ、自治基本条例は、自治体の憲法と言われた。

 行政vs市民の関係でつくられるから、参加も行政の政策決定への参加であるし、情報公開も役所情報の公開である。

 後期の自治基本条例のうち、戸田市の自治基本条例は、後期ならではの特徴が、最大限に出ている条例である。ここでは、行政、議会、市民がまちの当事者として出てくる。行政との関係では、自治体も国家機構の一部という側面があるから、その民主的統制も必要であるが、同時に、同じまちづくりの主体という協働関係、水平関係も出てくる。

 だから参加には、市民のまちづくり活動への参加もあるし、情報共有は、市民間での情報の共有もある。自治会・町内会とボランティア団体も自治基本条例の登場し、その協働も、自治基本条例に載ってくる。

 これは、東日本大震災で、役所をチェックするだけでは、命が助からないことがはっきりしたからである。人と人の連携協力、助け合いなど、市民間の関係も大事だと気がついたためである。

 戸田市の自治基本条例づくりでは、他のまちの条例を見ないでつくった。市民が集まって、自分たちのまちのルールとして、何が大切なのかを考えていきながらつくっていった。そうすると、上に書いたような条例になっていく。自分たちで考えてつくると、このようになるのが自然だと思う。

 残念ながら、戸田市では、この条例をさらに進める仕組みや制度、取り組みができていない。第4期では、目に見える仕組み等をつくっていかないといけないだろう。行政評価を見ると、かなりのお金を使っているが、目に見えた成果を出していない。このままでは早晩、削減されてしまい、いざやろうとなったときに、身動きが取れなくなるだろう。もう後がないと思う。

 それとは、別に、東日本大震災を境にして、ビフォー、アフターの対比は見事なので、たとえばリベラリズムと共同体主義のような対比で、論文を書いたら面白いと思う。
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