松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆大法廷判決の現場を歩く(まとめ)

2022-03-03 | はじめての条例づくり
 このテーマでは、何度か書いている。そちらには、写真入りで、もっと、詳しく書いているが、今回はテキスト用にまとめてみた。

 徳島市の繁華街である藍場浜、新町橋、東新町、銀座通りが、法律先占論から実質判断説に変わった大法廷判決の舞台である。このルートを練り歩く徳島県反戦青年委員会主催のデモ行進が、道路交通法と公安条例に違反すると起訴された。

 判決文では、集団行進の先頭集団数10名が、同日午後6時35分ころから同6時39分ころまでの間、同市元町2丁目藍場浜公園南東入口から出発し、新町橋西側車道上を経て、同市新町橋通り1丁目22番地豊栄堂小間物店前付近に至る車道上において、だ行進を行い交通秩序の維持に反する行為をしたと書かれている。

 私は、徳島へ行くたびに、このデモ行進のルートを歩く。
 
 まずは、空港からタクシーに乗り、事件現場である新町橋先の新町橋通りに車を止めて、写真を撮る。
 そうすると、運転手さんが私に尋ねてくる。「お客さん、ここは、何かあったところですか」。私は、待ってましたとばかり、滔々と話し出す。「実は、ここは法律先占論から、実質判断説に変わったところで…」。運転手さんの困惑した顔・・・。

 夜も、このデモコースを歩く。ただ、この事件があったのは昭和40年代であるから、今は当時とはだいぶ様子が違っている。銀座通りは真ん中に街路樹が植えられ、これではとても渦巻きデモはできないだろう。また判決文にある丸新デパートはすでに撤収して駐車場になっている。しかも、私の行進は、徳島名産の地鶏を食べた後の千鳥足での蛇行行進なので、当時の雰囲気を彷彿とさせると書くことはできない。

 毎年、ここにやってきて、気になることがあった。判決文にある事件現場の「豊栄堂小間物店」がないのである。
 そこで、ある年、豊栄堂を探しに歩いてみた。この界隈の一軒一軒を回り、「豊栄堂をご存じですか」と尋ねて回った。そのうちの一軒で店番をしているおじさんが私に教えてくれた。「豊栄堂は店を閉め、今はライオンズクラブになっています」。大法廷判決文の豊栄堂小間物店の今を知っているのは、日本広しといえども、私一人だけだろう。


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