松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆地方議員の未来(三浦半島)

2019-04-06 | 地方自治法と地方自治のはざまで

 統一地方選挙の前半である。

 今回、相模原市では、前の南区区長で、一昨年、定年退職した服部裕明さんが、自民党公認で選挙に出ている。服部さんは南区ができて2人目の区長さんで、区民会議で4年間、ご一緒した。

 笑顔を絶やさない明るい人柄で、今般、押されて議員に立候補したと聞いて、なるほどと合点した次第である。地域の活動やオーケストラのリーダーもやっていて、人望もある。

 私の退職のフォーラムにも、来てくれたが、それまでは、背広・ネクタイの服部さんしか知らなかったが、「若者と付き合う暮らし型ファッション」で、来てくれた。

 その訳は、辞める前に、再雇用はしないということなので、「選挙にでも出るのですか」といったことがあるが、「めっそうもない」ということだった。

 その代わり、「大学の非常勤講師の話がある」ということだった。大学では、背広では浮くので、くだんの格好になったのだと思う。学生に教えるにあたって、「先輩」としてアドバイスを頼まれたが、服部さんの性格から考えて、私より、きちんとした講義をするだろうから、実際は、私のアドバイスは、あまり役に立たなかったと思う。

 また、(お金持ちかもしれないので)余計なことかもしれないが、これまでの知見を埋もれさすのはもったいないと考え、またいくらかでも収入になればと思って、日本経営協会にお願いした。NOMAからは、服部さんに、どこか遠方の研修をお願いしましたと連絡をいただいたので、研修講師としても、活躍し始めていたのだと思う。

 数か月前、お会いしたとき、今度、選挙に出ることになりましたということで、聞いてみると、思いもかけない話で、考えた末、選挙に出るとのことだった。選挙に関しては、私にできることは何もないので、「がんばって」と声をかけたが、非常勤講師のアドバイスよりも、さらに、まったく役に立たなかったと思う。

 選挙に出るいきさつは、人から聞いた話であるが、地区のベテラン議員がなくなり、その後継者を探していたらしい。そこで地域活動もし、サークル活動もし、行政に精通している人ということで、自民党から白羽の矢がたったらしい。

 よく誤解されるが、地方議会では、党派は関係ない。議院内閣制ではなくて、二元代表制をとるためであるが、そもそも、地域の問題には、党派はほとんど関係ないからである。

 例えば、相模原市には米軍基地があるが、日米安保条約を防衛の基本に据える自民党だからと言って、相模原の基地は、大いに結構という人はいないからである。聞かれれば、自民党議員も、みな基地の返還をいう。

 地方の大きな問題は、防災であるが、地方でやることは、自民党から共産党まで、違いは出ない。ポジショントークでいろいろ言うが、やることで違いは出てこない。

 地方議員で、党派性が意味があるのは、党によって選ばれる過程が、事実上の選挙になっている点である。多くの希望者・適格者がいるなかで、この人ならばと審査されて、党公認の候補者となる。事実上、適否を判断する術のない一般市民にとっては、党によって審査されたという点が、大きな判断基準になる。地方議員選挙における党派の意味は、この点だと思う。 

 これは前に書いた談合と同じで、この場合は、時の声で、その工事に適格な会社が選ばれるのと同じシステムである。時の声が、みんなが納得できる会社を選び、逆に言うと、みなが納得できない会社が選ばれるようになると、時の声は、みんなからスポイルされる。こうした一定の納得性があるシステムだから、ずっと続いてきた。

 ただ、工事では、景気が悪くなって、こうした緩いシステムを許容できなくなり、一般競争入札が導入された。それによって会社が選ばれるようになったが、競争でいい会社が選ばれることもあるが、時には、安かろう悪かろうという会社も選ばれるようになった。

 議員選挙も、同じような経過をたどっていくのだろうか。水面下で選ぶシステムの合理性が疑われるようになると、一般競争入札のようになる。少なくとも、都会では、それまで地域でこの人ならばと選ぶシステムが機能しなくなった。地域に従属する市民が少なくなったからである。

 政党が選ぶシステムは、いまだ機能しているが、なんであんな人をという選択が続けば、一気に、このシステムの納得性が崩れるだろう。

 いずれにしても、議員になり手がなく、投票率が5割を切る選挙システムでは、一般競争入札システムは、限界が来ているのは間違いない。私の対案は、議員を3分の1にして、給料を3倍にして、これはという人が選挙に出れ、市民も判断しやすくしようというものであるが、これを決める議員さんたちが、自らの首を絞める案には賛成しないだろうから、実現は容易ではない。

 ただ、そう遠くないうちに、この方向に進むと思う。それは議員のなり手がない中で、カルトやヘイトのような問題議員が生まれてくるからである。いわゆる「乗っ取り」であるが、その時が、この松下案の出番になると思う。

 ただ、いずれにしても、今回の服部さんのような人が選ばれるということは、政党で選ばれていくシステムがまだまだ機能しているということだから、松下案の出番は、相模原市からではないことは間違いない。

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