UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第二十九話Part1

2024-12-29 18:47:57 | 日記
 ザザーザザー
 
 そんな波の音が聞こえる。何かの遺跡なのか……城跡なのか……そんな観光地的な遊歩道……それは海に面してて、その人気のない道で彼女は海を見つめてた。
 いつもは元気いっぱいな感じの彼女のアンニョイな姿。それは普段を知ってる人からしたらそのギャップでドキッと落ちそうな……そんなギャップがあった。
 少なくとも小頭にはそう見えた。
 
「二人はここにいてね。余計な事しないでよね」
 
 そんな事を小頭は鬼二人に告げる。鬼ともすっかり打ち解けたみたいだ。二人はそんな小頭の言葉に素直に従ってくれた。もしかしたらもう育代はわかってるのかもしれない。
 なにせ扉を開いたのは足軽と育代みたいだからだ。でも流石にいきなり鬼を二人も引き連れていくのはどうか? と小頭は思ったんだ。自身は既にこの状況に馴れたが、育代がどうかはわからない。だからまずは一人で話を聞こうと思った。
 
「育代ちゃん」
「小頭……ちゃん」
 
 育代が気づいて小頭の方をみる。今日もシンプルな服を着てる。腰の所で一回絞った感じのワンピースだ。暑いし、楽だからという理由でこういう服が好きだと育代は言ってた。
 
「えっと……あの……」
 
 なんと切り出せばいのか……小頭は迷った。だっていきなり「あの門はなに?」とか「お兄ちゃんと何があったの?」というのは直球すぎるのではないだろうか? と思ったんだ。けど回りくどく行くとしてどうする? 天気の話でもするのか? という思いもある。ふと見る海。そこには太陽が反射してキラキラとしてる海がある。
 すべてを包み込む海。命の母ともいえるその場所。普段はこんなに海が近くにない場所に住んでる小頭だ。ごく自然に「海」と出て来た。
 育代はいつだって見てるのか別に何かいってくることはない。けど二人して海を眺める。潮風が二人の頬をなでる。
 
「綺麗だ――」
 
 ――ね、と続けようとしたけど、小頭の言葉は最後まで続くことはなかった。なぜか? それは海から何かが顔を出してこっちをみてたからだ。かなりデカい、島みたいな感じのやつ。禿げ散らかしたオッサンみたいなそんな奴が海から顔の半分を出してみてた。
 あれがいるのに、綺麗だね……なんていえなかった。
 
「ああああぁぁぁあれ!? みた?」
「うん。ごめんなさい。私のせいだ……」
 
 そんな風に瞼を伏せる育代。あの海坊主のようなおっさんはキモ過ぎたし、あれが海にいると今後一切海に近寄りたくなくなった小頭だが、話のきっかけになってくれたのだけは感謝した。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 144

2024-12-29 18:42:10 | 日記
 爆発が起こった。黒煙がもうもうとたちこめる。手応えはあった。銃だけど……と、確実にあたったのは確か。それにこの規模の爆発だ。あの腕が爆発したのではないか? 
 けど、何かが警鐘を鳴らしてる。それは勇者としての第六感か……自分はその感覚を今まで信じてここまできたといっても過言じゃない。油断はきっとできない。
 
「くっ!?」
 
 いきなり強い風が吹く。自分たちの所まで一気に流れてくる黒煙。それによって視界が悪くなる。この吹いた風はどう考えても自然に吹いたわけじゃないだろう。だってここは室内だ。でっかい風が吹く装置とかが無い限り、こんな強風がいきなり吹くなんてないだろう。つまり……これは何かが起こした風ということだ。そうなにか……この場合、それは一つしか無い。
 
 ガキイイイイイイイイイイン!!
 
 なんとか聖剣で防いだ。気づいたら正面にいた腕。そして気づいたら、その拳が目の前に迫ってた。なんのゆらぎもなかった。空気のゆらぎ、迸るエネルギーのゆらぎ……それらが全く感じなくて、この瞬間までそれに気づくことすらできなかった。
 
 頭はきっとその瞬間まで理解してなかっただろう。けど、自分の長年の積み重ねのお陰でとっさに体は動いてた。きっとあのままだと「死」が訪れてたのだろう。それだけのピンチだった。だからこそ、脳を無視して体が動いた。確かにやつは機械だ。そこに殺意とか感情は全くもってのってない。
 ただ、自身の役割をこなすためだけに動いてるに過ぎない。だからこそ、分かりづらいというのはあった。でも……今のは……いやこれは……
 吹っ飛んだ自身に向かっていとも簡単に追いついてくる腕。円環一つに、沿うようについた二本の腕。そう……戻ってる。いや、違う。微妙だけど、色合いとか、形の細部が違ってる。それに今、あの腕は肘部分にブースターがついてるのか、それを吹かして高速移動を可能にしてる。
 どうやら小回りだって効くようだ。ボッボボボボ――と細かく調整してるのがわかる。
 
 ギッギギギギギギギ――ギュパッ――
 
 拳が来るかと思ってたら、直前でぎこちなく手を開く。その手のひらの中心には何やら穴が見える。そこに光が集まっていく。
 
(まずい!!)
「どきなさい!!」
 
 その瞬間、自分は横によける。すると後方からアイ殿の銃が火を吹いた。けど向こうもそのまま手のひらに集めた光を放つ。二つの光がぶつかりあった。