UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第三十三話part1

2025-01-26 18:26:19 | 日記
「うーわ」
 
 思わずそんな声を出してしまう野々野小頭。ここは砂浜だ。すぐ近くに学校が見える。夏休みの校庭には元気な声を響かせる部活の少年少女たちが……いない。どうやらお盆の時期だから部活も休みみたいだ。でもありがたい。だってもしも誰かがいたら……
 
 ドバーン!! ズオオオオオン!! ガガーン!!
 
 と派手な音がなってるからだ。実際近くに住んでる人たちが「なんだなんだ?」と近くにきてもおかしくないが、聞こえてない? そこらへんは確かめてもないし、その術もないから、小頭にはわからない。ただ一番近くの学校からは誰も出てくる……なんて事はない。山の方だったら、そもそもが家がなかったから、近くにいる人もいなかっただろうけど、ここは町とは呼べる規模はある。だから誰か来てもおかしくないが……
 
「なんて野蛮な……」
 
 そんな風に言うのは幾代だ。今、鬼たちは海にいた海坊主と戦ってる。なんでそんな事をしてるのかというと、勿論だけど必要だからだ。本当ならさっさとあの山の門の所にいって門を閉じたいところだ。けど既にこの町には沢山の魑魅魍魎達が拡散してしまってる。それらを一体一体確保する……なんて事はできない。けど残しておくなんてできるわけないだろう。あの魑魅魍魎達が何をするのかなんてわからないのだ。一体どうしたらいいのか……それを話し合った結果、幾代の呪術師としての知識を使うことにしたのだ。
 なにせ幾代はあのコケシというか蛇になった何かを取り込んだ。それによって、呪術師としての力が増してるらしい。そして同時に、あの蛇に内包されてた知識も手に入れた……と言ってた。それってつまり……
 
(あのコケシか蛇みたいな存在はあの村の……)
 
 そんな風に小頭は思った。幾代は明言してない。けど、そうとしか思えないだろう。だってなんの関係もない妖怪の類だったら、そんな知識があるはずがない。けど幾代は詳しい事はいってくれなかった。ただ困ってた小頭達に自身の知識を使えば……といってきたのだ。なので鬼たちと幾代は話し合って、どうやらこの状態を戻す術を編み出したみたい。小頭はなんの力もないから、ただ幾代たちに付き合ってるだけである。そしてこうやって鬼たちが海坊主と戦ってるのは、強力な妖怪を道しるべにするためだ。
 弱い妖怪たちを一体一体確保するよりも、強力な妖怪を使って、弱い妖怪たちに命令を下してこの町に広がってしまってる妖怪たちを地獄の門へともう一回集めるつもりなんだ。なのでまずはこの海坊主。なにせわかりやすく見つけやすかったから、最初の標的になったというわけだ。
 哀れ……

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 164

2025-01-26 18:21:36 | 日記
『同じ系統、同系列のシステムの検出をしました』
 
 なにやらそんな声が聞こえてくる。けど警戒する必要はないだろう。だって、言葉的にこのユグドラシルシステムが私達を同系統とみなしてる。同じ世界からやってきたと……それがきっとわかったんだろう。
 
『データの同期を求めます』
「同期か……していいのかな?」
 
 はい、いいえ――が私の前に出てる。ちょっと迷うのは私の頭に送られたここの主……あの彼の記憶があるからだ。なにせあの彼は報われなかった訳じゃん?  ならばじくじくとした思いがあるかもしれない。まあここ……この船を見てきた中ではそんなのは感じなかったけど。寧ろなんかあの世界から離れて、この船……でなんか自分勝手にやってたみたいな? そんな気がしないでもない。けど結局、その人の心なんて他人にはわからないからね。
 でも悪い人……ではなかっただろう。変な人だっただけ。それは彼の記憶の中で思った。だから覚悟を決めて「はい」を選ぶ。
 
 するとそれと同時に沢山の情報が入ってくる。それと同時に同期してるんだから、向こうにもこっちの情報が流れてるはずだ。
 
『そうか、君が……』
「きゃあ!?」
 
 私は思わず体を横に向けて腕で胸を隠す。だって私はほぼ裸みたいなものだ。だから目の前に現れた男に対してするリアクションとしては普通だろう。私も女の子としての自覚が出て来たのかもしれない。
 
『なに、きにする必要はない。なにせ私は生きてはないのだから』
 
 なんか物悲しい事をいう男。そう……彼は……私が記憶で見た彼だった。それも髪がふさふさの時期の若い彼。禿げ散らかせしてた姿じゃないのはやっぱりこっちの方が格好がつく……という事なんだろうか? 
 まあけど彼はそういうけど、だからって男の人の前で堂々と裸をさらせるほど私の羞恥心は腐ってない。それが例え、もうこの世にいない人であっても……だ。今、目の前にいる『彼』――それはきっとむこうのユグドラシルシステムに残しておいた彼の最後のメッセージなんだろう。
 それか人格を投影したAIとか? 彼は天才だったし、そのくらい作れそうではある。
 
『私はずっと待ってたよ。誤解しないでくれ。ここから出る事じゃない。ここは誰にも邪魔されなくて助かったよ。あれには感謝してる』
 
 あれってのはきっとメタリファーだろう。何かあれと取引でもやってここにきたのだろうか? 
 
『やはり彼らは禁忌を犯したのだな』
「禁忌?」
 
 何やら私を見てそんな事を言ってる彼。禁忌……それって私の事か?