UENOUTAのお絵描きとかブログ

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転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 165

2025-01-27 18:51:22 | 日記
「禁忌ってなんですか?」
 
 私はそんな風に目の前の彼にそう聞いてた。それには意味なんてないかもしれないと思いつつも、私には聞かずにはいられなかったのだ。だって自分を禁忌とか言われたら……ね。
 それは気にするな……というほうが難しい事じゃないだろうか? そもそもが私は自分の事を何もしらない。マニュアルの中には私の情報はないのだ。不自然な程にね。確かにG-01の事はとても詳しく……詳しすぎるという風な程にある。けどそれを動かしてる私の事には一切触れられてないからね。なんとなく私がG-01の稼働には必要なんだろうってことはわかる。
 だって私という存在がいらないのであれば、G-01はそれこそアイみたいなAIで動かした方がきっと効率がいい。なにせアイみたいなAIなら命令には忠実だろうし、どんな無茶な命令だって躊躇なく実行することができるだろう。
 
 でもなぜかG-01にはそんな忠実なAIではなく、感情がある私が乗せられてる。それに意味がない……なんてことがあるだろうか? 嫌ない!! といえるよね。
 だってG-01を作った人達は世界をも渡る超技術……もっと言えばスーパーテクノロジーをもった人々なのだ。それに疑いようはない。つまりは皆が天才で超優秀な人々だといえるだろう。
 
 そんな人たちが理由もなく、こんな凄いロボットをどこぞの誰かにたくすだろうか? 託すとしたら、そこに理由がないわけがない。私は私の事をなにもしらない。うっすら前の記憶はあるけど……それだけ。それだって実際、本当に以前の……前世の記憶なのかはわからない。
 もしかしたらそれだってG-01を作った方々にインストールをされたものっていう可能性がないわけじゃないからね。
 
 そこにきてこの「禁忌」というワード。私は自分が何なのか気になって仕方ない。そもそも私は括りでは「人間」ではないのだ。限りなく私の体は人体のそれだ。けど、私は『プチュオクミ』と呼称されてる。
 
『君は、君自身を知りたいと思ってるのだろう……』
 
 まさか普通に返ってくるとは……どうやら今見えてる『彼』はただ事前残した録画されたデータ……という訳じゃないみたいだ。これなら色々と話せるかもしれない。
 私はとりあえずコクコクと「しりたいしりたい」を表現して見せた。
 
『そうか。だが、それは重要じゃない。既になされた事はなかったことにはできない。君には既に君があり、それが安定してるのならば、知る必要なんてない。それに全ての事実はいずれわかるときが来るだろう。
 それまで必要なのは、成長をし続けることだ。歩みを止めるな。そうすればきっと、ある程度の所にたどり着く』
「そこは目標まで行けるとか言わないんだ……」
 
 なんかちょっと現実的で嫌だな……とか思った。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第三十三話part1

2025-01-26 18:26:19 | 日記
「うーわ」
 
 思わずそんな声を出してしまう野々野小頭。ここは砂浜だ。すぐ近くに学校が見える。夏休みの校庭には元気な声を響かせる部活の少年少女たちが……いない。どうやらお盆の時期だから部活も休みみたいだ。でもありがたい。だってもしも誰かがいたら……
 
 ドバーン!! ズオオオオオン!! ガガーン!!
 
 と派手な音がなってるからだ。実際近くに住んでる人たちが「なんだなんだ?」と近くにきてもおかしくないが、聞こえてない? そこらへんは確かめてもないし、その術もないから、小頭にはわからない。ただ一番近くの学校からは誰も出てくる……なんて事はない。山の方だったら、そもそもが家がなかったから、近くにいる人もいなかっただろうけど、ここは町とは呼べる規模はある。だから誰か来てもおかしくないが……
 
「なんて野蛮な……」
 
 そんな風に言うのは幾代だ。今、鬼たちは海にいた海坊主と戦ってる。なんでそんな事をしてるのかというと、勿論だけど必要だからだ。本当ならさっさとあの山の門の所にいって門を閉じたいところだ。けど既にこの町には沢山の魑魅魍魎達が拡散してしまってる。それらを一体一体確保する……なんて事はできない。けど残しておくなんてできるわけないだろう。あの魑魅魍魎達が何をするのかなんてわからないのだ。一体どうしたらいいのか……それを話し合った結果、幾代の呪術師としての知識を使うことにしたのだ。
 なにせ幾代はあのコケシというか蛇になった何かを取り込んだ。それによって、呪術師としての力が増してるらしい。そして同時に、あの蛇に内包されてた知識も手に入れた……と言ってた。それってつまり……
 
(あのコケシか蛇みたいな存在はあの村の……)
 
 そんな風に小頭は思った。幾代は明言してない。けど、そうとしか思えないだろう。だってなんの関係もない妖怪の類だったら、そんな知識があるはずがない。けど幾代は詳しい事はいってくれなかった。ただ困ってた小頭達に自身の知識を使えば……といってきたのだ。なので鬼たちと幾代は話し合って、どうやらこの状態を戻す術を編み出したみたい。小頭はなんの力もないから、ただ幾代たちに付き合ってるだけである。そしてこうやって鬼たちが海坊主と戦ってるのは、強力な妖怪を道しるべにするためだ。
 弱い妖怪たちを一体一体確保するよりも、強力な妖怪を使って、弱い妖怪たちに命令を下してこの町に広がってしまってる妖怪たちを地獄の門へともう一回集めるつもりなんだ。なのでまずはこの海坊主。なにせわかりやすく見つけやすかったから、最初の標的になったというわけだ。
 哀れ……

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 164

2025-01-26 18:21:36 | 日記
『同じ系統、同系列のシステムの検出をしました』
 
 なにやらそんな声が聞こえてくる。けど警戒する必要はないだろう。だって、言葉的にこのユグドラシルシステムが私達を同系統とみなしてる。同じ世界からやってきたと……それがきっとわかったんだろう。
 
『データの同期を求めます』
「同期か……していいのかな?」
 
 はい、いいえ――が私の前に出てる。ちょっと迷うのは私の頭に送られたここの主……あの彼の記憶があるからだ。なにせあの彼は報われなかった訳じゃん?  ならばじくじくとした思いがあるかもしれない。まあここ……この船を見てきた中ではそんなのは感じなかったけど。寧ろなんかあの世界から離れて、この船……でなんか自分勝手にやってたみたいな? そんな気がしないでもない。けど結局、その人の心なんて他人にはわからないからね。
 でも悪い人……ではなかっただろう。変な人だっただけ。それは彼の記憶の中で思った。だから覚悟を決めて「はい」を選ぶ。
 
 するとそれと同時に沢山の情報が入ってくる。それと同時に同期してるんだから、向こうにもこっちの情報が流れてるはずだ。
 
『そうか、君が……』
「きゃあ!?」
 
 私は思わず体を横に向けて腕で胸を隠す。だって私はほぼ裸みたいなものだ。だから目の前に現れた男に対してするリアクションとしては普通だろう。私も女の子としての自覚が出て来たのかもしれない。
 
『なに、きにする必要はない。なにせ私は生きてはないのだから』
 
 なんか物悲しい事をいう男。そう……彼は……私が記憶で見た彼だった。それも髪がふさふさの時期の若い彼。禿げ散らかせしてた姿じゃないのはやっぱりこっちの方が格好がつく……という事なんだろうか? 
 まあけど彼はそういうけど、だからって男の人の前で堂々と裸をさらせるほど私の羞恥心は腐ってない。それが例え、もうこの世にいない人であっても……だ。今、目の前にいる『彼』――それはきっとむこうのユグドラシルシステムに残しておいた彼の最後のメッセージなんだろう。
 それか人格を投影したAIとか? 彼は天才だったし、そのくらい作れそうではある。
 
『私はずっと待ってたよ。誤解しないでくれ。ここから出る事じゃない。ここは誰にも邪魔されなくて助かったよ。あれには感謝してる』
 
 あれってのはきっとメタリファーだろう。何かあれと取引でもやってここにきたのだろうか? 
 
『やはり彼らは禁忌を犯したのだな』
「禁忌?」
 
 何やら私を見てそんな事を言ってる彼。禁忌……それって私の事か?
 

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第???話part0

2025-01-25 19:04:48 | 日記
『足軽!!』
 
 コケシから蛇へとアップグレード? した存在をおばあちゃんが取り込んでる時、野々野足軽には自分を呼ぶ声が聞こえた。なんでもない所で振り返った足軽。そんな足軽に不思議そうに声がかかる。
 
「どしたんですか?」
 
 まるで京都弁みたいなイントネーションで野々野足軽に声をかけたのは片方の角が折れてる長い和服に身を包んだ女の子だ。足軽と彼女は空を飛んでるから彼女の自身の倍以上もあるような和服がひらひらとしきれいである。それに彼女の髪の毛はなんかひかってて、毛先からは粒子かキラキラと放たれてる。彼女は整った顔をしてるが、どうやらただの人ではないようだ。なにせその肌の色は紫色をしてる。そして額の角に、輝く髪の毛はどう考えても普通ではない。
 
「なんか呼ばれたような?」
「はあ、なんですか? どこかの女にまた呼ばれたんですか?」
「なんだよその言い方。それに女かどうかなんて……」
「何を言ってますのやら」
 
 そういってくるっと空中で回って、並走してた彼女が野々野足軽の上へと位置を移動する。そしてそっと足軽の顔を両側から掴むと、無理矢理自身の方に向かせた。
 
「なんぼでも……何人も魅了しておいて、それはないやろ?」
「魅了って、俺が何をしたっていうんだよ」
「御冗談を」
「おま――危ない!」
 
 キィィィィィィィィィィィン!! と細長い光が飛んできた。それを足軽はふせぐ。
 
「あらら、もうポイントでしたね。全く無粋な奴らやね」
 
 そういう彼女の視線の先。そこに何かが広がっていく。空に墨汁が垂らされたみたいに最初は小さなシミだった。それが空に染みるように広がっていって、沢山の硬そうな体の馬がでてくる。だいたいが茶色で統一された形をしてる馬たちの中に、白く、そして鎧を着た騎士がいる。そいつは自身の体よりも大きな槍を持ってる。白い螺旋の槍。
 
「なんとまぁ、大当たりですなぁ。『さ』が出ておりますへ』
「強い奴が来て、喜ぶなよ……」
「なんや? なに、問題ない……やろ?」
 
 そんな事をいってくる彼女。そして騎士の兜の奥の目が青く光る。それと同時に一斉に襲い掛かってきた。
 
 
 
「ええ、もう終わってもうた。嘘やない。そっちこそわかってとるやろ? 勝どきやよ」
 
 空は静かになってた。黒いシミは既にサッカーボール並みに小さくなってる。そして……足軽の手には騎士の兜と、そして反対側には騎士か持ってた槍を手にしてる。戦闘はあった。けど足軽は涼しげだ。そして彼には傷は一つない。いや、埃一つ、汚れ一つついてない。彼女はどこかと通信してる。目の前には人型におられた紙? その紙には何か書かれてる。
 そしてそんな彼女が野々野足軽へと催促してくる。
 
「ほらほら」
「はぁー」
 
 いやそうだったが、足軽はその手に持ってる兜を掲げてる。それは遠くの人たちを歓喜にふるわせることだったのだ。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 163

2025-01-25 18:55:06 | 日記
「はあはあはあ……」
 
 球のような汗が全身からあふれ出てた。体から力が抜けていつもは脚しか浸かってないこの容器に自ら肩までつかる。脚までしか普段はつかってないからそこまで深さがないのかと思うかもだけど、全身入るくらいはできるのだ。脚だけの時は別に温度なんて気にもしてなかったが、今ならこの容器の液体がひんやりと体を冷やしてくれる。
 きっと自身の体がほてってるんだろうって私は思った。なにせ頭をめっちゃ使った。それだけなんだけど、頭を酷使しすぎて体までそれは伝染してるみたい。
 
 塔の側面にできた入り口。開いた扉。それに入る。その瞬間、上下の平衡感覚がなくなる。下に落ちてるようにも、上に登ってるようにも感じる。全身がグルグル回ってるようにだって……
 
「ついたね」
 
 そこに特別な事はなかった。いつの間にか、突如といっていいだろう。寧ろ最初から私達はここにいたんじゃないか? と思えるような……そんな感覚さえある。G-01は両足でそこにしっかりとたってる。そして……そんなG-01の前にそれがある。
 
「むーむー!」
 
 なんか内側からガンガンガン! ――という音が雰囲気をぶち壊す。どうやら収納したアイが暴れてるみたい。しょうがないから私は胸のあたりの装甲を開封して出してあげる。
 
 そしてすぐに目の前にそれ……に気づいたアイはこういった。
 
「これが……これがユグドラシルシステム」
 
 そう……きっとそうなんだろうなって思ってたけど、これがユグドラシルシステム。いや、G-01にもあるんだけどね。けど実物を見たことはない。ただなんかあるってわかるだけ。見守ってるなってわかるだけ。私やG-01を支えてる全ての根幹。だからこそ、これから莫大なエネルギーを感じる。
 
 ユグドラシルシステムはまるでDNAみたいな形をしてた。でっかいDNAだ。その中になにかが走ってる。
 そしてどこまでも続いてる。上を見ても、下をみても、延々と続いてるようにみえた。
 
 ドクン……
 
 私の胸の鼓動が強く打ち付けてくる。そしてそれに合わせるように……目の前のユグドラシルシステムも――ドクン――と鼓動を打った気がした。
 ドクン、ドクン――その鼓動は私と目の前のユグドラシルシステムでずれてる感じがした。私の鼓動が早くて、それを目の前のユグドラシルシステムが追ってくる感じだ。
 けどそれも……鼓動が続くたびに近くなっていく。そしてついには……『ドクン』――と重なった。