今、思うと中央のゲージの針が傾斜したのは危険信号だった。
(鋼材が既に数分前に降伏点に達していたと思う)
不注意に既に設計荷重の倍以上の裁荷をした作業台の下に入った私に落ち度があるが、私が外に出るのを待って潰れたとしか思えて仕方がない。
私が助かったのは、ただの偶然の出来事とは今もって思えないのである。
理由は、その1年くらい前に、ある現場に私の転勤の話があったが直前に他の技術者に変更された。
そして2~3ヶ月 経った頃、ある日 突然、現場の所長から
「○○さん亡くなったよ」と告げられた。
「えッ 何時のことですが?」
「昨日、現場で事故があり事故に巻き込まれたそうだ」 と 私の替りに転勤して行った技術者が事故で亡くなられたことを知らされたのだ。
瞬間、私の身代わり?と感じたが黙っていた。
彼は非常に優秀な技術屋だった、将来は重役か?くらいに期待された人物でもあった。
事故はコンクリート打設中に現場の型枠を調べに、コンクリート打設中の型枠の下で型枠の様子を見て廻っていた時に型枠が突然 崩壊して下敷きとなり亡くなられたのだ。
(現状では、このような事故は全く無いといってよい)
コンクリート打設中に、その下で型枠の様子を調べるのは担当技術者としては普通の事である。私自身今まで赴任した現場では日常行っている作業だった。
コンクリート打設中は型枠に偏向荷重が掛かるので予期せぬ変形(壁、柱 等が膨らむ、又はパンクする、傾斜する等)が生じる事があるため打設中に型枠担当者として階下の型枠も必ず見て回るのが常である。
このような、めったに起こらない事故による同僚の死が過去にあったので、「作業台強度実験」で私が誰かの、お陰で助かったと強く思うのである。
今も私はあの過重な載荷をした作業台の下から出ると同時に一瞬にして押し潰された作業台の上の鉄筋の山は忘れることの出来ない出来事として「誰かに助けられた」と思っている。
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