中小企業家経営塾 第1回 学生海外派遣 の ご報告
多くの皆様のご支援の下に実現した 中小企業家経営塾 第1回 学生海外派遣
「学生海外派遣基金」にご支援いだきました皆様
事前学習のプログラムを作成していただいた 遠山先生
お忙しい中、現地への引率、同行をしていただいた 遠山先生、中西先生
快く、2名の学生を受け入れ
万全の受け入れ態勢を整えていただいたパンチ工業㈱と大連工場の皆様
その他、多くの皆様のご協力により、
大変、充実したものになりました。
以下に、概要をご報告させていただきます。
【 目 的 】
・ グロ-バル課化する日本と企業のものづくりを理解させる。
・ 日本企業の海外経営の現場を知り、現地従業員とともに就業体験する。
・ 現地大手企業、現地資本企業、工学系教育機関を見学して実情を知る。
・ 中国の文化・歴史を学習し、日本文化についても深く学ぶ。
・ ビジネスマナ-や簡単な中国語を学習し、国際感覚・コミュニケ-ション能力を伸ばす。
【 派 遣 学 生 】
平成19年度の「中小企業家経営塾」で、成績優秀の2名
S君(機械工学科4年)、I君(電子情報工学科4年)
【 期 間 ・ 受 入 先 】
平成20年8月31日 ~ 平成20年9月7日
盤起工業(大連)有限公司 (パンチ工業㈱大連工場)
【 事 前 学 習 】
ミニゼミ(岩波新書などによる 歴史 経済 社会 産業 文化 満州 大連など)
入門学習書による中国語語学学習
同友会会員企業による事前レクチャ-(2回実施)
【 現 地 ス ケ ジ ュ - ル 】
8月31日(日) 現地到着
9月 2日(月) インタ-ンシップ 盤起工業(大連)有限公司 従業員宿舎に宿泊
9月 3日(火) インタ-ンシップ 盤起工業(大連)有限公司 と 関連企業 従業員宿舎に宿泊
9月 4日(水) インタ-ンシップ 盤起工業(瓦房店)有限公司 従業員宿舎に宿泊
9月 5日(木) 大連開発区企業見学 日系、現地系金型企業など4社
9月 6日(金) 歴史・文化・商業施設の見学
9月 7日(土) 自由行動日
9月 8日(日) 現地発
【 報 告 会 】
■ 日時 11月2日(日) 11時00分~
■ 場所 都立産技高専 西棟2F 地域交流室・展示コ-ナ-
http://www.pio-ota.jp/plaza/map.html
海外学習の機会を与えられた2名の学生と遠山研究室による報告会です。
11月1日(土)~2日(日)は、高専祭(文化祭)になります。
合わせて、ご見学いただけば幸いです。
(以上は、遠山恭司准教授のレジメなどによるものです。)
現地での実施状況については、
大田支部のメ-リングリストに配信した報告を転送させていただきます。
中小企業家経営塾 学生海外派遣 のご報告 No.4
都立高専 中小企業家経営塾 の 学生海外派遣
(パンチ工業 中国 大連工場他)
8月31日から9月7日までの日程が、大過なく終了し、
昨日、学生2名と「引率」の遠山先生、中西先生が帰国されました。
4名の方々を成田まで出向かいに伺いました。
現地では、
盤起(パンチ)工業 大連 有限公司 の皆様の、
考え抜かれた研修プログラムやサポ-ト体制により
学生の皆さんばかりではなく、
引率の先生方も、大変、充実した時間を過ごされたようです。
空港や帰りの電車の中でお聞きたお話しを、
「ご報告 No.4」 として、ご紹介させていただきます。
パンチ工業の戦略工場 盤起(大連)有限公司
盤起(パンチ)工業 大連 有限公司 は、従業員約1千名
金型部品を製造するパンチ工業にあって
現地の日系企業の需要に応えるだけではなく、
日本本社や
中国の無錫、東莞(広東省)工場に、
中間品、標準部品を供給する戦略工場です。
ものづくりの一連の工程を就業体験
3つの工場でのインタ-ンシップ(3日間)と
大連開発区での金型メ-カ-4社の見学
大連市内見学が一連のスケジュ-ルとなりましたが。
パンチ工業の工場で生産された金型部品が、
どのように、金型メ-カ-で製造工程に組み込まれていくのか?
学生が、就業体験を通して理解していくプログラムが作られていたようです。
生産拠点の地方や海外への移転が続いてきた首都圏の高専にとっては、
このような体験学習の機会自体が貴重なものであった …… と、
引率の中西先生が話されていました。
瓦房店工場 …… 中国最大のベアリング産業の集積地にて
大連開発区の二工場で就業体験をした2日間に続いて
3日目に訪れた大連市郊外の瓦房店(がぼうでん)は、
中国におけるベアリング産業発祥の地。
中国トップのベアリングメ-カ-・瓦房店軸承集団有限責任公司 他
多くの関連企業が立地し、
これを支える技術学校、技術(技能)者教育が整備されてきたところです。
大連に続いて、この地に第二工場を設けたパンチ工業の
適切な進出戦略が覗えるとのことでした。
日本人スタッフはゼロ …… 現地化する日系金型工場
3日間のインタ-ンシップを踏まえた
翌日の企業訪問で最初に訪れたのが、
大連開発区の従業員70名余りの日系金型メ-カ-
ところが、平成8年に設立されたこの現地法人には
すでに、日本スタッフがおりません。
日本企業の教育を受けた 中国人 総経理が、
中国人だけで「日本のものづくり」や
経営情報を従業員に開示する「硝子張り経営」を実践しています。
この会社には
中国の全国重点大学の一つであり、
地域のトップ技術者養成校である 大連理工大学 の 博士号取得者 が入社し
技術のレベルアップにも余念がありません。
最近は、
不況で仕事量が減っている本社に、現地から仕事を廻しているとのこと。
前日には、
東大の 藤本隆宏 教授も訪問していたとのことで
http://www.bk1.jp/product/02766896
http://www.bk1.jp/product/02455812
海外に、日本のものづくり経営が定着していくモデルケ-スを見るようです。
学生は、中国人ワ-カ-の宿舎に宿泊
最初のインタ-シップの3日間、
従業員宿舎に宿泊した2名の学生は
味付けの濃い従業員食堂のメニュ-にビックリしたり
ク-ラ-のない宿舎で蚊に刺されたり、
即席の語学学習の成果を試して、中国人スタッフとの会話を試みたり
就業終了と共に、工場から町に繰りだしてくる
中国青年のエネルギ-に驚いたり(高度成長期の日本を想像したり)と
他では得られない経験をすることができたようです。
都立高専の卒業生が自販機メ-カ-の販売部門を立ち上げ
大連に進出している自動販売機の製造メ-カ-では
この地を製造拠点とするだけではなく
中国現地での自動販売機のマ-ケッティングを始めており
この販売会社のトップを、
まだ、30代の都立高専卒業生が務めています。
先生方は、この卒業生の訪問などにも、時間を使われていたようです。
中国経済で独自の地位を占める大連
広東省や上海の経済が、大きな曲がり角を迎える中
大連では、不動産価格も維持され
インテルの前工程工場の進出が決定
2012年ごろには完全稼働し、1万人が働く予定だとのことです。
中国では、最も早い段階から対外開放を進めた大連
上海や広東省のような爆発的な経済拡大が無かった分
高付加価値部門の産業集積が進められているようです。
市街も落ち着いた雰囲気が維持されており、
今後のこの地域のあり方に期待が寄せられます。
次の世代に社会に出ていく上で糧となる「何ものか」を
今回が初めての試みとなった「中小企業家経営塾・学生海外派遣」
パンチ工業本社と大連現地スタッフの皆様の絶大なるご支援により
大変、有意義なプログラムとなりました。
来年度には、就職を迎える学生のS君とI君、
「勉強になった!」と言っていただきましたが
社会に出ていく上で、
糧となる「何ものか」をつかんでいただけたのではないでしょうか?
学習と研究の舞台装置のグロ-バル化を!
ものづくりの工程分業 や サプライチェ-ン が
国境を超えて展開される21世紀、
学生の皆さんには、
このことを実感していただくとともに、
アジアのキャッチアップや技術集積を背景に
我が国が果すべき役割について考える機会としていただけばと思います。
遠山先生よりは、
今回は、大連経済開発区の全容が理解できなかったことが残念
これが結びつけば、大変よい研究課題となる …… と
ご感想をいただきました。
昨年以来のご支援、大変、有難うございました。
昨年来のご協力、ご支援をいただいた支部の皆様、内外の経営者の皆様
学生受け入れを快諾していただき、
素晴らしいプログラムをご用意いただいた本社と大連パンチ工業の皆様
多忙の中、一週間以上にわたる学生引率をお引き受けいただいた中西先生、遠山先生
海外派遣実現のプロセスで、サポ-トいただきました全ての皆様、
大変、有難うございます。
漸く、最初の試みを結実させることができました。
今回の学生海外派遣の報告会は
11月初の「高専祭」において開催させていただく予定です。
改めて、ご案内を差し上げますので、
その際は、ご参加いただけば幸いです。
学生に海外学習の機会を与える試みにつきましては
学校改革の進捗と共に、
新しい位置づけを与えられて行くことにもなろうかとも思います。
今後とも、ご高配を賜りますようお願い申し上げます。